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楽天、1-9月期累計で6年ぶりの営業黒字 3Qは全セグメント増収
2025年11月13日 18:42
楽天グループは11月13日、2025年第3四半期(7~9月)の連結決算を発表した。売上収益は前年同期比10.9%増の6,286億円と四半期ベースで過去最高を記録し、Non-GAAP営業利益は386億円で同212.8%増と黒字幅が拡大した。第3四半期の連結累計では、IFRS営業利益が6年ぶりに13億円の黒字となった。IFRSベースの最終損益は269億円の赤字だったが、前年同期の744億円から475億円の改善となり、赤字幅が大きく縮小した。
事業別では、インターネットサービス、フィンテック、モバイルの3セグメントすべてで二桁成長を達成。モバイル分野では、楽天モバイルの契約回線数が11月7日時点で950万回線に到達。年内に1,000万回線を目指す。楽天モバイル単体の売上収益は31.2%増の952億円、営業損失は134億円改善し372億円。EBITDAは前年同期比で175億円の改善となる78億円の黒字に転じた。
フィンテックセグメントも好調で、楽天カード、楽天銀行、楽天証券などの拡大が寄与。売上収収益は2,505億円(前年比20.3%増)、Non-GAAP営業利益は552億円(同37.9%増)となった。楽天証券の口座数は1,300万口座を超え、7月からAIによる株式分析機能を導入。約8,500銘柄の目標株価や財務データを基に、個人投資家の意思決定を支援している。
楽天銀行の口座数は、9月末時点で1,732万口座(前年同期比6.9%)に拡大。メイン口座化により預金残高も増加。単体預金残高は12.2兆円となった。また、日銀の政策金利の引き上げにより金利収益が伸長し、増収増益となった。
インターネットサービスでは、国内EC流通総額が前年同期比14.5%増の1.7兆円となった。9月末に実施されたふるさと納税制度の見直しによる駆け込み需要が追い風となったほか、楽天市場と楽天モバイルの連携施策も奏功。モバイル契約者の年間流通総額は、非契約者に比べて48.5%高い水準となっている。
AI戦略の進展も、今回の決算説明で重点的に取り上げられた。楽天市場アプリではエージェント型AI「Rakuten AI」の提供を進めており、店舗運営者向けの業務支援ツール「RMS AIアシスタント」は、月間利用店舗数が2.3万に達している。さらに、楽天トラベルでは宿泊施設の検索機能に生成AIを活用。利用者の希望条件に即した施設提案を実現している。
財務面では、自己資本比率を中期的に5%、長期的には10%まで引き上げることを目標としており、資本構造の改善が進行中。非金融事業の純有利子負債はEBITDAの8.3倍に低下しており、同社はこれを中期的に5倍以内に抑える方針を掲げる。








