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OpenAI「Sora 2」の著作権軽視に出版社など共同声明

講談社、小学館、KADOKAWAなどの出版17社と、日本漫画家協会、日本動画協会は10月31日、「生成AI時代の創作と権利のあり方に関する共同声明」を発表した。OpenAIが9月にリリースした動画生成AI「Sora 2」において公開された画像・映像の中には、著名な創作物・表現への依拠性・類似性が強く疑われるものが多数見られたことに抗議し、「著作権侵害を容認しない」と改めて強調している。

Sora 2については、高品質な音声付き動画が作成できる一方で、「ドラゴンボール」や「ポケモン」など日本のアニメやキャラクターに酷似したキャラクターが作成できるとして、公開直後から疑問の声が上がった。一部の権利者や日本政府からの抗議もあり、OpenAIのサム・アルトマンCEOは権利者の意向に従う旨の声明を発表し、一部のキャラクター等の動画生成はできなくなっている。

しかし、今回の共同声明では「(OpenAIは)権利者から明示的なオプトアウト申請がない限り著作物が生成・公開・公衆送信されるシステムを採用した。このことは、我が国の著作権法の原則のみならず、世界194カ国が加盟するWIPO(世界知的所有権機関)の著作権条約の原則にも反すると私たちは認識している。Sora 2について、OpenAI社の経営者個人(注:アルトマン氏)がSNS上でオプトインへの転換を示唆したものの、これが企業としての正式な方針なのかどうかは現時点で確認されていない」とOpenAIの対応を批判。そのうえで、「第二、第三の Sora 2とも言うべき新たな生成AIが登場することも容易に予見される」と共同声明を出した理由を説明している。

共同声明では、「生成AI技術の進展を歓迎し、その可能性を正しく活かすことで、より多くの人々が創作の喜びを分かち合える社会が望ましい。一方で、著作権侵害を容認しないという原則を改めて確認する」とし、以下の原則の遵守・実行を求めている。

  • 学習段階および生成・公表段階の両方において、著作権法の原則に沿って権利者に必要な許諾を得る等の対応をAI事業者が取る
  • 学習データの透明性が担保されている
  • 権利者が利用を許諾した場合、権利者への適正な対価還元が行なわれる

共同声明の賛同者は以下の19社・団体。

  • 日本動画協会
  • 秋田書店
  • 一迅社
  • 宙出版
  • KADOKAWA
  • コアミックス
  • 講談社
  • 小学館
  • 少年画報社
  • 新潮社
  • スクウェア・エニックス
  • 竹書房
  • TO ブックス
  • 日本文芸社
  • 白泉社
  • 双葉社
  • 芳文社
  • リイド社
  • 日本漫画家協会

なお、集英社は共同声明とは別に10月31日に独自の声明を発表。Sora 2のリリースとともに、著名なコンテンツの類似映像がネット上で大量に発生したことについて、「作家の尊厳を踏みにじり、多くの人々の権利を侵害することのうえに成立してよいはずはない」と批判するとともに、生成AIサービスを提供する側が、早急に「オプトアウト方式」以上の実効的な侵害対策、権利者に対する救済策を打ち出すよう求めている。