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パナソニック、バッテリー交換タイプの“電源ポイント”。オフィスや災害時に

「e-block」(イーブロック)のコンセプト。下半分は今後の開発イメージ

パナソニックは、交換できるバッテリーでオフィスや公共空間の“電源ポイント”を稼働させるシステム「e-block」(イーブロック)を発表した。5月21日から受注を開始する。価格はバッテリー単体が8万円(税別、以下同)、組み合わせる充放電器が5万円~。基本的に法人向けに販売される。

イーブロックは、コンセントを備えた充放電器とバッテリーをセパレート型にし、バッテリーを交換可能で可搬型とした製品。バッテリー単体の重量は約2.9kgで、水を持ち運ぶ程度の可搬型とした。類似製品はなく、新しいコンセプトの製品としている。

例えば、電源のない場所に、“電源ポイント”としてコンセントを備える専用の充放電器を設置。バッテリー部分を複数台用意し、充電がなくなったら交換するという使い方ができる。バッテリー単体でもUSBの給電機能を備え、災害時には避難所で複数台を配るといった柔軟な運用が可能になる。

充放電器は、コンセントを1口備える「イーブロックデスク」のほか、コンセントを2口とUSBポートを2つ備え、ポート類がデスクの上に届くよう縦長にした「イーブロックスタンド」の2種類をラインナップする。充放電器を壁のコンセントに接続して使用した場合、バッテリーには充電のみを行なうバイパス運転が可能で、停電時にはバッテリーからの給電に切り替わる。なお、UPS(無停電電源装置)としての機能は搭載されていない。

イーブロックデスク
バッテリーを交換可能
イーブロックデスク利用イメージ
イーブロックスタンド
バッテリーを交換可能
イーブロックスタンド利用イメージ

イーブロックのバッテリー1台の蓄電容量は304Wh。スマートフォン(12Wh)は約25台分の充電が可能で、ノートパソコン(51W)は約5時間、卓上照明(12W)は約23時間の給電が可能。

イーブロックのバッテリー部分は、単体でUSBポートを2つ備えており、充放電器を介さずにスマートフォンなどへの給電が可能。Bluetoothでスマートフォンの専用アプリと連携でき、アプリでは複数台のバッテリーの充電状態をまとめて確認したり、充電切れのプッシュ通知を受け取ったりできる。

イーブロックのバッテリー
バッテリー単体の利用イメージ
停電時の利用イメージ

このほかイーブロックのバッテリー単体と充放電器の双方でPSEマークを取得、システム全体でSマーク認証を取得し、高い品質と安全性を実現するとしている。

バッテリーには、長期保管に備えるスリープ機能も用意され、このモードでは1年に1回の充電で済むようになる。廃棄時向けに、安全性を高める「廃棄放電処理機能」も用意された。バッテリーの寿命は1日1回の充放電を行なった場合で約5年。

イーブロックのバッテリーの本体サイズは98×110×220mm、重さは約2.9kg。蓄電容量が304Wh、定格容量が11.84Ah。USB Type-A端子の出力は5V、2Aで、2ポート同時は合計3Aまで。

イーブロックデスクの本体サイズは130×257×161mmで、重さは約2.6kg。AC出力はバッテリー使用時で3A、300VA。バイパス(壁コンセント使用)時は13A、1,300VA。

イーブロックスタンドの本体サイズは200×260×912mmで、重さは約4.9kg。ACコンセント2つ、USB Type-Aポート2つを備える。AC出力はバッテリー使用時で3A、300VA。バイパス(壁コンセント使用)時は13A、1,300VA。USB Type-A端子の出力は5V、2A×2。

パナソニックは、イーブロックにより、大規模災害で避難所の充電スポットに人が集まるといった状況を改善できるとしている。また、コロナ禍を発端とした働き方の変化についても、自宅、刷新されたオフィスのフロア、カフェといったさまざまな場所で新たに電源ポイントが必要とされており、イーブロックが「場所を選ばない電源ポイント」になるとしている。

すでに自治体や企業と共同展開の検討がスタート。2021年度の販売目標は3万台で、2030年度には12万台の販売を目指す。今後は複数台のバッテリーをまとめて充電できる製品を開発するほか、医療向けなどさまざまな開発も行なっていく。