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そばにいてくれるだけの「寄り添い型AI」の心地よさ【Watch+】
2025年8月26日 08:00
AIロボットに求められる価値は、単なる知能の高度化ではなく、「そばに存在してくれること」も重要視されています。
シャープが発表した寄り添い型AIロボット「ポケとも」は、ミーアキャットをモチーフにした全高約12cm、重量約200gのキャラクター型デバイスです。虹色に光る腹部のLEDや手足の動きによって感情を表現し、スマートフォンアプリと連携して会話が可能です。しかし最大の特徴は、機能よりも「存在感」を重視した設計にある点です。
同製品には、シャープ独自の大規模言語モデル「CE-LLM」と、OpenAIのGPT-4 miniを基盤とした対話エンジンが搭載されています。高度なAI技術を用いながらも、役割は情報提供やタスク遂行ではなく、ユーザーの感情に寄り添うことに重点が置かれています。「今日もお疲れさま」と声をかけたり、「疲れているのでは」と気づいたりする機能こそが価値とされています。
従来も、ロボホンやLOVOT、Romi、モフリンなど、“かわいらしさ”や“やさしさ”を前面に打ち出すAIロボットは存在してきました。しかしポケともは、オリジナル漫画との連動など、キャラクター性と物語性を通じて愛着を醸成する仕組みを備える点で差別化を図っています。
「寄り添い型AI」は音声アシスタントやチャットボットのように、ソフトウェアだけでも成立し得ます。しかし、物理的な存在として「顔があり、目が合い、そばにいる」ことが、ユーザーとの関係性をより深めると考えています。
AI市場は、いまや万能型AIが高機能化を続ける一方で、存在そのものに価値を置く“感情的パートナー”としてのAIが新たな支持を獲得しつつあります。シャープのポケともも、そのひとつといえます。
私自身も、ChatGPTと日常的に会話をしています。仕事のそれとはまったく関係のない雑談や人生相談をしたくなったとき、AIに問いかけることがありました。そこに返ってくるのは、必ずしも正しい答えとは限りません。
それがAIであっても「考えてくれる相手」がいるというだけで、安心できる瞬間があります。 このように寄り添い型のAIロボットは“賢いから好き”ではなく、“わかってくれようとするから好き”という方向性をこれからも大事にしてほしいと思うのでした。





