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「TAKANAWA GATEWAY CITY」25年3月開業 KDDIが本社移転

TAKANAWA GATEWAY CITY(模型)

JR東日本は16日、品川開発プロジェクトの街の名称を「TAKANAWA GATEWAY CITY」に決定した。従来「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」としていたが、英文表記が正式名称となり、2025年3月の開業を目指す。今回、名称とロゴを決定したほか、KDDIが共創パートナーになることも発表。KDDIは2025年春に、本社を高輪ゲートウェイに移転し、JR東日本とともに新たな分散型スマートシティの実現を目指す。

TAKANAWA GATEWAY CITY前掲(JR東日本提供)

正式名称の「TAKANAWA GATEWAY CITY」は、国際交流拠点「高輪」を世界のTAKANAWAにするため、アルファベット表記とし、駅名称を冠することでエキマチ一体開発であることを表現した。

新たに決定したロゴマークは、江戸の「玄関口」の「高輪」が、日本全国と世界を繋げて生まれる新たなイノベーションで100年先の未来へと繋がる「GATEWAY」となることを、「高輪」のはじまりの文字「高」を「GATE」の形状に見立てることで表現した。

ロゴマーク(JR東日本提供)

街をくらしの実験場に。10万人超のまちづくり

「JR東日本史上最大規模のまちづくり」となるTAKANAWA GATEWAY CITYは、複合棟Ⅰ(North・South。Southが30階、Northが29階)、複合棟II(地上31階)、文化創造棟、住宅棟(地上44階)から構成される大規模開発。

2025年3月に、駅直結のツインタワー複合棟Ⅰと、高輪ゲートウェイ駅周辺エリアを開業し、MICE施設やオフィス、ホテル、商業施設、駅周辺広場や歩行者デッキを整備。その他エリアは2025年度中の開業を予定している。

延床総面積は約84.5万m2で、六本木ヒルズの72万m2を上回り、国内最大級のまちづくり。総事業費見込みは5,800億円で、想定乗員数は10万人超/日。完成後は13万人超/日となるほか、将来的な品川駅とのデッキ接続により、さらに利用者を拡大していく狙い。

左(品川側)から複合棟ⅠSouth、複合棟I North、複合棟II、文化創造棟、住宅棟。複合棟の正面に高輪ゲートウェイ駅
複合棟ⅠSouth、複合棟I North、複合棟II
文化創造棟、住宅棟

街全体を“100年後のくらしの実験場”と位置づけ環境先導のサステナブルなまちづくりを推進する。

都内最大級の約4haのオープンスペースは「53 Playable Park」のコンセプトのもと、様々なPark(公園)が誕生。南北約1km以上にわたって、駅や広場からなるParkを展開する。150年前に構築され、国史跡指定された「高輪築堤」を現地で保存したうえ、日本で初めて鉄道が走ったイノベーションの地としての記憶を次の100年に受け継ぐという。

53 Playable Parkは、東海道五十三次に着想を得たエキマチ一体型の施設で、約2.7haのグリーンを配置。周囲の水系や地形、植生を取り込み、日本の四季を感じられるという。

エキマチ一体の53 Playable Park(JR東日本提供)

高輪ゲートウェイ駅には新たに南改札が設置され、新開発周辺に複数の店舗が開業。「駅が公園のような遊び場や憩いの場になる」という。複合等I North 28~29階にも約2,000坪のボタニカルルーフトップを構築する。

高輪ゲートウェイ駅南側(JR東日本提供)
ビオトープ(JR東日本提供)
ボタニカルルーフトップ(JR東日本提供)
山手線の内側からのイメージ

また、パートナーとともに、街全体をサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)が融合する実験場として構築。複合棟には、インキュベーション施設や環境生命科学ラボ(仮称)も設置するほか、国土交通省のProject PLATEAUに参画し、3D都市モデル空間を活かしたエリアマネジメントなどを行なう。

インキュベーション施設(JR東日本提供)

ゼロカーボンの街へ

ゼロカーボンでサステナブルな環境先導のまちづくりを標榜。再生可能エネルギー証書の活用により、使用電力を実質再生可能エネルギー由来とし、CO2排出量「実質ゼロ」を実現する。また、モビリティや燃料電池など水素利活用の取り組みも推する。

受給一体型のエネルギーマネジメント(JR東日本提供)

複合棟II地下の地域冷暖房施設に、国内最大級の蓄熱槽を導入し、効率の高いエネルギー供給を実現。災害時に蓄熱槽の水を非常用水として利用できる。また、街の飲食店から出る食品残渣をホテルの給湯へ活用したり、回収衣類をリサイクル・再販売するなど、「参加型のサーキュラーエコノミー」を実現するという。

KDDI 高輪ゲートウェイに本社移転

共創パートナーのKDDIは、2025年春に本社を現在の飯田橋から高輪ゲートウェイに移転。

KDDIの本社は、「TAKANAWA GATEWAY CITY」の複合棟ⅠNorthに入居。オフィスフロアの9~21階は全てKDDIが入る形となる。また、通信や金融の各グループ会社の多くも集約していく予定。新本社のコンセプトは「つなぐチカラを進化させ、ワクワクする未来を発信し続けるConnectable City」。

複合棟ⅠSouth(左)とNorth(右)。高輪ゲートウェイ駅に直結し、NorthにKDDIが入居する
外観イメージ
内観イメージ

1.2万人のKDDI社員の行動データをまちづくりに反映させるなど、街の設備や人にかかわるデータを収集・分析するプラットフォームとなる「都市OS」を構築する。

都市OS(JR東日本提供)

TAKANAWA GATEWAY CITYでは、都市OSを活用し、街から得られるデータに加え、JR東日本が持つ鉄道や駅のデータやKDDIのもつ人流データなどを収集し、デジタルツイン上で分析することで、快適なまちづくりや防災への応用、ロボットを活用したサービスの実現などに取り組む。

まちづくりにおいては、オフィスの入退出データや鉄道、商業データを組み合わせてリアルタイムに分析データをフィードバックし、快適なくらしを創出するという。防災においては、屋内外の3D都市モデル上に、実際の人流データや設備データを組み合わせ、制度の高いシミュレーション環境を構築。非常時の避難シミュレーションなどに生かしていく。ロボットでは、回遊販売サービスなどを想定している。

JR東日本 深澤祐二社長とKDDI 高橋誠社長