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Copilot、「個人のAIコンパニオン」になる Web・ファイル操作、買い物まで

MIcrosoftは4日(米国時間)、オンラインで「Microsoft 50th Anniversary + Copilot event」と題したイベントを開催した。

その中では、同社のAIサービス「Copilot」の大幅刷新がアナウンスされた。Deep Searchを含む多数の「新Copilot」が用意され、個人が求めるさまざまな機能をカバーする。

機能はウェブに加え、スマホ版・Windowsネイティブ版のアプリがアップデートされ、それらからも使えるようになる。

本記事で紹介する機能は本日から随時提供を開始。プラットフォームや提供国、言語などを拡大しつつ、今後数週間から数カ月の間で提供されていく予定だ。

Say hello to your AI companion

ユーザーとの関係を記憶する「Copilot Memory」

最大の特徴は、個人の利用履歴や好みなどを記録し、「その人のためのAIコンパニオン」になることだ。

マイクロソフトはこの要素を「Copilot Memory」と呼んでいる。

Copilot Memory
Copilot remembers you

同社はリリースの中で「AIコンパニオンは完全にパーソナルなもの。個々のニーズや価値観、期待するものなどから構築される。だからこそ最終的には、Copilotを使用する人の数だけ、異なるCopilotが存在する」としている。

チャットボットとの対話の過程では、「好きな映画」「好みの食事」「家族の誕生日」など、多数の内容を話すことがある。Copilot Memoryはそれらをそれぞれ理解し、ユーザープロファイルの形で記憶する。

その結果として、記録された情報を踏まえた返答を返すだけでなく、Copilot側からの提案やリマインダーも送られてくるという。Copilotの外観についても、プロファイルに合わせて変化していく。

Copilot Memoryはユーザーの許諾の上で動作し、ダッシュボード上で「記憶する内容」を確認、選択した上で利用できる。もちろん、完全にオプトアウトし、一切記憶させないことも可能だ。

ウェブをプロンプトで操作「Copilot Actions」 ショッピング強化

もう1つの大きな機能が「Copilot Actions」だ。

こちらは、Copilotがユーザーに代わってウェブサイトなどにアクセスする技術。イベントやディナーの予約、買い物などを、Copilotとチャットするだけで行なえる。Copilotはチャットの内容に従ってウェブにアクセスし、必要な部分に文字を入力し、操作を完了する。

Copilot Actions
Copilot Actions

特定のウェブだけで動くものではなく汎用的な機能とされているが、複数のサービスが「ローンチパートナー」となっており、それらでの動作が確認されているという。

ローンチパートナーは以下の通り。

  • 1-800-Flowers.com
  • Booking.com
  • Expedia
  • Kayak
  • OpenTable
  • Priceline
  • Tripadvisor
  • Skyscanner
  • Viator
  • Vrbo

この機能はどちらかといえば、ショッピングにフォーカスして紹介されている。

Copilot Actionsとは別に、ショッピングに特化した機能として用意されるのが「Copilot Shopping」だ。

Copilot Shopping
Copilot Shopping

この機能は、価格などを手掛かりに買いたいものを見つける機能。「予算25ドルまででカップを探して」という感じで命令を与えると、その条件に合った商品を検索して見つけてくる。

また、一定の価格より安くなるタイミングを監視させて、条件に合うタイミングで通知してもらうこともできる。

Copilot Visionでファイルやアプリも操作

CopilotはスマホやWindows、Mac用のアプリとしても提供されている。その強化も行なわれる。

目玉は「Copilot Vision」のアプリへの追加だ。すでにウェブ版では提供されているが、この機能は、画像を見せつつ対話することで、質問や回答の精度を高めるものである。

それがスマホ版に組み込まれることで、スマホ内蔵のカメラから自分の目の前にあるものを写しつつ、質問したりプランを立てたりできるようになる。

特に大きく機能アップするのが「Windows版アプリ」だ。

Copilot on Windows

Windows版アプリでは、複数のアプリのウインドウやブラウザのタブ、ファイルなどを扱えるようになる。そのため、Copilotと対話し、アプリを切り替えたりマウスを操作したりすることなく、ファイルの整理や変更なども可能になってくる。

アプリの画面もCopilot Visionが認識しているので、「Photoshopで写真の彩度(Saturation)を変える方法を教えて」といえば、実際に画面のどこを操作すべきかを、声とカーソルの指示などで教えてくれる。

マイクロソフトのデモ映像より。画面内の要素を人間と同じように把握し、機能の説明も行なえる

こうしたインタラクティブなヘルプは今までにもあったが、事前にソフトメーカーが用意しておかなくてはならず、すべてのユーザーの要望には応えられないという欠点があった。

だがWindows版アプリとCopilot Visionの連携により、その場でヘルプは生成されていくことになるので、「思った機能の説明が出てこない」という状況はかなり緩和されるはずだ。

Windowsアプリ向けのCopilot Visionは来週以降、Windows Insider向けに提供が開始される予定だ。

Deep Research搭載 差別化要因は「美しい文書」

検索のための機能も強化される。

Copilot Search

Copilotは初期から、ウェブ検索を組み込んだ形で展開されてきたが、精度や表示形式は継続的に進化を続けている。

今回は「Deep Research」が搭載された。他のサービスでも提供されている機能のマイクロソフト版と言っていい。指示された命題に対して多数のウェブ検索を行ない、さらに深い検討を重ねてレポートを作成する。

Deep Research

大きな違いはビジュアルにある。

Copilot全体のビジュアルが強化されているのだが、Deep Researchの結果も、無味乾燥な文字とシンプルな表の羅列ではなく、わかりやすい画像を伴った、凝ったレイアウトの文書として提供される。

Deep Researchの結果。美しいレイアウトの文書になるのが他との差別化点

これと組み合わせると効果を発揮しそうなのが「Copilot Pages」である。

Copilot Pages
Copilot Pages

この機能は、チャットしながら見栄えの良い文章を組み立てていく機能。「どうすれば人を惹きつける文書を作れるか」といったことを相談しつつ、文章のプランから体裁、中身までをトータルでサポートする。

また、検索した内容などから音声ポッドキャストを自動で作る「Copilot Podcast」も提供される。

Copilot Podcasts

単に話を聞くだけでなく、生成されたポッドキャストを聴きながらCopilotと話し、さらに知見を深めていくことも可能だ。