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住友新宿ビルに未来型無人化店舗「SECURE AI STORE LAB」

住友新宿ビルに7月13日オープンする未来型無人化店舗「SECURE AI STORE LAB」

住友新宿ビル地下1階に未来型無人化店舗「SECURE AI STORE LAB」が7月13日にオープンする。オープンに先駈け7月1日より、関係者や報道陣を対象としてプレオープンとなったため、開設の狙いや実際の店舗の様子などを紹介する。

SECURE AI STORE LABを運営するセキュアは、顔認証などの生体認証システム、生体認証などを利用した入退室管理システム、監視カメラシステム、画像解析ソリューションなどを手がける企業だ。これまで実際に製品を販売する小売店舗の運営は手がけていなかったそうだが、新型コロナウイルスの影響などからデジタルシフトが加速しており、今後は小売店舗でもIT化が進むと考え、今回実際にSECURE AI STORE LABの運営を行なうことでノウハウを蓄積しつつ、店舗運営の効率化を高めていき、実際の小売業者や企業に新しい価値を提供することを狙いにしている。

SECURE AI STORE LABは、7月1日よりアイスタイルトレーディングが運営する「アットコスメニッポン」とコラボレーションして店舗を展開。7月1日から12日まではプレオープンとして限定公開、7月13日からは一般の人も利用できるようになる。店舗面積は5坪、販売アイテムはアットコスメニッポンの化粧品を26商品用意する。営業時間は午前9時から午後7時までとなり、水曜日と土日祝日は休業。

セキュア取締役 事業開発部 部長の平本洋輔氏は、今回のSECURE AI STORE LABを自社で運営することで積極的に新しい取り組みを行なえること、店舗を持つことで様々なデータを蓄積しAIを強化できること、そして店舗を一般公開するので実績のあるサービスとして販売できる、という3つのアドバンテージがあると説明する。そして、小売店が抱える様々な課題を解決するソリューションとして、将来はドラッグストアや本屋、カー用品店などのロス率の高い小売店舗や、駅構内などのデッドスペースを活用した店舗、省人化を進めたいコンビニエンスストアやスーパーなどに販売していきたいという。

株式会社セキュア取締役 事業開発部 部長の平本洋輔氏
SECURE AI STORE LABの運営は、店舗運営の効率化を高め、小売業者や企業に新しい価値を提供することを狙いにしている
ドラッグストアや本屋、カー用品店などのロス率の高い小売店舗、駅構内などのデッドスペースを活用した店舗、省人化を進めたいコンビニエンスストアやスーパーなどをターゲットにシステムを販売したいという

今回運営されるSECURE AI STORE LABには様々な特徴があるが、中でも特徴的なものは次に挙げるものだ。

SECURE AI STORE LAB利用者は、あらかじめ公式サイトでユーザー登録を行ない、氏名やクレジットカード情報を登録しておく

まずは、顔認証による手ぶら決済。利用者はあらかじめ氏名、電話番号、クレジットカード情報などを入力して会員登録を行なっておき、初入店時に店頭のカメラを利用して顔情報を登録。それ以降は入り口のカメラで顔認証を行なって入店し、購入したい製品を手に取り、そのまま顔認証を経て退店するだけで決済が完了する。

これまでにない購買体験を実現している点も新しい部分。店舗で商品を手に取ると、棚の上部に設置されたディスプレイにその商品の情報をリアルタイムで表示するとともに、ネット上の商品のクチコミ情報も閲覧できるようになっている。実際に試してみたが、気になる商品を手にするだけで詳しい情報が得られるという点は、これまでにない購買体験になっていると感じた。

店舗初入店時に、入り口の認証機にユーザー情報のQRコードを読み取らせ顔情報を登録
こちらが店舗の入退店ゲート
顔情報の登録後、入店ゲートのカメラで顔認証することで入店できる
店内の様子。当初はアットコスメニッポンと連携して美容・化粧品が販売される
入店後は、棚から買いたい商品を手に取るだけでいい
商品を手に取ると、その商品の情報が棚上部のディスプレイに表示される
その商品のクチコミ情報も検索できる。評判を確認して購入できるというのは新しい購入体験と感じる
ディスプレイでは、手に取った商品の一覧も表示される
商品を購入する場合は、商品を手にしたまま(バッグなどに入れてもいい)退店ゲートに進めばいい
退店ゲートのカメラで顔認証を行なうことで決済が完了し、退店できる
購入情報はユーザーページでいつでも確認可能だ
新型コロナウイルス対策として、当初は

また、業務の効率化も大きな特徴のひとつ。SECURE AI STORE LABでは”棚の見える化”を実現しており、どの商品がどれだけ在庫があるか、リアルタイムで確認できるようになっている。また、棚ごとに何人の客が来ているか、棚に来た客がどの商品を手に取ったか、手に取った商品を棚に戻したかそのまま購入したか、といったデータが確認できる。こういったデータを活用することで、機会損失やロスを軽減するとともに、従業員の省力化にもつながるという。

SECURE AI STORE LABでは”棚の見える化”を実現しており、商品の在庫をリアルタイムで確認できる
棚ごとに、どれだけの人がリーチしたのかも確認できる
商品ごとに、客が手に取った回数や購入回数なども細かく確認可能
店舗内の人の分布も確認できる

こういった機能を実現するため、SECURE AI STORE LABにはカメラや棚のセンサーなどを全部で50基以上設置しているという。ただ、今回は実証実験ということもあって過剰にカメラやセンサーを設置したそうで、最適なカメラやセンサーの数についても実証実験をとおして検証したいとのことだ。

このように見ると、SECURE AI STORE LABの運営やそれを支えるシステムは店舗の無人運営を目指しているように思えるが、実際には無人化を前提としたものではないそうだ。

SECURE AI STORE LABの「アットコスメニッポン」では、スタッフが店舗内に常駐することになる。平本氏は、店舗では人と人とのふれあいや接客体験が不可欠と考えているそうで、SECURE AI STORE LABを通して構築するシステムについても店舗運営の省力化を高めることが主目的と説明する。

決済手段についても、今回は顔認証を利用しているが、あくまでも実証実験として特別な手段を使いたかったからとのことで、電子マネーやクレジットカードなどを使った決済にも問題なく対応できるという。

店内には多数のカメラやセンサーを設置している
棚にもカメラを設置
商品棚には重量センサーなどのセンサーを設置している

SECURE AI STORE LABは、2020年は実証実験の場として活用するとのことで、まずはアットコスメニッポンとのコラボレーションで運営し、8月以降に概念実証を行なう企業を募集するという。そして、実証実験を通して機能改善や機能の追加、新たなサービスとの連携などを行なっていき、2021年以降にコア機能と店舗全体のパッケージ販売を開始したいとのことだ。