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Facebook、政府と共同で有害コンテンツを規制する必要性強調

Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、大手テック企業に対して、政府などによる新しい規制が必要であるという見解を改めて示した。

ネットがこの10年で社会にもたらした恩恵と同時に、ヘイトスピーチやテロリストのプロパガンダなどにも利用され、有害コンテンツの拡散が容易になったことが問題となっている。

同氏は昨年、各国政府に対して共同で新しい規制を策定・適用する必要性について呼びかけ、「インターネットからすべての有害コンテンツを排除することは不可能ですが、人々が多種多様な情報共有サービスを利用し、それぞれが独自のポリシーとプロセスで運用されている現状において、私たちにはもっと標準化されたアプローチが必要です」とコメント。企業単独では規制に限界があるという見解を示していた。

今回同氏は、革新的な研究の促進と、人々のプライバシー、セキュリティの保護という3者のバランスを取る必要があるとし、更なる監視と企業による説明責任の必要性を主張した。

ハイテク企業は社会に貢献すべきで、良い規制ができれば、一時的に自社のビジネスを損なう可能性もあるが、長期的には全ての人たちにとって恩恵があるとしつつ、人々が正当であると感じる基準を作成しなければ、規制当局も技術も信用されないという。

規制によるリスクもあるが、個々の企業が独自に設けた基準よりも、最終的にはより民主的なプロセスによる恩恵が受けられるとする。

具体的な規制方法についての議論を進めるため、同社はホワイトペーパーを公開した。

その中で、表現の自由を保ちつつ、有害コンテンツを減らす方法などについて、有害コンテンツの通報や、ポリシーの欠陥、適用判断の問題などを指摘するためのチャネル設置などを規定する規制の必要性、暴力的コンテンツの表示頻度を定める一定の水準を設けることを提案。

そもそもどのようなコンテンツを「有害」とするかについては、言論を制限する法律は法執行機関と裁判所が執行するが、インターネットのコンテンツモデレーション(投稿の監視業務)は根本から異なることから、利用者の嗜好の多様さなどを考慮しながら、広範囲に適用でき、言語、社会情勢、コンテキストの違いに対応できる柔軟性がある規制が必要としている。

将来の規制のためのガイドラインについても示し、規制作りには立法者や民間企業、市民組織など以外に、実際の利用者も加わるべきとしながら5つの基本方針を提案した。

インセンティブ

安全、プライバシー、表現の自由といった価値のバランスを企業が責任をもって維持するためには、企業に対してコンテンツモデレーション体制と、手順に対する説明責任の遂行を義務づける必要がある。

インターネットのグローバル性

有害コンテンツ対策として、国内向け規制を設ける場合、インターネットの世界規模と国境を越えたコミュニケーションの価値を考慮する必要がある。これは規制当局間、各規制間の相互運用性を高めるようなものであるべきとする。

表現の自由

規制当局の決定については、市民的、政治的権利に関する国際規約(ICCPR)第19条に反しないことと、決定が表現の自由に与える影響も考慮する。

テクノロジー

規制当局は、コンテンツモデレーションにおけるテクノロジーの能力と限界に関する理解を養う必要があるとし、あるプラットフォームやコンテンツに有効なアプローチが、それ以外にも同じように有効とは限らず、逆効果になる可能性もある。

相応性と必要性

規制の対象とする有害コンテンツについては、そのコンテンツの深刻性と蔓延度、法律上の立場、進行中の他の政策を考慮に入れる必要がある。

これらが上手く設計されていれば、有害コンテンツ規制の枠組みはインターネットのさらなる発展に貢献するが、設計を誤れば、返ってネットの安全性を損ない、表現の硬直化や技術革新の地帯を招く可能性もあるとした。

同社では、数カ月以内に、選挙とプライバシーについても同様のペーパーを公開する予定。