ニュース

竹中工務店、3Dプリントと手づくりの技を融合させた「森になる建築」

竹中工務店は、大阪・関西万博の会場敷地内で、3Dプリンターで建築を進めていた「森になる建築」が完成したと発表した。万博会場内「大地の広場」で、来場者の休憩施設として活用される。

最先端の3Dプリント技術と手づくりの技を融合させた、環境に配慮した新しい建築の形を提案するもの。直径4.65m、高さ2.95mの建築物2棟で構成される。

構造体には植物由来の生分解性樹脂を採用し、外装には一般市民が参加したワークショップで作られた「シーズペーパー」(植物の種をすきこんだ和紙)を使用。さらに、伝統工芸の職人や福祉施設関係者・利用者によって作られた和紙も組み合わせ、多様な人々の参加によって完成した建築物となっている。使用後に廃棄物となるのではなく、自然に還る建築を目指したという。

このプロジェクトは、2020年から2021年にかけて実施した社内コンペで最優秀賞を獲得した「Seeds Paper Pavilion」のアイデアを発展させたもの。技術開発から強度試験をはじめとした実証実験を経て、「休憩に使える仮設建築物(2025年日本国際博覧会における建築基準法第85条第7項の規定に基づく)」として、「建築確認申請」の「確認済証」が交付され、24年7月に着工した。

3Dプリンターを用いて「酢酸セルロース造」の構造体を現地で出力し、25年2月に「検査済証」が交付され日本初の「酢酸セルロース造」による未来型建築が実現した。