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ヤマト、奥尻島で乗客も乗せる客貨混載型ライドシェア

北海道の奥尻町とヤマト運輸は、ヤマト運輸の集配用ワゴン車両に乗客を乗せる、客貨混載型公共ライドシェアの実証運行を開始する。物流と旅客輸送を組み合わせた柔軟な運行体制を構築し、地域住民や観光客の移動を支える新たな交通手段として、離島特有の時間的「交通空白」の解消を目指す。

国土交通省の「『交通空白』解消緊急対策事業(令和7年度『交通空白』解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト)」の採択を受けた「奥尻島民で助け合い『島のりあい』実証プロジェクト」の一環。町民が副業などでドライバーを担う住民参加型モデルの実証も2025年9月中に開始する予定。

奥尻町は、北海道南西部の日本海に浮かぶ離島で、人口は約2,100人。高齢化率は約41%にのぼり、日常の買い物や通院、観光客の周遊などにおける移動手段の確保が喫緊の課題となっている。現在、島内のタクシーは1社のみで、バスは1日9便。時間的「交通空白」が顕在化している。

こうした状況を受け、奥尻町とヤマト運輸は「公共ライドシェア制度(自家用有償旅客運送)」を活用し、地域にある車両・人材・物流の力を掛け合わせることで、持続可能な移動支援の仕組みづくりに取り組む。

実証の目的は下記のとおり。

  • 移動ニーズの把握(時間帯・エリア・利用目的・対象者などの実態を可視化)
  • 運行スキームの検証(配車・予約受付、ドライバー体制、運行管理・安全体制などを確認)
  • 費用構造・運賃設計の検討(無償期間の利用実績を踏まえ、本格運行時の利用料金体系・ドライバー報酬設定などを整理)
  • 「一人多役」モデルの可能性の検証(町民ドライバーの参加形態・育成手法・資格要件などを確認)

実施期間は8月29日~12月末。運行時間は8時~19時。期間中は無料で運行される。車両はヤマト運輸の集配用ワゴンを使用。9月に一般貨物自動車運送事業許可取得を予定している。ヤマト運輸のセールスドライバーが日中の業務時間帯の空き時間を活用し、客貨混載で運行する。

町管理車両または町リース車両による運行も予定。町民ドライバーが副業・地域貢献として参加し、主に夕方から夜間帯の観光・生活移動に対応する。利用者は奥尻町民や観光客。運行エリアは奥尻島内全域。予約は電話受付のみ。

実証の結果を踏まえ、2025年度以降の本格運行(有償運行)を予定。運賃設定や報酬水準、予約・配車の委託スキーム、町民ドライバーの継続的な確保・育成に取り組む。