2001年12月
『スナッチ』

『ターミネーター』

『グリンチ』

2001年11月
『キャスト・アウェイ』

『スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス』

『ショコラ』

『ゴッドファーザー』

スタンド・バイ・ミー』
2001年10月
『明日に向かって撃て!』

『羊たちの沈黙』

『バトル・ロワイアル』

アンブレイカブル』
2001年9月
『アラビアのロレンス』

『初恋のきた道』

『ペイ・フォワード』

クリムゾン・リバー』
2001年8月
『コヨーテ・アグリー』

『リトル・ダンサー 』

『ザ・セル 特別プレミアム版』

『火垂るの墓 -ほたるのはか-』

『17歳のカルテ コレクターズ・エディション』

2001年7月
『ダイナソー』

『宮廷料理人ヴァテール』

『グリーン・デスティニー』

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』


[an error occurred while processing the directive]





原題:『UNBREAKABLE』

脚本/製作/監督:M.ナイト・シャマラン
製作:バリー・メンデル/サム・マーサー
脚本総指揮:ゲイリー・バーバー/ロジャー・バーンバウム
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ブルース・ウィリス/サミュエル・L.ジャクソン/ロビン・ライト・ペン ほか

DATA:
発売メーカー名:ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント
定価:3,800円(税別)
■緻密に練り上げられた“コントラストの映画”


 『シックス・センス』の大ヒットにより、一躍時の人となったM.ナイト・シャマラン監督が、超話題作の後、期待を一身に背負って発表したのが本作『アンブレイカブル』だ

 フィラデルフィアで131人を死亡させた列車事故が発生した。乗員、乗客131人が死亡する大事故にも関わらず、デヴィッドだけは無傷のまま生還し、唯一の生存者となった。そんな彼のもとにイライジャと名乗る男が現れ、デヴィッドこそが不滅の肉体を与えられたヒーローの素質を持つ者だと伝えるのだが…というのが本作のあらすじだ。個人的には『シックス・センス』が好きだったこともあり、劇場公開時に本作を観た時は「おや?」と思ったものだ。ヒーローの誕生秘話的物語というアイディアはいいけれど、何か腑に落ちないものを感じていたらからだ。だが、今回レビューを書くために再度観返してみると記憶していたほど悪くない。公開当時、映画ファンの間でも評価は分かれたものの、過大な期待、先入観などを捨てて改めて向き合ってみると非常に緻密に作り上げられた作品だと素直に認めることもできる。実際のところ、前作と同様に脚本も手がけたシャマランの手腕に感心せざるを得ないというのが本音だ。

 タイトルとなっている“UNBREAKABLE”という言葉は、壊れやすいとか、脆い物を指す“BREAKABLE”の対極にある言葉だ。物語ではこの二つの極が重要な意味を持っているのだが、その他にも多くの対比が隠されている。それは善と悪であったり、光と影、幸と不幸、裏と表、運命と偶然であったりする。ストーリーに見え隠れするあらゆる要素がたいてい何かと対になっており、相対するものの存在をほのめかしていたり、現実世界の不平等を象徴したりしてゆく。もちろん、それらの極は観る者の価値観や感じ方によって逆転することもある。そんな可能性をはらんでいる点が作品をとてもユニークなものにしている。そういう意味では、本作は“コントラストの映画”と呼べるかもしれない。上下が逆になった映像や鏡、TVに映された反転映像などが多く観られるが、それらは数あるコントラストを観客に自ら探し出させるヒントである。『シックス・センス』でも見られた凝った演出、表現手法、ストーリーの語り口のすべてが、結局は観客が自ら見つけ出すべきものへと導いてゆく単なる手がかりに過ぎないのかもしれない。映画の先にある何かを見つめて欲しい。それがシャマランの狙いなのではないだろうか。

■シャマラン監督、実は目立ちたがり屋?


 DVDなら付いていて当然。それが最近の特典映像の認識のされ方だろう。もちろん以前ご紹介したように、特典の有無など気ならない、というタイトルはあるが、やっぱりあれば得した気分になるのが人間だ。だからこそ、メーカーはこぞってユニークな特典をつけようと今や必死である。本作も本編が収録されたディスク以外に特典映像用としてもう1枚付いてくる。そう、2枚組み。こうなるとすっかり殿様気分である。

 もちろん内容は豪華で、定番の未公開シーンだとか、重要シーンをマルチアングルで見られるとか、製作過程をスタッフの証言を基に順序だててまとめた製作秘話というのも収録されている。だが、そんな定番企画が並ぶ中、これはDVDメーカーががんばったんだろうなと感じさせるのがシャマラン監督が少年時代に作ったという映像作品だ。29歳の時に撮った『シックス・センス』が評価を得るもっと以前、10歳の時に映画製作を始めたという彼が子供の頃に作った『ミリオネア(百万長者)』という作品だ。映画というより子供の遊びを記録した映像と言えなくもないが、子供のシャマラン監督も登場していてとにかく微笑ましい。余談になるが、監督の経歴を読むとかつて低予算映画を撮っていた頃は製作、監督、脚本に加え、主演までしていたというから、実はかなり目立ちたがり屋なのかもしれない。『シックス・センス』では医師の役、本作ではスタジアムにいる不審者の役で自作に登場しているし、特典の未公開映像の解説と称してカメラの前に立つ姿、その堂々とした語りっぷりからは、“カメラに写りたい願望”を感じ取ってしまう。カメラの後ろにいる人間は、カメラの前に立ちたがらないなどという話も聞くが、どうやら必ずしもそうではないようだ。

 それはさておき、この『ミリオネア』なる作品を見ていると、若くしてハリウッドで成功した天才がいったいどんな子供だったかを想像できて楽しいものだ。この時すでに彼の可能性が感じられる、と言いたいところだが、むしろここからスタートしても『シックス・センス』に行き着くことは可能ですと言うメッセージとともに、映画監督を目指す全ての人に勇気を与える作品と言えるだろう。本人ですら「涙が出るほどお粗末で、これを見た後なら『アンブレイカブル』が名作に見える」と語っている。ぜひ、お試しあれ。



■片面2層
■画面サイズ:シネスコサイズ(16:9)
■収録時間:
    Disc1,本編107分
    DISC2,特典映像約71分(片面1層)
■音声仕様:
    1,英語 5.1chサラウンド
    2,日本語 2.Ochサラウンド

 
■メイキング・ドキュメンタリー
「名作誕生秘話」(約61分収録)
■スティーブン・スピルバーグ
『アラビアのロレンス』を語る
■撮影の舞台裏
■ニューヨークでのプレミア
■タレント・ファイル
■オリジナル劇場予告編集
『アラビアのロレンス』
『戦場にかける橋』
『ナバロンの要塞』
■公開時の宣伝キャンペーン


[ MOVIE Watch ホームページ ]

Copyright (c) 2001 impress communications corporation All rights reserved.