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出産助成金をLINEで申請・ATMで受取。渋谷区が初サービス

LINEから出産助成金を申請

渋谷区は、出産時に最大10万円を支給する「ハッピーマザー出産助成金」の申請を渋谷区のLINE公式アカウントから行ない、セブン銀行ATMで引き出せる新たな住民サービスを7月1日から開始した。実証実験期間は2023年6月30日まで。

「LINEで申請・セブン銀行ATMで受取」

ハッピーマザー出産助成金は、渋谷区が区民の出産時の経済的負担の軽減を図り、安心して出産できるように、1人の出産につき10万円を限度に支給する制度。従来、申請は担当部署への申請書などを提出し、支給では指定銀行口座への振り込みを行なう仕組みだった。今回の実証実験では、渋谷区とセブン銀行、セブン・ペイメントサービスが連携し、渋谷区LINE公式アカウントから受給申請を行ない、セブン銀行ATMから助成金を受け取れるようになる。LINEを使った出産助成金の申請は国内初。

ハッピーマザー出産助成金

出産時の経済的負担の軽減を図り、安心して出産ができるよう、渋谷区で出産した人を対象に支給される助成金

助成対象:妊娠12週を超えて(85日以上)出産し、出産日の3か月前から申請日現在まで継続して渋谷区内に住民登録があり、健康保険に加入している人
 (注)妊娠12週を超えた(85日以上)流産・死産の場合も含む
助成内容:1人の出産につき限度額10万円
 (注)加入している健康保険から付加給付が支給される場合は、その額を控除した金額

LINEとセブン銀行ATMを使うことで、時間や場所に制約されずに申請と受取ができるようになる。手続きで区役所に行く必要もないため、里帰り出産で遠方にいる場合も申請でき、全国のセブン銀行ATMで、直接助成金を受け取れる。また、セブン銀行ATMを使うため、銀行口座を持つことが難しい場合でも助成金の受け取りが可能。

渋谷区は、実証実験を通じて、窓口対応や郵送手続き、振込事務などの助成金事務の効率化、助成金対象者の手続き簡素化によるスピード給付などを検証。事務負担軽減と区民の利便性向上を目指す。

LINE活用で「本当の1to1サービス」を目指す

渋谷区の澤田伸副区長CIOは、「渋谷区は非来庁のサービスを推進し、デジタルの力を使っていく。その中でもLINEのサービスを区民との“接点”として重視している」と説明。渋谷区のLINE公式アカウントは、2016年にスタートから順次機能を強化し続けており、世帯カバー率が37%となった。「世帯の1/3にリーチできる大きなメディアになっている」という。

渋谷区 澤田伸 副区長CIO
渋谷区LINE公式アカウントは区民の1/3にリーチ可能

ATMでの受け取りについては、「銀行口座を登録せずに送金できる。自治体で送金を受けるサービスが近年話題になったが、ここはデジタル化ができていなかった部分。今回のサービスは“エース”になる。ハッピーマザーのお祝い金からPOC(実証実験)を始めるが、将来的にはあらゆる送金サービスに使えるのでは」と言及した。

また、「銀行口座登録の場合は、世帯主に入金され、本当に必要な人に届かない場合もある。ATMを使って本当の“1to1”サービスにしたい。そのためのPOC」と述べた。

区が区民にお知らせする手段は“はがき”が一般的だが、多くの公式アカウント利用者がいる渋谷区では「LINE」でプッシュできる点も特徴。また、行政サイドのメリットとしては、銀行口座の情報登録時に「書き間違い」などがあると、職員が問い合わせて修正するといった作業が発生する。それらをLINE上で完結し、わかりやすく申請できるため、行政側の負担も軽減されるという。

行政側もデジタルで管理・確認可能に

ハッピーマザー出産助成金からスタートした理由は、「対象となるほとんどの人がLINEユーザー。子育て世代は限りなく100%近くがLINEを使っており、親和性が高い。実証実験での課題・問題点は、今後本格展開するにあたり修正し、よりよいサービスにしていきたい」とした。

今後の展開として、スタートアップ支援での銀行口座を持たない外国人向けの送金や、生活保護費用などにも活用の可能性があるとした。

渋谷区ハッピーマザー出産助成金「LINEで申請・セブン銀行ATMで受取」