2001年12月
『スナッチ』

『ターミネーター』

『グリンチ』

2001年11月
『キャスト・アウェイ』

『スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス』

『ショコラ』

『ゴッドファーザー』

スタンド・バイ・ミー』
2001年10月
『明日に向かって撃て!』

『羊たちの沈黙』

『バトル・ロワイアル』

アンブレイカブル』
2001年9月
『アラビアのロレンス』

『初恋のきた道』

『ペイ・フォワード』

クリムゾン・リバー』
2001年8月
『コヨーテ・アグリー』

『リトル・ダンサー 』

『ザ・セル 特別プレミアム版』

『火垂るの墓 -ほたるのはか-』

『17歳のカルテ コレクターズ・エディション』

2001年7月
『ダイナソー』

『宮廷料理人ヴァテール』

『グリーン・デスティニー』

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』


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原題:『CHOCOLAT』

Cast&Staff:
監督:ラッセ・ハルストレム
原作:ジョアン・ハリス
脚色:ロバート・ネルソン・ジェイコブス
製作総指揮:ボブ・ワインスタイン/ハーヴィ・ワインスタイン/メリル・ポスター/アラン・C・ブロンクィスト
製作:デイヴィッド・ブラウン/レスリー・ホールラン/キット・ゴールデン
撮影:ロジャー・プラット
プロダクション・デザイン:ディヴィッド・グロップマン
衣装デザイン:レネー・エールリッヒ・カルフュス
編集:アンドルー・モンドシェイン
音楽:レイチェル・ポートマン
出演:ジュリエット・ビノシュ/ジョニー・デップ/ジュディ・デンチ ほか
DATA:
発売メーカー名:パイオニアLDC
定価:3,800円(税別)
■謎の美女 彼女は愛の伝道師か? はたまた心優しき革命家か?


 2001年のアカデミー賞で主要5部門にノミネートされた『ショコラ』。物語は、食べた人を皆幸せにしてしまう不思議なチョコレートを売る女性、ヴィエンヌを中心に展開する。美味しいものが体だけでなく心も満たすように、この作品もチョコレートがもたらす幸福感に似た満足感を感じさせてくれる。味はといえば、ビタースウィートな大人の味とでも言おうか。

 20世紀半ばのフランス。禁欲的なまでにキリスト教の教えに従う保守的な村に、ある日、北風と共に謎めいた母と娘がやってくる。そしてチョコレート・ショップを開店。母であるヴィエンヌは客の好みをぴたりと当てる不思議な力を持ち、厳格な規律の元に暮らしていた人々をもチョコレートの虜にしてゆく。古い伝統に縛られた村はいつしか開放的な雰囲気を漂わせ始めるのだが、町長はそんな変化を嫌い…。

 ロマンティックな愛のファンタジーとして語られることの多い本作だが、実は非常に骨太な作品だ。物語の時代設定は1959年という戦後、世界が新しい方向へと動いていた最中である。時代の波がようやく届き始めた頃のとある田舎の村のとまどいを描いた社会的な面も持ち合わせているのだ。ビノシュ演じるヒロインは伝統に閉ざされた村に優しく打ち寄せる時代の波のようでもある。変化への不安を隠せない村人たちは、はじめ彼女に対し警戒し臆病な反応を見せる。だがチョコレートというトロリと甘い誘惑には抵抗できない。村人たちは次第に偏見、伝統、狭い視野に縛られていた感情を解き放ちはじめ、楽しみを教授することを知る。新しい人生の始まりである。

 ヴィエンヌの“ショコラ”を口にする幸福を知った者はなぜそこまで変わることができるか。それは幸福が、それまでどこかに閉じ込められていた愛という感情を呼び覚ますからだろう。夫婦愛、家族愛、自己愛という様々な種類の愛を。果たしてヴィエンヌは愛の伝道師なのだろうか。きっとその答えはイエスだ。だがそれだけではない気がする。彼女がもたらすのは愛だけに留まらず、その感情を認識することにより訪れる心の変化であるとも言えるからだ。たとえ一人一人の心に訪れた変化は小さくとも、それが集まることでうねりとなり、大きな変化をもたらすことができるとこの映画は教えてくれる。となるとヴィエンヌには、“チョコレートという甘い武器を持った心優しい革命家”という名が最も相応しいのかもしれない。

■人情派監督は愛妻家。ラッセ・ハルストレム


 『サイダーハウス・ルール』『ギルバート・グレイプ』『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』。いずれも本作を手がけたラッセ・ハルストレム監督作品である。このラインナップからもおわかりのように、愛、寛容、勇気などをテーマにした心温まる人間ドラマを得意としている人だ。これまでの作品で彼は心に傷を追った人々に優しい眼差を注いできた。どこか影を持った人物の感情描写がすこぶる上手い。そして、ジョアン・ハリスの同名ベストラー小説を原作とする本作でも、その力は十分発揮されている。

 夫婦関係が上手くいかない人、親と断絶している人、偏見によって差別されている人。そんな彼らの感情を豊かに映し出すことができるのは、彼自身が人間を愛し敬っているからに違いない。そんなことを考えながらメイキング映像を観ていると、静かに、そして穏やかにスタッフ、キャストと交流している監督の姿に人情派という言葉が浮かんで重なった。「とても穏やかでヴィジョンを明確に持った人。安心してついていける」とあの大女優ジュディ・デンチは言う。ジョニー・デップは「役者やスタッフの気持ちも敏感に察してくれるから、リラックスできる」と話す。もちろん、主演のジュリエット・ビノシュもベタ褒めである。才能、そして確かな選択眼を持ち合わせた彼らに慕われるのは至難の業だろう。「キャストの誰もが第一候補だった」と監督は話しているが、夢のキャストを実現させたのも、一流の役者たちを納得させる才能と皆に慕われる人柄を兼ね備えた監督自身の力に他ならない。

 ところでこの作品には、監督の愛妻で女優のレナ・オリンが出演している。どちらもハリウッドで活躍しているが、意外にも一緒に仕事をするのは初めてだそうだ。「彼女はやっぱりいい役者だね」としみじみ語る監督の表情には寸分のテレもない。また、本編の音声解説で妻が始めて登場するシーンに発するコメントがまたいい。なんと「僕の愛しい妻。早く会いたい」、である。録音した当時は仕事で離れ離れになっていたらしいのだが、撮影時を振り返り心から妻と過ごした時間を懐かしんでいる。まさにどこまでも“ごちそうさま”な作品であるとつくづく感じる瞬間であった。



■片面2層
■画面サイズ:1.85:1(16:9 スクイーズ)
■収録時間:121分
■音声仕様:
1,英語 5.1ch ドルビー・デジタル サラウンド
2,英語 5.1ch DTS サラウンド
3,日本語 5.1ch  ドルビー・デジタル サラウンド
4,英語(解説音声) ステレオ

 
映像特典
■監督&プロデューサー本篇解説音声
■未使用シーン(約8分)
■メイキング(約28分)
■プロダクション・デザイン解説(約8分)
■衣装デザイン解説(約5分)
■劇場予告篇(日本版&アメリカ版)


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