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「デジタルユーロ」29年発行に向け準備 “公的デジタル通貨”加速
2025年10月31日 13:06
欧州中央銀行(ECB)とユーロ導入国の中央銀行からなるユーロシステムは、「デジタルユーロ」のプロジェクトについて、2026年中の法制化を進める段階に入り、2027年に試験運用の開始を計画するなど次の段階に移行したことを明らかにした。計画通りにいけば、初回発行は2029年になる見込み。
ECB政策理事会は、10月のユーロ圏首脳会議の要請を受ける形で、デジタルユーロの取り組みの加速を決定。早期に実現できるよう、法制化プロセスの完了に向け取り組んでいく。
欧州共同立法者(欧州議会と欧州連合理事会)が2026年中にデジタルユーロ設立に関する規則を採用するという仮定に基づくと、2027年半ばから、試験運用と初期取引が行なわれる可能性がある。その後、ユーロシステム全体では2029年中のデジタルユーロの初回発行を計画する。
ユーロシステムは今後、技術基盤の開発のほか、決済や小売事業者、消費者と協力したルールブックの完成、立法プロセスの支援に取り組んでいく方針。
デジタルユーロ
デジタルユーロは、「欧州市民の選択の自由とプライバシーを保護し、欧州の通貨主権と経済安全保障を守る」ことを目的に導入が検討されているデジタル通貨。決済におけるイノベーションの促進や欧州の競争力の強化を図る目的もある。
ECBは、デジタル取引と比較して現金決済が減少していることを指摘。現金と補完的な“公的なデジタル決済手段”の必要性が緊急になっているという。デジタルユーロは現金を補完し、簡素性、プライバシー、信頼性、ユーロ圏全体での利用可能性といった利点を、デジタル決済にもたらすとしている。

