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ワクチン接種証明書をスマホで発行した。本当に5分で完了

「新型コロナワクチン証明書アプリ」が20日に公開されました。5分程度でスマートフォンからワクチン証明書が入手でき、国内外で新型コロナのワクチン接種を示す公式な証明書として使えます。

発行に必要なものは、NFC対応のスマートフォンとマイナンバーカード(と4桁のパスワード)。マイナンバーカードの普及率は日本の人口の約4割で、まだ「誰もがすぐに発行できる」という状態ではありません。また、「マイナンバーカードに旧姓併記がある」「パスポートに旧姓・別姓・別名の併記がある」などの場合は、アプリで発行できないといった課題もあります。

しかし、特に海外用の接種接種証明書は、これまで原則郵送での申請となり時間も手間もかかっていたことを考えると、大きな進歩といえます。新型コロナワクチン証明書アプリで証明書を発行してみました。

接種証明書アプリ(iOS)

接種証明書アプリ(Android)

本当に5分で発行完了

用意するものは、マイナンバーカードとスマートフォン。スマートフォンがNFC Type Bに対応しており、iOS 13.7以降、Android 8.0以降が必須となります。NFC Type Bというと難しいかもしれませんが、要するに「マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン」ということです。

また、証明書は海外用と国内用が用意されており、海外用も作る場合はパスポートが必要です。

今回はiPhone 12 Proでアプリをインストールしてテストしました。まずは画面の説明に従って、利用上の注意などを確認し、利用規約に同意。その後、国内用、海外用の申請書を選択します。国内・海外を同時に進めることも可能です。

国内・海外を選択

用途(国内・海外)を選択すると、暗証番号を入力する画面がでます。ここでマイナンバーカードの4桁のパスワードを入力し、マイナンバーカードをかざします。マイナンバーカードのパスワードは、3回間違えるとロックされてしまい、自治体の窓口で解除して貰わないとオンライン認証などに使えなくなってしまいます。この点は注意しましょう。

暗証番号の入力
カードをスマホでスキャン

スマホのNFCをマイナンバーカードにかざすと、マイナンバーカードから自分の情報を取得してくれます。

さらに海外用の申請では、この後にパスポートの読み取りが必要です。パスポートの自分の写真が入っている券面情報をカメラで撮影して取得します。この場合、写真からOCRで情報取得するため、例えば[1]が[L]に誤認されるというケースもあります。パスポート番号や名前の確認をしっかり行ないましょう。

パスポートの写真がある券面を撮影

その後、自治体を選択しますが、カードをスキャンした場合はすでに選択済みとなっています。自治体は「接種券」が配布されたところです。東京都渋谷区であれば、渋谷区を選択します。「職域接種で接種会場は別の市区だった」という場合でも、接種券が配布された自治体(多くの場合は居住自治体)となります。

自治体を選ぶと、接種記録が表示されます。氏名、接種回数、ワクチンの種類などを確認しましょう。接種記録登録時の誤りが多数確認されており、自治体で調査・修正作業を行なっています。自分の情報が間違えていないか、ここでしっかり確認しておきましょう。間違えている場合は自治体に連絡する必要があります。

情報に問題がなければ、[発行する]をタップで、発行完了です。タップ後に20秒程度の待ち時間がありますが、これが終われば接種証明書やコードが発行されます。発行が完了するとアプリ画面上で二次元コードなどが表示できるようになります。

筆者の場合、記事作成用にスクリーンショットや写真を取りながらでも5分弱で発行が完了しました。

接種証明書アプリによるコード取得と利用イメージ

ウォレット登録や複数台利用に対応

証明書はアプリ上で確認でき、青が国内用、赤が海外用のコード/証明書表示になります。

国内用はプライバシーに配慮し、最初の表示時には接種回数と接種日時などを大きく表示し、二次元コードや氏名、生年月日は畳み込まれています。コードをかざす場合は、[二次元コードを表示する]をタップして開きます。

国内用は初期状態ではコードを閉じている
コードを表示するで二次元コードを表示

海外用は2種類用意されており、いずれも直ぐに氏名やパスポート番号がわかるようになっています。

海外用のコード

iPhoneでiOS 15以降の場合は、接種証明書のQRコードをスクリーンショットし、カメラで撮影すると「ウォレット」やヘルスケアアプリに登録できます。

コードのスクリーンショットを撮影して、ウォレットにコードを追加

証明書が必要なときには、ウォレットから直ぐに提示といった使い方も可能になります。

ヘルスケアアプリに予防接種レコードとして登録
ウォレットアプリの「ワクチン接種カード」

また証明書アプリは、複数台での登録にも対応しています。AndroidのPixel 6 Proを使って試したところ、設定もiPhoneとほぼ同じで、今度は2分弱で国内・海外の両用のワクチン接種証明書が発行できました。これは確かにラクです。

iPhone(左)とAndroid(右)の両方で接種証明書を取得

今後3回目のブースター接種も予定されています。その場合、再度アプリで接種証明書の発行を行ない情報を更新する必要があるとのことです。

つかいやすい「証明書」の登場

ワクチン接種証明書の発行はとてもシンプルで「マイナンバーカードさえ持っていれば」非常に使いやすいものです。別姓のカードが通らないなどの課題も残っていますが、使いやすいサービスと言う意味では、とても良いものといえます。

ワクチン証明については、民間や東京都の「TOKYOワクション」など、接種証明書的な機能を持ったアプリやサービスも登場しており、「乱立」といえる状況です。ただし、政府の公式となるのは「接種証明書アプリ」です。現時点では国内利用についてそれほど積極的な告知はされていませんが、今後イベント入場などでは活用されていく可能性は高いでしょう。

また、海外渡航には必須といえるサービスになります。デジタル版ワクチン接種証明書の海外利用については、米国や欧州の主要国、オーストラリア、韓国、シンガポール、香港など76カ国・地域で対応しています(12月13日時点)。

アプリでの接種証明書の発行時はネットワーク通信が必須となりますが、一度発行が完了していれば、証明書の表示には通信は不要です。そのため海外でスマホで通信できない場合でも証明書の表示は可能です。

なお、これまでどおり紙の証明書も発行し、マイナンバーカードを持っていない人などは、紙の証明書を利用する形です。また、別姓併記のマイナンバーカードで発行できない問題も、近日中の改修で対応予定としています