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ドコモ、通信+スマートライフで組織再編 6月に社長交代

左からNTTドコモ 代表取締役社長の井伊基之氏、次期社長に内定した代表取締役副社長の前田義晃氏

NTTドコモは、6月14日付けで、代表取締役社長に前田義晃氏が就任すると発表した。ドコモ内の組織再編や、海外子会社の設立など新たな動きも明らかにされている。

経営陣交代。54歳の前田社長に

現・代表取締役副社長の前田義晃(まえだよしあき)氏が、代表取締役社長に昇格する。近年はスマートライフ事業に携わってきた人物で、年齢は54歳。ドコモの井伊社長は「思い切って社長・副社長を若手に刷新する」としている。

井伊社長は社長交代の会見にて、就任後に経営を立て直してきたことを紹介した上で、さまざまな取り組みを実施してきたとし「結実するステージを託したい」と新経営陣に期待を寄せた。

前田氏は「当たり前に立ち返り、お客様起点での事業運営に取り組んでいく」と意気込みを語っている。

スマートライフが業績牽引 dポイント1億件

NTTドコモの2023年度の業績は、対前年で増収増益を達成している。営業収益は前年比1.3%増の6兆1,400億円、営業利益は4.6%増の1兆1,444億円、当期利益が3%増の7,951億円、EBITDAが4.3%増の1兆8,678億円となっている。設備投資額は0.1%減の7,054億円。

セグメント別では法人事業、スマートライフ事業が対前年で増収増益を達成。コンシューマ通信事業は機器収支改善やコスト効率化でモバイル通信サービスの収入減を補い、わずかな減収減益にとどまった。

dポイント会員数は2023年度に1億会員を突破。dポイント提携先は90万社、300万店舗の規模になっている。

クレジットカードやQRコード決済など金融決済の取扱高は、前年比で18%増の13兆円1,200億円にまで拡大。7年間で5倍の成長を遂げている。

dカードの契約数は合計で1,775万件の契約。このうちdカードGOLDは1,065万件で、ゴールドカード比率が6割超となり、収益拡大に貢献した。

5G契約数は前年比44%増の2,974万契約。通信全体の4割を占めるまでに拡大している。携帯電話サービスの契約数は全体で8,994万件。モバイル通信ARPUは下げ幅が縮小しているという。

今後の取り組みにつては、ポイントサービスを中心に据えた上で、通信サービスやスマートライフサービスを巻き込んでいくという構想。すでにAmazonでdポイントが貯まるといった連携を発表しているほか、映像サービスへのさらなる投資、投資サービスでのdポイント連携の強化などに取り組む。

dポイントと加盟店の拡大に関連して、アプリ開発や集客などマーケティング支援のソリューションも好調で、経済圏の構築と拡大を図っていく。

コンシューマユーザーに対しては、ドコモの複数のサービスを組み合わせる「サービスミックス提案」を強化し、取扱高の向上につなげたり、解約率の低下を図っていく方針。

通信+スマートライフを統合する新カンパニー発足

コンシューマ向けの展開を強化し、ドコモ内のコンシューマ向け組織を一体的に運営するため、2024年7月に組織の再編を実施する。スマートライフサービスを担当する「スマートライフカンパニー」と、通信サービスを担当する「営業本部」を統合し、「コンシューマサービスカンパニー」を発足させる。

コンシューマサービスカンパニーが誕生することで、ユーザー接点の最適化などを通じて、ユーザー理解のさらなる深化と、ユーザー体験の向上を図るとしている。また事業運営の効率化も実現していく。

このほか、研究開発やプロダクトなど全体的に組織再編が実施される。

海外でWeb3ビジネス

ドコモの決算発表にあわせて、NTTドコモの子会社としてグローバル事業を統括する「NTTドコモ・グローバル」を設立することも明らかにされている。

ドコモの海外の子会社はこれまで、BtoBビジネスが中心になっていたところを、BtoBtoCやBtoCに本格的に取り組める体制を整え、ドコモのコンシューマビジネスのノウハウを投入していく。

主要なテーマはWeb3領域になる予定で、金融、決済、リテールなど、広い分野でWeb3を使ったサービスを、アジアや北米をはじめグローバルで展開する。またIoTやコネクテッドサービスについても、新会社の下で展開していく。