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富士フイルム、PCR検査を迅速化。最大6時間が約75分に

富士フイルム和光純薬は、新型コロナウイルス用遺伝子検出試薬「ミュータスワコー COVID-19」の発売を開始した。専用の全自動遺伝子解析装置を使うことで、通常、4から6時間かかるPCR検査時間を最短約75分に短縮し、検査員の負担を軽減する。

独自のμTAS(ミュータス)技術をPCR検査に応用した、全自動遺伝子解析装置「ミュータスワコー g1」用の検査試薬。採取した検体を専用の前処理チューブに入れ、酵素溶液、試薬カートリッジ(ミュータスワコー COVID-19)、マイクロ流路チップを装置にセットする数分の作業のあとは全自動で検出が可能。これにより従来、4から6時間かかっていた検査時間が、約75分へと短縮される。

厚生労働省健康局結核感染症課及び国立感染症研究所による「臨床検体を用いた評価結果が取得された 2019-nCoV 遺伝子検査方法について」によると、陽性一致率(検査結果が陽性だった人のうち、真に陽性である人の割合)は100%、陰性一致率も100%とし、保険適用対象となっている。

ミュータスワコー g1は、核酸(RNA)の抽出・精製から、RNAをDNAに転換する逆転写反応、DNAの増幅・検出までの工程を全自動で行なえる装置。全ての検査工程を、プラスチックなどの基板上に設置された、nm~µm オーダーの「マイクロ流路」上で行なうのが特徴。反応の場が小さいため、装置の小型化、温度コントロールや反応の迅速化等多くのメリットがあるという。

同社では、これらにより作業時間を最小にすることで感染リスクを低減するほか、熟練した検査員でなくても簡単に扱えることから、検査員の負担軽減と、幅広い医療機関での検査に貢献するという。