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メルカリ、「出品禁止」を強化 Switch 2問題で方針変更
2025年10月9日 15:07
メルカリは9日、極端な価格の乱高下や不正出品、トラブルの増加などにつながる商品について、出品禁止を含む対応を実施する新たな方針を発表した。Nintendo Switch 2の販売直後にメルカリ上で不正出品や誹謗中傷が発生したことを受け、トラブルに繋がる商品は、出品禁止も行なえるようルール変更を行なう。
メルカリでは、マーケットプレイスの運用において、「マーケットプレイスの基本原則」を定めて対応してきた。原則、適法であれば自由な取引を促してきたが、他のフリマ/オークションサイトでは、6月のNintendo Switch 2発売時には出品を禁止し、トラブル発生を抑えており、ほぼメルカリのみで出品できるような状態となっていた。
転売自体は違法ではない。しかし、Nintendo Switch 2の発売直後のメルカリでは、「箱のみ」、「絵や写真」の出品や「旧機種を使った誤認狙い」の出品などが発生した。削除はされたものの、結果的に「安心・安全を損なった」と判断し、今回、マーケットプレイス内の安心・安全を損なう商品については、出品禁止対応を行なう方針を決め、今後は、不正出品や誹謗中傷、トラブル増加、価格乱高下などを総合的に判断して、出品禁止等を判断していく。
この対応は「マーケットプレイスの基本原則」の枠外の特別措置として導入するもの。メルカリの「経営判断」として、出品禁止措置を判断していく。
「安心・安全」のための出品禁止を
メルカリの日本事業を統括する執行役 SVP of Japan Businessの山本 真人氏は、「マーケットプレイスの基本原則」の成り立ちなどについて説明。特にコロナ禍における「マスク転売」などの問題をうけて、メルカリ運営上の課題に対応するため、「違法」「適法」だけでない、一貫した判断基準が不可欠になるとして原則を策定し、約5年間運用してきた。この原則=「考え方」を元にマーケットプレイスを運営しているが、基本的には「自由な取引を通じた需給のマッチングが最大限に発揮される」場所を目指している。
一方で、市場メカニズムが機能しないケースもあり、「外部性」が生じる取引には課題が発生する。「売り手」「買い手」以外の行動が、他の経済主体(外部)に影響を及ぼす場合があり、このケースではメルカリが介入すると基本原則では定めている。例えば「マスク」や「備蓄米」など、生命や生活に必要だが需給バランスが崩れている時にはメルカリとして出品停止を行なっており、また「空薬きょう」のケースでは、警察から未然防止の観点から危険性への情報提供があり、出品停止している。
Nintendo Switch 2のケースでは、任天堂からの要請もあり、注意喚起等を行なったが、マーケットプレイスの基本原則として禁止する要素はなく、市場に委ねる形で出品を続けた。しかし、不正出品や誹謗中傷コメントが急増するなど、結果としてメルカリ利用者の安心・安全を損なう事態が発生した。このため、7月と9月に第5回のアドバイザリーボードを実施し、出品禁止などを含む対応を検討したという。
その結果、基本原則は変更せずに、ルールの例外として扱いながら、マーケットプレイス内の「安心・安全が損なわれる」場合には、個々の出品禁止措置を行なう方針を決定した。「経営判断」として、個々の商品の出品停止を判断していく。
アドバイザリーボードの参加外部有識者である 慶應義塾大学 経済学部の坂井 豊貴教授は、 行為を禁止するときには「『社会の多数派が不快だから』という理由でなく、不快より上位にある事柄を基準に考えるべき」と説明。「Switch 2の転売は人に危害を加えるわけでなく、コロナ禍のマスクのようにエンドユーザーに届かないと感染症が広まってしまう、という問題ではない。そのため危害原則で禁止するものではない。一方で、不正出品や空箱出品などの詐欺や価格の乱高下が発生した。マーケットプレイスの安心安全がなければ使われないし、価値は循環しない。その点からはNintendo Switch 2の出品を禁止してよかったではないかと結論した。一方で、基本原則の考え方を明示したほうがよいのではないかという議論をした」と述べた。
Switch 2の発売直後には「出品停止にするべきだった」(メルカリ 執行役員 CEO Marketplace 迫 俊亮氏)としながらも、現状はSwitch 2の出品停止を行なわず、今後の価格乱高下などが見込まれ、安全・安心を脅かす可能性がある場合に、都度判断していく。判断のポイントとしては「不正出品の急増」、「トラブルの急増」、「誹謗中傷の急増」、「極端な価格の乱高下」などを総合的に判断する。
なお、出品停止の乱用を防ぐために抑制的な運用とするほか、個別の判断についてその議論などを含めて開示する「ホワイトペーパー」も公開。定期的な開示により、透明性を高めることで信頼できるマーケットプレイスを目指すとした。















