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「殺人事件」でも決済可。表現の自由を担保する「スケブコイン」

クリエイター向けのプラットフォームを展開するスケブは、9月をめどに「Skeb Coin」(スケブコイン、仮称)を発行し、資金調達やクリエイターへの投げ銭、暗号資産交換所での取引開始を目指すと発表した。

Skeb Coinはブロックチェーン技術を用いたユーティリティトークン。Skeb Coinを用いてクリエイターに投げ銭が可能になるチップサービスを開発中で、チップサービスはアカウント不要で利用でき、Skeb独自の「打ち合わせ禁止」といった規約・ポリシーの制約もなく、双方が気軽に利用できるとしている。

またSkebでの決済手段としてSkeb Coinが利用できるようになるほか、決済サービス「Zaif Payment」で決済できる資産にSkeb Coinが追加される予定。

スケブは今回の取り組みの前提として、第三者である暗号資産交換所の審査を経てユーティリティトークンの発行を行ない資金調達を行なうイニシャル・エクスチェンジ・オファリング(IEO)を実施する予定。これにより、Skeb CoinはZaifでも売買できるようになる。また既存クリエイターや既存ユーザー(クライアント)に対しSkeb Coinの無料配布(エアドロップ)も検討中。

なおスケブでは、決済手段をSkeb Coinに一本化するといった制限は導入しない方針。Skeb Coinの導入と同時に、ビットコイン、モナコイン、銀行振込、コンビニ払いにも対応する予定。

クリエイター向けには、どの決済手段が使われても、リクエストの金額は日本円でやり取りし、売上も常に日本円で受け取ると説明。必要な税務処理も今までと同じとしている。

表現の自由が担保された決済手段のために

今回のSkeb Coinの発行にあたってスケブは、Zaif Paymentを運営するカイカエクスチェンジ、親会社のスケブベンチャーズと、IEOの実施・検討について覚書を締結した。

スケブは、ユーザー(クライアント)がクリエイターにイラストなどを有償でリクエストできる「Skeb」(スケブ)を運営。クリエイター登録者数は約11万人、ユーザー登録者数は約210万人となっている。手数料は6.8%~で、最短即日入金の報酬サイクルも特徴。

スケブでは、海外の大手クレジットカード会社が、作品タイトルに「~~殺人事件」など特定の表現があると決済できない旨を通知したといった、大手プラットフォーマーによる表現規制を問題視。新たな決済手段として非中央集権的なメリットも内包するSkeb Coinを開発し、「日本の法令の範囲内で表現の自由が担保された決済手段として普及させたい」としている。

独自の暗号資産を開発する背景については、ビットコインですら、Skebがフォーカスしているサブカルチャー層には普及していないと指摘。Skeb Coinでは当初のエアドロップ(無料配布)を相当量にして普及を図る方針で、これは既存の暗号資産で同様のことをすると莫大な資金が必要で現実的ではないとしている。またIEOによる資金調達で開発費などの初期費用も賄う予定で、Skeb本体の事業の手数料収入を転嫁せずに済むと説明している。

なお同社はSkebの利用者に対して、「NFTに関する事業に今後も関与する予定がない」と表明している。