2001年12月
『スナッチ』

『ターミネーター』

『グリンチ』

2001年11月
『キャスト・アウェイ』

『スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス』

『ショコラ』

『ゴッドファーザー』

スタンド・バイ・ミー』
2001年10月
『明日に向かって撃て!』

『羊たちの沈黙』

『バトル・ロワイアル』

アンブレイカブル』
2001年9月
『アラビアのロレンス』

『初恋のきた道』

『ペイ・フォワード』

クリムゾン・リバー』
2001年8月
『コヨーテ・アグリー』

『リトル・ダンサー 』

『ザ・セル 特別プレミアム版』

『火垂るの墓 −ほたるのはか−』

『17歳のカルテ コレクターズ・エディション』

2001年7月
『ダイナソー』

『宮廷料理人ヴァテール』

『グリーン・デスティニー』

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』


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監督/脚本:高畑 勲
原作:野坂昭如
企画/製作:佐藤亮一
プロデューサー:原 徹
キャラクターデザイン/作画監督:近藤喜文
美術:山本ニ三
音楽:間宮芳生
声の出演:辰巳 努/白石綾乃/志乃原良子/山口朱美 ほか

発売メーカ名:ワーナー・ホーム・ビデオ
定価:2,980円(税別)
■語り継がれる戦争の記憶

 現在、日本のアニメーションは世界中の映像作家たちに大きな影響を与える存在となっている。特に卓越したストーリー、魅力的なキャラクターデザイン、そして日本的要素が色濃く残った作風から、他国のアニメーションとは完全に一線を画し一目置かれている。日本のアニメが世界に誇る存在となり得た理由のひとつは、親が自分の子供たちに伝えたくなる作品が次々と、だが丁寧に生み出されてきたからではないだろうか。手塚治虫の「鉄腕アトム」やジャパニメーションの旗手、宮崎駿が産んだ傑作『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』などはほんの一例にすぎない。宮崎と共にスタジオジブリを率い、数々の名作を手がけてきた高畑勲が監督、脚本を担当した本作もそんな作品のひとつである。21世紀へと語り継ぐべき戦争の記憶が刻み付けられたアニメーションの名作だ。

 昭和20年の神戸。いつ襲ってくるとも知れぬ空襲に怯えながら、4歳の節子と14歳の清太は、戦地に赴いた父親の留守を母とともに守っている。そんなある日、空襲によって母を失ってしまいおばの家で新しい生活を始めるのだが、働きもせず食料を減らすばかりの二人はやがて邪魔者扱いされてゆく。そんな暮らしに別れを告げ、明るい未来を夢見ながら、幼い兄妹は防空壕で二人きりの生活を始める。

 この作品は、作家の野坂昭如氏が自らの戦争体験をもとに綴った直木賞受賞小説、発行部数130万部を誇るベストセラーの映像化だ。幼い妹と優しい兄。二人きりになってしまった彼らが明るく生きようとする姿は観る者の胸を打つ。特に過酷な戦時下の生活へと、たった二人で足を踏み入れる心細さを感じながらも、無邪気に振舞う4歳の節子の姿はよけい不憫に写るのだ。幼い兄妹が懸命に生きようとすればするほど、二人に同情すら示さない大人たちの姿が浮き彫りになってゆくが、それは世間の冷たさを示すものというより、戦中に生きることの過酷さを示すもののように思える。人間から、いたいけな子供たちに手を差し伸べる心すら奪ってしまう戦争の力。空襲よりも空腹よりも、人の心を蝕むその力こそ戦争の真の恐ろしさであることを知らされるのである。また、実際に岡山で空襲を体験している高畑勲が監督を務めていることにも注目したい。野坂、高畑、両氏のコラボレーションと呼べる本作は、悲劇の記憶を、そして精一杯生きた人々の命の灯火を消さないようにという願いが生んだものに他ならない。戦争を知らない世代にとってまさに語り部のような存在であり、大切に次世代に手渡したい作品である。

■アニメ、恐るべし

 主人公、清太の衝撃的な告白から始まる本作は、アニメ=ファンタジーというイメージを持つ者にはかなりショッキングな作品だろう。だが、アニメという低年齢層にも訴えることのできる媒体だからこそ、この戦争の記録が映像化されたことに大きな意味がある。原作では届くことのなかった世代をも視野に入れることができるようになったからである。だからこそ戦争体験を広く伝えるという重要な役目を担った製作者たちの意気込みはひときわ熱くなるのだ。それは高畑監督の「アニメでなければ出ないものがあると信じている」という言葉からも察することができる。アニメというと実写作品よりも虚構性を感じるものと思いがちだが、それはもはや間違いだ。この作品を観れば戦争という非常に現実的な題材を得たアニメが“つくりもの”の域を超えていることに驚くはずだ。リアリズム溢れる世界はどこまでも恐ろしく、どこまでも切なく、どこまでも残酷。そしてどこまでも美しいのである。

 原作者である野坂氏が体験したそんな世界を再現した影の立役者、美術監督の山本二三氏は、年月を経て生まれる敷居の丸み、障子の黄ばみ、箪笥の取っ手の傷などにこだわり、昭和20年の日常を丁寧に描き出した。随所に感じる生活の匂いはそんなこだわりの産物である。野坂氏はインタビュー映像の中で、自作がアニメーション化されると知った当初、一体どうなるものかと興味や不安の入り混じった気持ちを持ったと正直に語っている。だが、製作現場へ出向き、目の前にある未完成のセル画が43年前の自らの記憶としっかりと結び付いていることを知るや驚いたという。「アニメ恐るべし」。野坂氏が残したこの言葉は、まさに世界中がジャパニメーションに対して抱いている感情そのままなのではないだろうか。



■片面1層
■画面サイズ:ビスタサイズ(16:9)
■収録時間:本編約89分
■音声仕様:オリジナル(日本語)ステレオ
 
映像特典(8分)
■ 劇場予告編
■プロモーション映像
 (原作/野坂昭如、監督・脚本/高畑勲、美術監督/山本二三インタビュー等)


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