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増税とキャッシュレス化の外食産業への影響。消費者はポイント還元を重視

ホットペッパーグルメ外食総研は、外食産業におけるキャッシュレスについての記者向けイベントを開催。2018年度の外食・中食市場や、飲食店におけるキャッシュレス決済の利用実態などの調査結果などを踏まえ、今後の消費者の動向の見込みやそれに対する店舗側に必要な対応を紹介した。

左からホットペッパーグルメ外食総研 有木真理氏、ホットペッパーグルメ外食総研 エヴァンジェリスト 竹田クニ氏、経済産業省 キャッシュレス推進室長 津脇慈子氏、Airペイサービス責任者 塩原一慶氏、ホットペッパーグルメ外食総研 上席研究員 稲垣昌宏氏

夕方以降における外食、中食の市場規模調査の結果では、2018年度の外食市場が前年度比+1.5%、中食市場が+4.5%と、どちらも増加傾向。一方で、飲酒機会が減少。女性の就業率上昇や、男性の子育て参加、働き方改革といった社会的な背景や、郊外の大型モール整備により、居住地近辺で、家族での食事中心の外食が増加傾向としている。

消費増税前での意識調査で、節約したい費用の中では食費が低めであることから、今後も中食などを中心に増加していくと考察している。外食する飲食店を選ぶ際にポイント還元を気にする人が6割以上いるという結果から、飲食店がキャッシュレス対応することで、消費の拡大が見込まれるとしている。

イベントには、経済産業省 キャッシュレス推進室長の津脇慈子氏も登壇し、キャッシュレス・消費者還元事業の概要を説明。消費者に一度キャッシュレス決済を使ってもらい、その便利さを感じてもらうことが目的としている。キャッシュレス化による消費者の利便性向上のほか、店舗側は業務効率化でき、接客などの人が価値を生み出せる作業に集中でき、店舗が提供したいサービスを生み出せるとした。

ホットペッパーグルメ外食総研 エヴァンジェリストの竹田クニ氏は、オールキャッシュレスの店舗「GATHERING TABLE PANTRY」を例に挙げ、キャッシュレス化による利点を説明。この店舗ではキャッシュレスのほか、セルフオーダーや自動発注、キッチンにも新調理機器を導入するなどして、店舗作業をIT化。接客以外の作業を自動化している。

その結果、店長の管理・事務仕事の割合を大幅に削り、ミーティングやマネジメント、接客に注力。利用客と商品について意見を聞いたりと、サービス業にふさわしいコミュニケーションが取れているとしている。

中小規模の店舗では、Airペイを導入した飲食店を紹介。従来の決済端末と比較して、決済速度や操作性が向上したほか、利用客の目の前で決済が完了するため、外国人のクレジットカード利用者にも不信感が持たれないという。また決済手段が増え、キャッシュレス利用者は全体の3割に増加。今後、外国人の利用客が増える見込みとしている。

Airペイサービス責任者の塩原一慶氏は、多様化した決済手段をいかに対応できるか、インバウンド消費を獲得できるかをAirペイで解決。また、台帳管理やアルバイトのシフト管理なども「Air」ブランドで解決できるようラインナップを整え、テクノロジーの力を使って解決していくと述べた。

キャッシュレス還元事業、9月後半にかけて消費者向け広報強化

キャッシュレス推進室長の津脇氏は、キャッシュレス・消費者還元事業について、今まで加盟店を中心に広報活動を行なってきたが、9月からは消費者向けに強化していくと述べた。

まず、9月中旬にマップ上で加盟店が確認できる地図アプリについて発表。9月末までにはキャッシュレス消費者還元事業のホームページで、消費者向けページを拡充。対応の決済手段や、ポイントの還元方法についてまとめたページを公開するとしている。