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デビットカード支払いでCO2排出量を表示 りそなアプリに新機能
2025年7月22日 14:35
りそな銀行などりそなグループ4行とビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)、独ecolytiqは、CO2排出量可視化サービスの協業を開始する。りそなグループ4銀行のデビットカードで支払った商品・サービスが生産・提供される過程で排出されたCO2排出量をりそなグループアプリで可視化するもので、2026年度上半期の提供を予定している。
りそな銀行と埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行による、デビットカードを起点としたSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)施策の第1弾。アプリでの機能提供に先駆け、25年10月にWeb上で簡易的にCO2排出量を算出できるツールを提供予定。
環境に配慮した行動をしたいという想いはあるが、「どういうことに取り組んだらいいか分からない」「取り組むとどの程度よくなるのか分からない」といった理由で環境保全活動に障壁を感じている人が多くいるという。こうした人に対し、金融をきっかけとした環境保全活動を後押しする狙い。デビットカードでの買い物でCO2排出量をアプリで可視化するサービスは日本初となる。
りそなホールディングス 執行役 兼グループCDIOの川邉 秀文氏は、日本においても、ゴミ分別やマイバックといった活動などで、環境負荷軽減の意識は高まっており、90%の人は「気候変動に対して何かアクションを起こしたい」と感じているという。しかし、CO2排出削減への具体的なアクションのためには、情報が不足し、何をしていいかわからないという課題があり、「価値と行動のギャップがある」という。
そこでアプリでCO2排出について知り、次に取るべき行動などについてサポートする機能をりそなグループアプリに搭載することを決めた。この機能はVisaのパートナーである独ecolytiqが開発しており、26年度のサービス開始に向けて、日本向けのローカライズを行なっていく。
りそなグループでは、りそなグループアプリとともにデビットカードを強化しており、25年3月末時点の発行枚数は330万枚。特に10~20代の利用者にとってはすぐに銀行口座から引き落とされるという“安心感”で支持されており、実際のユーザーも若者が多い。
また、10-20代はスマートフォンやSDGsの考え方との親和性が高く、気候変動に向けたアクションに興味を持つことが多いため、まずはデビットカードから導入を進めることとした。加えて、25年9月には、大学生との共創プロジェクトを立ち上げ、デビットカードの利用推進活動や環境問題をテーマにしたアイデアコンテストなどを開催予定としている。
ecolytiqのサービスでは、デビットカード決済とそれにまつわるCO2排出の総量を表示。さらに、移動や食事、商品購入などの決済ごとにCO2排出の概算を算出し、利用者に伝えるとともにそれを改善する行動を紹介する。
パーソナライズや細かな設定により、精度を上げていくことも可能で、例えば、月のCO2排出で多かったものを確認して、JALの飛行機利用だった場合は、飛行時間が何時間でビジネスかエコノミーか、往復か片道かなどを入力するとより高い精度のCO2排出を算出してくれる。車であれば、ガソリン・ディーゼル・EVなどの設定ができるほか、スーパーでの買い物などについても推定されるCO2排出を表示する。
決済データから細かな商品データが取れない場合でも、自分のライフスタイル、例えばビーガンや肉を多く食べるかなどを入力して、CO2排出の精度を上げていくことは可能だという。
ecolytiqのエヴァン・ペティジョン氏は、ダイエット等と同じく、「行動を記録していくことがCO2排出削減の第一歩」と説明。また細かく行動を振り返ることになるため、カードを集約して使うきっかけになり、結果として支払額の向上なども見込めるという。
ecolytiqではまずはりそなグループでの立ち上げに注力するが、日本独自のモデルを作りながら、今後できるかぎり多くの金融機関と協力してきたいと説明。この仕組み自体はデビットカード以外のクレジットカードなどでも応用可能としている。
りそなグループは、まずはデビットカードから開始するが、これはCO2排出削減への興味が高い若者を重視して、ニーズの確認などを進める狙いがあるとのこと。将来的にはクレジットカードへの対応も検討する。法人展開も可能性はあるが、CO2排出削減の行動変容の起点は個人のデータ可視化となるため、まずは個人を優先して対応していくとした。














