レビュー

地味に便利な「Google TV Streamer」 TV画面で照明ON、子供のYouTubeも管理

Google TV Streamer

Googleは9月に新たなスマートホーム用デバイス「Google TV Streamer」を発売しました。スマートフォンの動画をワイヤレスでテレビに映し出す機能を備えた「Chromecast」の流れを汲む製品ですが、2020年に発売された前モデル「Chromecast with Google TV」ではGoogle TVが名称に追加され、本製品ではついに「Chromecast」の名前が製品から無くなりました。

名前の代わりに新たに追加されたのがスマートホーム機能。照明やエアコンなどGoogle Homeでの操作に対応したスマート家電をGoogle TV Streamerで操作できます。これまでスマート家電はGoogle Nest Hubを使った音声操作かスマートフォンからの操作が中心でしたが、Google TV Streamerを使えば、声を出さずに今見ているテレビ画面から家電が操作できるようになりました。

製品の仕様も変わり、Chromecast with Google TVではHDMIケーブルが本体に搭載されていたのが、Google TV StreamerではHDMIポートに変更され、HDMIケーブルを別途用意する形になりました。また、有線LANポート(Ethernet)も搭載し、高画質の動画を見るときも安定して視聴できるようになりました。

Google TV Streamer。背面にEthernetポートのほかHDMIケーブルを接続する形に
Google TV Streamer(左)とChromecast with Google TV(右)

リモコンは基本的なデザインは変わらないものの、前モデルでは側面に搭載されていた音量操作が前面に配置され、より操作しやすくなりました。また、ホームボタンやミュート、音声入力の配置が変更になったほか、右下の入力切り替えは星ボタンとなり、好きな操作を割り当てられるショートカットとして利用できます。

Google TV Streamerのリモコン(左)とChromecast with Google TVのリモコン(右)

テレビの画面から音声不要で照明やエアコンをコントロール

スマートホーム機能の利用は、右上の歯車アイコンからGoogle Homeを選択すると利用できます。また、初回設定ではリモコン右下の星ボタンにGoogle Homeが割り当てられているため、リモコンからボタン操作で起動するのも便利です。

Google TV Streamerのホーム画面
右上の歯車アイコンからGoogle Homeを選択

筆者宅はできる限りの家電をスマートホーム化しており、テレビや照明、エアコンの個別コントロールはもちろん、「おやすみなさい」と発声して家中の電気をまとめて消すといったカスタマイズも行なっているのですが、夜中だったり、風邪を引いて喉が痛いときなど「声を出さずに操作」したい時もあります。そんなときに声を出さずボタン操作でコントロールできるのは意外と助かります。

照明を選択
部屋ごとに明るさをコントロール
エアコンのオンオフやモード切替も可能。ただし筆者宅ではうまく動作しなかった

テレビで映画を見るため、リモコンで部屋の照明を暗くする、というのも使い方としては便利。スマートフォンを取り出すことなく、映画を見るのと同じ画面で操作できます。

また、HDMI CECに対応したテレビであれば、Google TV Streamerのリモコンだけでなくテレビのリモコンでも操作ができるため、地上波のテレビを見ながらGoogle TV Streamerに切り換え、部屋の照明を落としてから映画を見る、という一連の行動を1つのリモコンですませることができます。

ただし、Google TV Streamerで操作可能なデバイスは、現在のところ照明とエアコン程度に限定されています。これはAndroidスマートフォンのクイック設定パネルとほぼ同じインターフェイスで、Pixel Watchであれば照明とエアコンに加えてテレビ操作や、1つのフレーズで複数の機器をまとめて操作できるオートメーションにも対応しています。

Pixel Watchはテレビも操作できる
オートメーションにも対応

テレビはそもそも本体リモコンで操作できるので不要だとして、オートメーションなど他の機能や対応機器が増えると、リビングから声を出さずに家電を操作する新しい手段としてより魅力が高まりそうです。

マルチアカウントで視聴履歴を家族ごと管理 子どもの視聴管理も

Google TV Streamer本来の機能とも言えるストリーミング再生ではYouTubeやNetflix、Hulu、U-NEXTといった動画配信サービスを大画面のテレビで楽しむことができるほか、スマートフォンの動画をテレビに映し出すキャスト機能も利用できます。

Chromecast with Google TVと比較して、スペックも向上し、メモリが2倍になったほか、プロセッサも22%の高速化が図られています。実際に操作してみてもキビキビ感ははっきり分かり、操作のもたつきがなくなりました。

こうした動画機能に加えて、家族向けにお勧めしたいのがマルチアカウント機能です。Google TV Streamerでは複数のGoogleアカウントを設定でき、家族それぞれで視聴するアプリや履歴を個別に管理できます。YouTubeのお勧めを個人ごとにしたい、見ているドラマや映画の履歴を個別に管理したいという時にとても便利です。

アカウントの選択画面

お子さんがいる家庭では、Google ファミリーリンクという機能で子供の利用状況を管理することも可能です。Google ファミリーリンクは、13歳未満の子供用のGoogle アカウントを作成し、親が利用状況を管理できるという仕組み。基本的にはAndroidスマートフォン向けの機能ではあるものの、1日の利用時間の上限や、使用していい時間を指定できる「おやすみ時間」といった機能が利用できます。

利用時間の設定
曜日の指定
1日に利用できる時間を設定。利用時間の制限は全曜日共通で「平日と土日は別」という設定はできない
おやすみ時間は利用開始と終了時間を設定できる
おやすみ時間を過ぎたところ

利用時間は曜日ごとに管理でき、上限に達すると動画やアプリなどすべての機能が利用できなくなりますが、管理者がその場で時間を追加することで延長もできます。休息時間は「利用時間は朝7時から夜21時まで」という制限ができますが、利用時間と同様に時間の追加が可能です。

利用時間を超えたときは管理者がボーナスタイムを追加できる
ボーナスタイムは15分単位で追加可能

子供がいる家庭では便利な機能ではあるものの、いくつか課題もあります。その1つがパスワード入力で、入力は「123」「456」「7890」と3つの段に分けられており、入力したい数字のところで手を止めて左右や決定ボタン(0は下ボタン)で入力する、という仕組みです。

パスワード入力画面。ここで左を押すと1、右を押すと3、決定ボタンで3を入力できる

リモコンで入力する仕組みとしてはとても使いやすい一方、例えば「2」を入力したければ「123」の段で手を止める必要があり、子供が画面を一緒に見ている場合にパスワードを推測されやすいという面があります。スマートフォンのパスワードを指紋の付き方で子供が特定した、という話も耳にするなど、子どもの探究心は侮れないところがあり、もう少し画面を見られても特定しにくいパスワード入力が必要そうです。

また、Google TV StreamerとAndroidスマートフォンのスマートリンクは管理が異なるようで、管理者のスマートフォンからGoogle TV Streamerは端末として認識されてはいるものの操作ができず、上記の利用時間や休息時間はGoogle TV Streamerから設定する必要があります。Google TV Streamerが発売直後だからなのかもしれませんが、管理を統合してほしいところです。

スマートフォンのファミリーリンク。Pixel Tabletは設定できるがGoogle TV Streamerは設定できない
設定を見ると端末としてGoogle TV Streamerは認識されている

Google TV Streamerにはこのほか子供のアカウントに映画のレーティングを設定する機能や、特定の番組を非表示にする機能があります。Androidアプリの利用をコントロールできる機能もありますが、Google TV Streamerではそもそも利用できるAndroidアプリがあまり多くないので、この機能はほとんど使うことはないかもしれません。

映画のレーティングを設定できる
任意の番組を非表示にする機能
アプリの管理機能

名前からChromecastがなくなり、スマートホーム機能が新たに追加されたGoogle TV Streamer。

筆者宅は家庭内でさまざまなスマート家電を導入していますが、いままではそれらのコントロールには音声操作のGoogle Nestシリーズが主でした。しかし、Google Nestと同じように常に電源が入ってインターネットに接続した状態であり、音声を出さずにテレビから操作できるGoogle TV Streamerは、スマートホームの新たな使い方が生まれたと感じます。

スマートホーム関連の機能はまだまだ少ないものの、今後の機能拡充に期待したいと思います。

甲斐祐樹

インプレス記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。個人ブログは「カイ士伝