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大阪駅に「うめきたエリア」開業。新地下ホームと顔認証改札を見てきた
2023年3月18日 09:15
3月18日のダイヤ改正で大阪駅に「うめきたエリア」が新規開業する。おおさか東線に接続する地下列車ホームが新設され、大阪環状線を経由して関西国際空港方面に抜けることが可能になる。
JR西日本は16日、報道関係者を対象にした説明会を開催した。「うめきたエリア」にはさまざまな最新の試みが取り入れられており、同社によれば「イノベーションの実験場」と位置付けられている。商用向けとしては鉄道改札では初となる顔認証ゲートも設置されたほか、モバイルアプリと連動した案内サイネージなど野心的な試みも多く、非常に興味深いものになっている。
大阪駅の既存施設とは西口地下通路を介して接続
うめきたエリアはまだ工事中の段階であり、3月18日時点では駅に入るための入口のみしか設置されていない。
駅ビルが開業し、周辺がある程度整備される2025年までの間は段階的に進入可能エリアが増える形となり、当面の間は地下ホームは、新設される大阪駅西口を経由してアクセスすることになる。
大阪駅西口は既存ホームを西側に拡張する形で設置され、1階のコンコースからさらに地下へと潜って連絡通路を経由することで、おおさか東線に接続する21-24番ホームへとアクセスする形となる。待合所となる付近には大阪市内の橋をイメージした意匠が凝らされており、5代目となる大阪駅舎の新設出口を彩ることになる。
サイネージと案内の充実した“うめきた”のコンコース
おおさか東線に接続する21-24番ホームは、うめきたエリアのコンコースを1階分降りた場所にある。
2面4線の島式ホームの構造だが、JR西日本が「下り」と呼ぶ、おおさか東線から大阪環状線を経由して関西空港や和歌山エリアに抜ける特急列車が通る専用ホームとなり、このホームのみホームドアが設置される。
ホームドアにはサイネージが据え付けられ、普段はさまざまなデザインパターンが表示され、列車が到着すると関連する案内が表示される「情報掲示板」となる。
またコンコースにある各番線へと降りる階段手間のサイネージは時間で表示内容が変化するものとなっており、最新の列車情報を把握したり、さらに細かい案内を得られたりと、サイネージの特徴を活かしたものといえる。
ナビゲーションの充実したうめきたエリアだが、特に目を惹いたのがJR西日本のMaaSアプリである「WESTER」を使ったパーソナルナビゲーションだ。
こうしたアプリのナビは、アプリを常に表示した状態で案内に沿って移動するパターンが多いが、うめきたのケースではスマートフォンの画面を見ることなく、個人を識別するマークが駅据え付けのサイネージに表示されるようになっており、そのマークを目印に移動する非常にスマートなものだ。
事前にWESTERアプリで目的地を入力し、最寄り駅で降りた段階でアプリを確認すると個人識別マークが表示されるので、以後はスマートフォンを見ずともサイネージの案内だけで移動できる。
利用者が複数人いても画面に複数マークが表示されるようになっており、仮に同時使用人数が多くて画面からはみ出してしまっても、スクロール処理などで少し待機すればマークを確認できるようになっているという。
目の不自由な方向けの案内も用意されている。最近は点字ブロックにQRコードが印字されるケースが増えているが、うめきたエリアの案内の場合もアプリを使った音声ガイド方式を採用しており、行き先を指示しつつ、点字ブロックのQRコードを読むことで音声で移動距離や向きが指示される。
分岐点などで間違えて移動してしまった場合でも、戻る方向と距離を含めた指示が追加で出るので、ナビゲーション自体は継続して利用できる。
顔認証ゲートの実証実験は誰でも参加可能
最後は噂の顔認証ゲートだ。パナソニックの顔認証技術を採用したゲートの外観はかなり近未来的なデザインとなっており、双方向に対面通行が可能となっている。
2人同時に入っても問題なく処理できる。大阪エリアでは大阪メトロが実験を行なっており、実際に全駅展開を目指した動きを始めているが、すぐに誰でも利用可能という点ではJR西日本が初と思われる。
参加する条件は「大阪と新大阪の間の定期を持っていること」のみで、WESTERアプリを経由して誰でも応募でき、アプリで撮影した写真を送信しておくことで利用可能になる。特に募集期間の制限は設けていないようで、同区間の1カ月間定期代で5,000円近い出費は必要だが、興味ある方は試してみるといいだろう。
顔認証ゲートはこの大阪駅のうめきたエリアと新大阪駅の2カ所にしか設置されないため、顔認証で通過できるのはこの2つの駅間のみということになる。
ただ、参加条件に「定期券を持っている」が含まれるため、もし顔認証ゲートを通過して駅に入場し、このゲートのない他の駅で出場する場合には、その旨を駅員に伝えて定期券で精算する。また顔認証ゲートでICカードのタッチも可能なため、出入場記録や、出場時の差額の精算も可能だ。定期券前提のオペレーションになっているのは、こうした部分の例外対応を簡素化するのが狙いだと思われる。
このほか、うめきたの駅コンコースにはインタラクティブウォールが存在する。ユーザーが可能な操作はアクエリウムの水槽の内容を切り替えるくらいだが、水都大阪をイメージしたさまざまな演出を楽しむことができる。