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人間証明の「World ID」本格展開から3年 認証から“利用”へ
2026年7月28日 15:21
オンライン上で人間であることを示す認証基盤「World ID」を展開するTools for Humanityは、日本で「World ID」を利用できるサービスや企業との連携を拡大。これまでの認証者数を増やす段階から、日常的にWorld IDを使える用途を増やす「フェーズ3」へ移行する。
また、日本代表には、過去にUber Japanの執行役員社長として「Uber Eats」の国内展開などを牽引した髙橋 正巳氏が、牧野 友衛氏の後任として就任する。
World IDは、氏名などの個人情報をサービス事業者へ渡さず、利用者が実在する一人の人間であることを証明する仕組み。2019年に設立されたTools for Humanityがプロジェクトを主導し、World IDの人間証明ネットワークの本格展開から3年を迎える。
同社はこれまで、人間証明の技術基盤を構築する「フェーズ1」と、認証者のネットワークを拡大する「フェーズ2」を進めてきた。今後は、World IDを利用できるサービスや用途を増やす「フェーズ3」に入る。
日本はWorldプロジェクトが定める重点5カ国の一つ。国内では、人間であることを認証する端末「Orb」の設置や利用を進めてきたほか、マッチングアプリ「Tinder」とWorld IDの連携を世界に先駆けて実施した。
髙橋氏は、今後の国内展開について、まずはユースケースや連携先を増やすことが直近の目標と説明。認証者数そのものを追うのではなく、既存の認証基盤を実際のサービスで利用できる環境づくりを優先する。
日本で取り組む3つの重点領域
日本での重点領域として、プライバシーに配慮したインターネット上の信頼基盤の構築、国内パートナーとの連携拡大、AIエージェントによる取引の仕組みづくりの3点を挙げた。
1つ目は、利用者が個人情報を繰り返し提供することなく、情報の閲覧や買い物、他者との交流を行なえる環境の構築。相手が実在する人間かを確認する仕組みを、インターネット上の信頼を支える基盤として展開する。
2つ目は、World IDを組み込む国内サービス事業者との連携。マッチングアプリ、オンラインゲーム、SNS、イベントチケットなど、人間が利用することを前提としてきたサービスでの導入を想定する。
3つ目は、AIエージェントがオンライン上で取引する際の確認手段。エージェントが利用者から正しく権限を委任されているか、商品購入などの重要な場面で人間による承認が行なわれたかを確認する仕組みを、パートナー企業と整備する。
Uber Eats立ち上げから「信頼」の領域へ
髙橋氏は2016年、日本でUber Eatsの立ち上げを担当した。当時は、会ったことのない人が食事を運ぶサービスが一般的ではなく、スマートフォンやGPSを利用して、利用者と配達パートナーの間に信頼を構築することが課題だったという。
その後はベンチャーキャピタルに移り、AI関連のスタートアップと接するなかで、画像や映像、音声を容易に生成できる技術の進展を実感。同時に、インターネット上で相手が人間なのか、本人なのかを判断しにくくなっていると感じた。
AIの進化が続くなか、3年後、5年後ではなく、今から信頼の仕組みづくりに取り組む重要性を強調した。
Tinderでは年齢情報を渡さず「18歳以上」を証明
Tinderでは、World IDとアカウントを連携した利用者に、実在する一人の人間として認証を受けたことを示すバッジを表示する。複数アカウントを使った悪用などの可能性を下げ、利用者が相手を判断する材料として利用できる。
マイナンバーカードとの連携では、生年月日そのものをTinderへ送らず、「18歳以上か」という問いへの回答だけを提供する。サービス事業者へ必要以上の個人情報を渡さずに、年齢条件を確認できる仕組み。
オンライン会議サービス「Zoom」との連携では、会議中の映像とセルフィーなどを照合し、本人確認が取れた利用者にバッジを表示する。ディープフェイクを使ったなりすましへの対応を想定している。
フェーズ3後のフェーズ4では、World IDの利用領域を広げるとともに、仕組みの分散化を進める。続くフェーズ5では、構築した技術基盤やユースケース、ユーザーネットワークを活用し、AIが高度化した環境でも人間がインターネットを利用できる状態を整える。



