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ドコモ×ディズニー。「Disney DELUXE」が狙う日本のファン拡大

テレビ(Fire TV)でのDisney DELUXE
(c)Disney (c)Disney/Pixar (c)&TM Lucasfilm Ltd. (c)Marvel

NTTドコモとディズニーが、映像配信サービスで協力、3月26日から「Disney DELUXE」を開始する。月額料金700円で、ディズニー、ピクサー、スター・ウォーズ、マーベルの4ブランドの映画やドラマが見放題になるサービスだ。コンテンツやアプリなどサービス全般の開発をディズニーが担当、ドコモは決済プラットフォームや販売促進を担い、共同で展開していく。

一方、多くのサービスが乱立し、NTTドコモ自身も、dTVやdTVチャンネル、DAZN for Docomoなど、多数の映像配信サービスを自ら展開している。その中で、新たにDisney DELUXEで両社がタッグを組む狙いはなんだろうか?

ディズニー、マーベル、スター・ウォーズが大集合

Disney DELUXEの最大の特徴は、コンテンツそのもの。ディズニーとドコモは、「ディズニーやマーベルなど4ブランドの作品がいつでもどこでも見られる場所」と位置付ける。

(c)Disney (c)Disney/Pixar (c)&TM Lucasfilm Ltd. (c)Marvel

「アナと雪の女王」、「ズートピア」などのディズニー作品、「リメンバー・ミー」「トイ・ストーリー」などのピクサー作品が定額見放題の映像配信サービス(SVOD)として初配信。また、「スターウォーズ/最後のジェダイ」もSVODでは初の配信となる。

作品ラインアップこそが差別化ポイントで、今後「ディズニーやマーベル作品は、基本的に“ここ”(Disney DELUXE)だけで見られるようにしていく」(発表会場の説明員)という。マーベル作品を中心に、他のサービスでも配信しているディズニー作品も多いのだが、それらが今後どうなるかは明言されていない。ただ、ディズニー・ピクサー・マーベルの新作は、基本的にDisney DELUXEが最優先で配信されることになるようだ。

定額制で国内初の配信作品も多数
(c)Disney (c)Disney/Pixar (c)&TM Lucasfilm Ltd. (c)Marvel

また、多くの見放題サービスは、一定期間で作品の配信が終了してしまう。しかしDisney DELUXEは、すべてディズニー傘下のコンテンツのため、基本的に配信終了がない。つまり、「ディズニー作品を見たいときに、いつでも見られる」が実現できるという。

現時点での作品数は非公開。コンテンツを見ると、スター・ウォーズ シリーズも全て揃っているわけではなく、ディズニー作品もまだ足りないように見える。しかし、毎月の特集企画や新作映画の公開に合わせた特別編成などで、順次追加していくとのことだ。なお、定額見放題(SVOD)のほか、レンタル(TVOD)やダウンロード販売(EST)などの展開は、「今後検討していく」とした。

スマホやタブレットやPCでDisney DELUXE
(c)Disney (c)Disney/Pixar (c)&TM Lucasfilm Ltd. (c)Marvel

なお、ディズニーは、2019年後半に、米国で独自の映像配信サービス「Disney+」を米国でスタート予定。近年はドラマシリーズをNetflixと共同制作し、「Marvel ルーク・ケイジ」などのヒット作も多数手がけてきたが、それらも終了し、自社コンテンツを自社サービスに取り込む方針を示している。

今回のDisney DELUXEは、Disney+とは別の「日本のマーケットにあわせた特別なプロダクト」(ウォルト・ディズニー・カンパニー ノースアジア マネージング・ディレクター ルーク・カン氏)と位置付ける。しかし、自社コンテンツを自社ブランドを中心に展開していくという方向は共通している。また、日本におけるドコモとの関係は、「エクスクルーシブ(独占的)な契約」とのことで、共同でDisney DELUXEによる日本のディズニーコンテンツの拡大を目指す。

ディズニーは、コンテンツの制作に加え、サービスやアプリ開発も担当。スマートフォン、タブレット、PC、テレビなどのマルチデバイス対応で、最大4台での同時利用も可能。現時点ではダウンロードには対応しておらず、飛行機内など通信環境がない場所では利用できないが、機能拡充も今後検討していくという。とにかく、ディズニー、マーベル、スターウォーズなど作品の充実がDisney DELUXEの特徴といえる。

ドコモのメリットは「ファンを取り込む」

ディズニーのコンテンツを集めてサービスを構築、ドコモの決済・認証プラットフォームや販路を使って拡大していく「Disney DELUXE」。

ディズニーにとってのメリットは、ドコモショップを含め、全国でドコモの販売力が使え、結果日本のファンを増やせることで明確だ。一方、ドコモにとってのメリットはわかりづらいように見える。

NTTドコモの吉澤和弘社長は「ドコモは、会員基盤とパートナーを結び付けて、お客様に付加価値を提供し続けていく『+D』を展開している。Fintech、dポイント、広告などのサービスを連携させてパートナーと共創していく。Disney DELUXEも、+Dの新たな試みのひとつ」と位置付ける。

ドコモが狙うのは、ドコモ契約者を中心とした顧客の満足度の向上。

吉澤社長は、「dポイントが貯まるだけでなく、このサービスの特典の購入にもポイントを使える。またディズニーストアもdポイント加盟店になった。楽しくてワクワクすることにポイントを使えるようになる。dポイントの非常に魅力的な使い先が増えた。dポイント会員とディズニーのファンをつなげられることにワクワクしている」と、Disney DELUXEへの期待を語り、人気コンテンツの獲得をドコモの経済圏の拡大につなげる狙いを説明。dポイントの6,900万超の会員基盤や、全国2,300店舗のドコモショップでのサポートなど、ドコモの強みを活かして拡大する。

なお、NTTドコモは、「dTV」のほか、放送中のチャンネルを選ぶリニア(リアルタイム)型の「dTVチャンネル」などの映像配信サービスを展開中。さらに9月には約300万会員を有するIPTV/VODサービス「ひかりTV」を運営するNTTぷららを子会社化する予定で、映像を軸としたビジネスを強化している。またスポーツの分野では「DAZN」と組み、「DAZN for Docomo」を展開している。

今回のディズニーとの提携も動画の強化の一環ではあるが、dTVとDisney DELUXEの連携や、dTVやDAZN for Docomoと連携したパック商品提供などは、現時点では予定していないという。Disney DELUXEの展開に限り、両社が協力していく方針。

吉澤社長は、「(ディズニー・ピクサー・マーベル・スターウォーズの)4つのブランドを全て揃えて配信し、今まで以上の体験を提供できるのがDisney DELUXE。今後、5Gのメインコンテンツが動画になってくる中で、Disney DELUXEを皮切りに動画を強化・編成していく。様々なデータから、お客様一人一人を理解して最適なサービスを届け、魅力的なコンテンツを最大限楽しめるようにサポートする」とドコモの取り組みを強調した。なお、Disney DELUXEの会員目標は「非公開」。