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「イマーシブ・フォート東京」開業 ホームズの世界を没入体験した

お台場・青海駅至近の旧ヴィーナスフォートに、世界初のイマーシブ・テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」が3月1日にグランドオープンした。

料金は、1日入場券とカジュアルなコンテンツが含まれる「1dayイマーシブ・パス・カジュアル」で大人が6,800円から、子供(4歳~11歳)が3,000円から。別途、コンテンツに応じて追加料金が必要。運営は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの経営再建や数々のテーマパークを手掛けてきた森岡毅氏による株式会社刀。

世界観を再現する人間のアクターやセットを使い、バーチャルリアリティーなどとは異なる没入感(イマーシブ)を体験できる全天候型の完全屋内型テーマパーク。国内屈指の面積とする約3万m2の敷地内に12の没入型アトラクションと6つの物販・飲食店舗を備える。イマーシブシアターを中心とする複数のイマーシブ体験のみで構成されるテーマパークとしては世界初。

イマーシブ・フォート東京内に再現された街並み

世界に入り込んで体験するリアリティ

2月29日に開催された報道関係者向けの体験会では、12のコンテンツのうち、6つを体験することができた。そのうちの一つ「ザ・シャーロック THE SHERLOCK -ベイカー街連続殺人事件-」は、60分にわたり世界観を体験できるイマーシブシアターだ。

ザ・シャーロックはその名の通り、名探偵シャーロック・ホームズの世界観を再現したウォークスルー型のコンテンツで、19世紀のロンドンを舞台に、ホームズが事件を解決する様子を体験できる。

シャーロック・ホームズ(左)とワトソン

映画や舞台演劇などと異なり、約3,000m2の敷地に再現されたロンドンの街を参加者が自由に歩き回れるのがポイント。参加者は開始前に渡される「バンダナ」で顔を覆うことで「アノニマス(その場に存在しない存在)」として参加し、自由に物語の舞台を見て回ることができる。

ロンドンの街を再現

例えば映画などの場合、視点は常に制作者の意図する視点からしかみられないが、イマーシブシアターでは、観客は自分の意思でさまざまなシーンを観ることが出来る。たとえば、シャーロック・ホームズに最初から最後までついていき、ホームズの視点から事件を眺めることもでき、助手のワトソンや、レストレード警部などおなじみのキャラクターだけを追いかけていくことも可能で、観客は自分が観たい視点で物語を楽しめる。もちろん、犯人と思われる人物を追跡することも可能だ。

冒頭でホームズが華麗に事件を解決するシーン

会場ではこれを実現するため、実際に48のキャラクターを演じる人間のアクターが配置されており、60分の体験時間の間、ほぼすべてのキャラクターに役割が独自にあたえられ、演じている。ストリートを歩いていれば、当時の上流階級の人の格好をしたキャラクターや、街の人々、浮浪者などともすれ違うが、彼らはただ歩いているだけでなく、それぞれ「普段の生活をしている」という役割がある。酒場にいけば、飲んで騒ぐ男女がいたり、飲み終われば酒場からでて帰宅したり、広場でサーカスを眺めたり、事件がおこれば野次馬になったり、さまざな行動をしている。

ホームズのオフィスに、今回の事件の依頼人であるシャーロットが訪れるシーン
参加者はどこでも自分の好きな位置で物語を体験する
ホームズが移動すると参加者も列をなしてゾロゾロと移動していく
ホームズが事件を解決している間、広場でサーカスが催されている。参加者はホームズを放っておいてサーカスを観ていてもかまわない

参加者はそうした状況の中を自由に移動して楽しむことになるが、参加者は主人公達にとっては背景のような存在で、殺人現場に集まった参加者達を「どいてどいて!」と割って入っている警察官などは、映画のワンシーンで警察が野次馬を押しのけながら現場にやってくる姿を彷彿とさせる。体験中には最大180人の観客が同時に参加するコンテンツであり、何かが起こった現場にはかなりの数の参加者が押し寄せる。それをホームズやレストレード警部らがそれぞれ「らしいしぐさ」で自然にいなすことで、物語がスムーズに進んでいく。

新たな事件現場。警官が駆け回る
捜査中のホームズ

来場者はアノニマスとして、キャラクターからは意識されない存在となり、話すことも禁止されているが、キャラクターから完全に無視されているわけでもなく、街の人々などが席に座っている観客に対して「ちょっと席を譲ってくれるかい」などと時々からんでくるのも面白い。

もちろん、すべてのキャラクターを追いかけることは不可能であり、物語をもっと深く知りたいと思うなら、何度も来訪して体験することが必要になる。そのたびに新しい発見をする、というのもイマーシブシアターの醍醐味の一つだ。

ひと味違う「ヒーローショー」?

12のコンテンツの内の一つ、「スパイ・アクション!」は、イマーシブ・フォート東京内のストリートを歩いている通行人を「フラッシュモブ」的に、突然マフィアが襲うというコンテンツだ。スパイエージェントがマフィアから奪ったマイクロフィルムを取り返すため、マフィアが通行人の中にいるエージェントを探し出すために暴れるというストーリーで、銃をもったマフィアが通行人を威嚇し、通行人達は否応なしに「事件」に巻き込まれる。それを男女ペアの「スパイエージェント」がヒロイックなアクションで助けるというストーリーだ。

通行人が唐突に銃を向けられ事件に巻き込まれる

なんとなく、子供向けのヒーローショーなどをイメージするが、普通のヒーローショーでは観客は「安全な観客席」にいる傍観者であるのに対して、スパイ・アクション!では、その場に居る全員が、実際に銃口をむけられる当事者の一人となる緊張感を味わえることが大きな違い。犯人に目を付けられれば、人質として捕まることもある。もちろん、最終的には「エージェント」が大活躍して助けてくれるが、エージェントもマフィアも観客の目の前で派手なアクションをするので、ヒーローショーとはひと味違う臨場感を味わえる。

観客の間近で派手なアクションが繰り広げられる
マフィアに人質にされることも

イマーシブ・フォート東京では、これらの他にも、ザ・シャーロックと同様にイマーシブシアターとして展開される「江戸花魁奇譚 Tales of EDO OIRAN」や、東京リベンジャーズの世界観を再現する「東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ」、非対称対戦型マルチプレイゲーム「Identity V 第五人格」をアトラクション化した「第五人格 イマーシブ・チェイス IdentityV Immersive Chase」、アニメ「推しの子」の世界観を再現する「【推しの子】 イマーシブ・ラリー」など、さまざまな体験を提供する。なお、江戸花魁奇譚のみ参加可能年齢が18歳以上に設定されている。

なお、ザ・シャーロックと江戸花魁奇譚、東京リベンジャーズの体験は、「1dayイマーシブ・パス・カジュアル」の場合は別料金となっていて、料金はザ・シャーロックと東京リベンジャーズが3,500円、江戸花魁奇譚が9,000円。