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スタートアップ向けに家具付きオフィスのサブスク、オカムラ子会社

オカムラとボーンレックスは、スタートアップ企業向けに家具付きのオフィスをサブスクリプションで提供する事業を行なうNovolBaを設立したと発表した。2022年度は30社との契約が目標。

NovolBaは、スタートアップ企業の成長ステージに合わせて最適なサイズ・内容のオフィスを、オフィス家具やWi-Fi環境などとセットにしてサブスクリプションでサービスを提供する。入居するスタートアップ企業にとっては、身軽に移転でき、オフィスを用意する際の費用や時間、手間を省けるサービスとなる。

オフィスのイメージ

審査を経て入居するスタートアップ企業の要望をヒアリングした上で、1社専有オフィスとして用意される。オカムラのオフィス家具のほか、Wi-Fi環境、プリンター、ホワイトボードなどが設置済み。入居初日からすぐに働ける環境を完備する。

契約は6カ月毎の更新で、3カ月前の予告で退去が可能。通常の賃貸オフィスは2年契約で6カ月前の退去予告が一般的で、これと比較してスピーディな拡張移転が可能とする。人員増などによる移転先オフィスもNovolBaに相談できる。

スタートアップ企業の毎月の支払いは、月額のサービス利用料と、水道・光熱費などの実費のみ。なお初月のみ、サービス利用料に加えて契約金が必要になる。

入居時の工事、家具購入費用、退去時の大型家具の移動・廃棄が不要で、一般的な賃貸契約の初期費用(敷金・礼金・仲介手数料など)も不要。入居者はNovolBaとの賃貸契約ではなく一時利用の形をとる。これらにより、キャッシュフローへの負担を減らしながら、規模の拡大に合わせた移転を行ないやすくなる。

物件は都内が中心になる見込み。サービ利用料の目安は、5名までの8~10坪が月額20万円(税抜、以下同)~、15名までの23~30坪が月額46万円~、30名までの45~50坪が90万円~。2022年3月31日までは、初月のサービス利用料が半額になるキャンペーンも実施される。

成長の足かせになるオフィス移転の課題を解決

NovolBaはオカムラとボーンレックスが共同で実証実験プロジェクトとして進めていた事業で、本格展開にあたって会社を設立、プロジェクトを牽引していたオカムラ社員の鄧 雯(トウ・ブン)氏がNovolBa代表取締役社長に就任する。

左から、オカムラ 執行役員の大野嘉人氏、NovolBa 代表取締役社長の鄧 雯氏、ボーンレックス 代表取締役の室岡拓也氏

オカムラはオフィス家具の販売を中心とした近年の業績が好調な一方で、ソリューションビジネスにも注力していくという方針を定めており、今回の事業をボーンレックスと共同でスタートさせている。NovolBaは、成長著しいスタートアップ企業の壁になる、オフィス移転にかかる費用や手間、時間の問題を解決し、スタートアップ企業を支援するのがメインのコンセプトとし、オカムラのオフィス家具の販売拡大に結びつけるといった、自社グループへの誘導が目的ではないとしている。この点で、大手不動産会社やマンションデベロッパーが手掛ける、サブリースのスタートアップ向け物件ともスタンスは異なるという。

また、用意する物件を1社専有で提供することから、さまざまなサービスがすでに登場しているコワーキングスペースや、スペースを分割して貸与するサービスとも異なると指摘。スタートアップ企業に重要な初期の“文化の醸成”には、人材交流が念頭にあるこれらのスペースよりも、1社専有で濃密なディスカッションが行なえるオフィスがより重要になるとしている。