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リニア中央新幹線、総工事費11兆円に 難工事・物価高で4兆円増

JR東海は29日、リニア中央新幹線の品川-名古屋間の総工事費の見込みが11兆円になると発表した。23年12月の計画では7兆円としていたが、約4兆円増加したこととなる。

品川・名古屋間の総工事費は当初5.52兆円としていたが、2021年4月に難工事への対応、地震対策などを理由に7.04兆円に増加すると公表。23年12月に総工事費を7.04兆円とした工事実施計画の変更の認可を受けていた。しかし、工事を進める中で、近年の物価等高騰や難工事への対応などで増額要素が判明し、約11兆円に修正することとした。

内訳は、物価等高騰の影響が約2.3兆円、 難工事への対応が約1.2兆円、仕様の深度化が約0.4兆円。物価高騰では、鋼材やコンクリートなどの建設資材価格や労務費などで1.3兆円を見込んでいるほか、今後の物価高騰のリスクとして1兆円を計上している。

難工事対策では、これまで掘削した区間では当初の想定よりも脆い地山が出現しており、安全に施工し、強固な構造物を作るための対策を追加するなどの見直しを行なった。名古屋駅や品川駅周辺の地盤対策などもこの中に盛り込まれている。

難工事対策(出典:JR東海)

今回の計画は2035年のリニア中央新幹線開業を前提とし試算している。ただしこの35年開業は「試算のために便宜上仮置きしたもの」で、開業時期の見通しを示したものではない。開業時期は、「静岡工区のトンネル掘削工事に未だ着手の見込みが立たず、現時点で見通すことができない」(JR東海)としている。