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スタートアップと“組込”金融に集中。GMOあおぞら銀の新戦略

GMOあおぞらネット銀行は6日、事業戦略説明会を開催し、スモール&スタートアップ向けや組込型金融サービスなどでナンバーワンを目指す方針を示した。同社が強みを持つスタートアップ向けのサービスなどを集中的に強化していく。

開業から4年目を迎え、中長期の事業計画を発表。3つの柱として、「1.スモール&スタートアップ企業向け銀行No.1」、「2.組込型金融サービスNo.1」、「3.テックファーストな銀行No.1」を策定した。

事業開始当初は、GMOクリック証券との銀証連携などで個人向けにも力を入れる方針を示していたが、個人・法人の両面でのナンバーワン実現には「体力不足」と認識したという。一方、同行はスタートアップ企業からの口座開設の申込が多く、高い支持を得ている。また、銀行APIの提供が拡大しており、活用企業や市場の支持も高まっていることから、法人向け、特にスタートアップなど「いまの強み」をさらに強くしていく事業方針とした。

スタートアップ対応を強化

ネット企業の銀行サービスとして、法人分野に注力。スモール&スタートアップ企業向けに特別な商品を用意するのではなく、標準の銀行サービスをスタートアップに使いやすいものにしていく。

2021年度中に、法人口座への新サービスを追加。7月12日からは、小額自動立替「あんしん10万円」を提供開始し、法人口座開設時やインターネットバンキング上で申し込むだけで、融資審査書類不要で10万円の融資枠を標準装備する。これにより、ビジネスデビットカード利用時や、口座振替時に残高不足となることがあっても、この10万円の融資枠から支払えるため、「資金移動をうっかり忘れてしまった」といった際の支払いミスを防げるとする。

資金繰りを見える化する「入出金アプリfreee入出金管理 with GMOあおぞらネット銀行」も12日から提供開始。同行だけでなく、他金融機関の口座も一元管理できるアプリを無償提供し、取引銀行の口座残高や入出金明細を一元管理。法人の残高管理や資金繰り管理をサポートする。

かんたん組込型金融サービスで「銀行」ビジネス拡大

また、銀行APIを提供する「API連携サービス」や「プラットフォーム銀行サービス」として提供してきたサービスを「かんたん組込型金融サービス」に名称変更。利用するパートナー企業のニーズに合ったサービス体系とする。

現在137社と契約しているが、銀行APIや専用カード、専用支店など、利用する企業のビジネスに必要な銀行機能を組み込めるよう提案を強化していく。一例として、「給与前払いサービス」に銀行口座機能を提供するなど、銀行サービスの「パーツ」を事業者のサービスにあわせてつなげていく。

また、組込型金融サービスのマーケットプレイス「ichibar(イチバー)」も2021年夏に開始。同社の銀行APIやサービス以外のサービスとつながる仕組みを構築していく。

2021年は法人向けのサービスに戦略を集中し、開発を強化。そのために、「エンジニアファースト」し、現在40%超のエンジニア人員を50%にまで引き上げる。