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震度計で捉られない“揺れ”を共有し地震防災活用。JX通信社

JX通信社は、震度計では捉えきれない細かな地域ごとの揺れの「体感」を収集表示する「精密体感震度」機能の提供を、ニュース速報アプリ「NewsDigest」で開始した。個人の主観による「体感震度」と気象庁発表震度とのズレを解消し、防災情報として役立てる試み。

NewsDigestアプリの通知と位置情報の収集を許可しておくと、地震発生時、アプリ上で「どの程度の揺れを感じたか」をユーザーが投稿できるボタンが表示される。自分が感じたと思った震度のボタンを押せば位置情報とともに情報が投稿される仕組み。データは匿名化され個人情報は収集しない。

地震学者の慶應義塾大学・大木聖子准教授監修のもと、産学連携のプロジェクトとして開発された機能。

気象庁などが設置する震度計設置箇所(震度観測点)は、全国で4,300点ほど。単純に平均すると1つの基礎自治体ごとに2から3箇所となるため、震度計の設置場所が地震の所在地から離れていたり、地盤が異なっていたりする場合に、発表される震度と「体感震度」にズレが生じる場合がある。

体感震度のズレは、下記の要因が考えられる。

  • 震度計の設置場所があなたのいる場所から離れている
  • 震度計の設置場所とあなたのいる場所とで地盤の揺れやすさが違う
  • あなたのいる建物が揺れやすい/揺れにくい
  • あなた自身が揺れを感じやすい/感じにくい

こうした違いから、被害状況と震度情報のズレが生じること、救助の初動遅れの原因になりかねないとし、特に夜間の地震では、翌朝上空から調査するまで被害の全貌が把握できないため、現地の体感震度を報告共有することで震度計の空白を補う情報として活用。精密な位置情報と結びつけた体感震度の情報を集めることで、地震被害のリスクを事前に把握し、細かく対策できる可能性があるという。

こうした取り組みを進めることで、南海トラフ地震や首都直下地震などの大地震に備えた防災・減災の取り組みへの応用を目指す。