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電動ワークチェアがスゴい 集中と休憩が共存する「LiberNovo Omni」

自在に高さを変えられる電動昇降デスクはわりと知られるようになってきましたが、その電動化の流れがついにチェアにもやってきました。応援購入サイトのMakuakeで2025年10月より予約受付を開始した「LiberNovo Omni」という製品がそれです。

コロナ禍のテレワークなどを経て「いい椅子」の重要性に気付く人が増え、注目が集まるなか、実にさまざまなメーカーから快適性を追求したワークチェアが登場してきました。が、そんななかで電動化したワークチェアは、一般向けのものとしてはこれが初めてかもしれません。

少なくとも希有な存在と言えるLiberNovo(リベルノヴォ)のワークチェア。日本市場への本格展開を前に実物をお借りして試すことができたので、その使い心地をレビューしたいと思います。

LiberNovo Omni(Makuake)

電動ワークチェア「LiberNovo Omni」とは?

LiberNovoというメーカー名を耳にしたことがある方はまだ少ないかもしれません。それもそのはず、創業は2023年とごく最近なのだそう。しかし元々はドローンやカメラ、ロボット掃除機などの開発を手がけていたエンジニアが立ち上げた企業とのことで、技術的なバックグラウンドからくる信頼度はかなり高いと言えます。

LiberNovoとは?

そんなLiberNovoの最初の製品となるのが、今回紹介する「LiberNovo Omni」です。生まれたばかりのスタートアップとはいえ、約2年間に渡って150人以上を対象に「背中の形や座り方、身体の動きを細かく観察・記録しながら設計」したということで、チェアとしての完成度の高さにも期待がもてます。

電動ワークチェア「LiberNovo Omni」

米国ではすでに2025年6月から販売が開始されており、少し遅れて日本へ展開されるLiberNovo Omniですが、最大のポイントは、やはり電動であること。

といっても高さ調整を電動化しているわけではなく、背もたれのうちランバーサポートに当たる部分の調整を電動化している、というものになります。

詳しい使い方やどんなフィーリングなのかは後ほど詳しく紹介したいと思いますが、ただ位置調整ができるだけでなく、電動ならではのユニークな機能も備えていて、一度使い始めると手放せないものになる予感がします。

背もたれのランバーサポートにあたる部分の調整が電動化されている

そして、それ以外のチェアとしての基本機能も充実しています。椅子全体の高さ調整はもちろんのこと、アームレストの高さや前後左右の位置調整ができ、ヘッドレスト(ネックサポート)は高さに加えて前後位置や向きの変更が可能で、多段階のロッキング(リクライニング)機能もあります。いわゆる高級モデルと言われる製品と同等かそれ以上の、まさしくフル装備のワークチェアと言っていいでしょう。

高さと前後左右の位置調整が可能なアームレスト
ヘッドレストは高さ、前後位置、向きの変更が可能
多段階のロッキング(リクライニング)機能も

なお、今回お借りしたのはLサイズで、身長170~190cmの方に適したバージョンですが、身長153~175cmに対応する小柄な人にも向いたMサイズも用意されているので、大人だけでなく中高生の学習用チェアとしても選択肢に入るのではないかと思います。

最初は届いたチェアパーツの組み立てから

というわけで、さっそく使い心地をお伝えしていきたいところですが、最初はバラバラの状態で届くのでまずは組み立てる必要があります。ぱっと見ではパーツ数が多く「これは大変かも……」と思ったものの、いざ作業を始めてみると意外とあっさり、撮影しながらでも15分ほどで終わってしまいました。当然1人で組み立てられますし、手際よく進めれば10分程度で完成するかもしれません。

ダンボールを空けると大きな組み立て手順書
ぎっしり詰め込まれたパーツ類
箱から全てのパーツを取り出したところ
脚にキャスターをはめ込み、ガスシリンダーを差し込んで、上にフレームを載せる
このパーツが電動の肝になる部分
アームレストが一体化した座面を載せる
フレームから延びるケーブルを座面側に差し込む
ねじ留めするのは全部で4カ所
背もたれとヘッドレストを取り付けて組み立て完了

全体の重量は約22kgとそれなりにあるものの、組み立て時の1つ1つのパーツは軽いものばかりです。手順も明快で迷うところは少なく、ねじ留めする部分も4カ所と最小限。工具は付属しているので別途用意する必要はありません。電動ということで、これまで見てきたチェアにはない複雑な構造もあるのですが、組み立てにおいてはユーザーフレンドリーなものになっているようです。

完成したLiberNovo Omni

完成後の外観は、特に背面側がイカツいというか、近未来的な印象。ただ組み上がったところで1点だけ気になったのは、「そもそもどこからどうやって電力供給するのか」が手順書に書かれていないことでした。別紙の使い方ガイドの方にはさりげなく記載があるのですが、答えとしては「付属の専用バッテリーを座面左側下に差し込む」というもの。

専用バッテリーはUSB充電器などとType-Cケーブルでつないで充電します。端子の横にある白いランプが点滅から点灯に切り替わったら充電完了なので、差し込む向きに気を付けて取り付けましょう。バッテリーは座った状態でも手の届く位置にあり、充電が必要になったときにはさっと取り外してすぐに充電できます。

付属の専用バッテリー
これをUSB充電器などで充電
座面左側下にあるバッテリー取り付け部
充電したバッテリーをセットすれば準備OK

バッテリーがどれくらいもつのかは気になるところかもしれません。が、実際のところそこまで気にする必要はなさそうです。というのも、バッテリーで常に通電しておく必要はなく、バッテリーを取り外したとしても椅子としての機能が損なわれるわけではないからです。

バッテリー残量がゼロになってしまったときや「そろそろ減ってきたかな」と思ったタイミングでサクッと充電すればいいだけですし、筆者が試用していたおよそ2週間、毎日電動機能を利用しましたが、最初の充電以降は一度も再充電することなく使い続けられました。

4段階のリクライニング角度調節が日々大活躍!

座り心地はどうでしょうか。LiberNovo Omniの座面、背もたれ、ヘッドレストに使われている素材は、すべてファブリックです。表面はきめが細かく、しなやかに伸び縮みする布地で、クッションは厚め。座ると、ふわっとした感触で身体を優しく受け止めてくれます。

表皮は柔軟に伸び縮みし、その奥のクッションは厚め

背もたれに身体を預けたときにもふんわりと包み込んでくれるよう。ただただ柔らかい、というよりは、座面も背もたれも、その身体の部位の形に合わせてクッションが変形し、身体に痛みが出たり、無理な姿勢にならないようにしてくれている感じです。

座面の高さや、リクライニングのテンションと角度の調整を行なうレバー類は座面右側下に集中しています。ここでわりと頻繁に使いたくなる便利な機能が、4段階で切り替えられるリクライニングの角度です。

座面やリクライニングまわりの調整レバーは右側下に

背もたれに体重を掛けたときに倒れる角度を、ほぼ直立の105度から120度、135度、そしてフルフラットに近い160度まで段階的に切り替えられるものなのですが、そのときの自分の“モード”に合ういいポジションに気軽に変えられます。

デスクワークに集中するときは105度で、少しリラックスしたいときは120度か135度で、昼寝したいときは160度で、というのがよくある使い分けでしょうか。筆者もだいたいはそうですが、1日のうちにたびたび活躍したのが120度でした。

直立に近い105度
120度
135度
160度

仕事デスクではモニターを2台、上下に並べて使っていて、サブとなる上のモニターでは動画を流すことがよくあります。それを眺めるのに120度の設定が実にぴったり。楽な姿勢で軽くリラックスできる状態を作りつつ、仕事モードに戻るときも素早く復帰できます。

高いところに固定しているモニターを見るときは120度がベスト

調整幅がかつてないほど大きいヘッドレストとアームレスト

こうしたリラックス時の快適さに大きく寄与しているのが、高さと上下角度に加えて前後位置も調整できるヘッドレストです。高さと角度だけが調整可能なチェアが多いと思うのですが、それだと思った以上に頭を後ろに傾けないとヘッドレストまで行き着かなかったりします。

ヘッドレストの高さ調整の幅は実測で約8cm
ヘッドレストの上下角度は32度の範囲で変更可
ヘッドレストの前後調整幅は実測8cm余り

頭が上に向きすぎるようだと無理な体勢になってしまい、有効に機能させられないことが多いのですが、LiberNovo Omniであればヘッドレストを大きく前方向に引き出せるのでしっかり活用できます。

また、アームレストの調整にも高い自由度があります。高さと前後位置、左右角度の調整ができるのですが、特に前後位置と左右角度の調整幅が大きいのが特徴的なところ。たとえばアームレストを最大限に前に出し、内側向きにした状態だと、アームレストに腕を載せたままキーボードを楽々タイプできちゃいます。

アームレストの高さ調整は実測約8cm
アームレストのクッション部分の前後調整は実測約10cm
アームレストの左右角度の調整幅も広い

アームレストの調整幅が少なくキーボードのタイプ中に腕を載せられないチェアの場合、代わりにリストレストなどを支点にして腕全体の高さを保持する形になります。しかしこの場合、その支点になっている手首付近に荷重が集中するため痛くなりがちです。

でもアームレストが使えると、腕によって面的に保持する形になり、より脱力した状態でタイプできるのです。リストレストも不要になり、余計な力がかからない分、肩こり防止にもなるような気がします。

リストレストなどを使って手首が支点になってしまう場合、そこがピンポイントで痛くなりがち
アームレストに腕を載せられると荷重が分散され、楽にタイプできる

ちなみにリクライニングする際、背もたれが傾くのはもちろんですが、それに伴ってアームレストの支柱が滑らかに前後に動く仕組みにもなっています。これによって直立に近いときでも、もしくはリクライニングしているときでも、自然な体勢を維持可能。なんだか椅子との一体感も感じられて「自分に寄り添ってくれているなあ」みたいなうれしさが湧き上がってきます。

リクライニングするとそれに伴ってアームレストの支柱が根本から前後に動く構造

前後に無段階調整できる電動ランバーサポート

そうしたメカニカルな機能をベースに、プラスで用意されているのが電動による調整機構です。左アームレストの内側に3つのボタンがあり、前側のボタン2つを使うと背もたれ下部を前後に無段階で動かせます。

左アームレスト内側に用意されているボタン

実際には背面にあるシリンダーの動きにより、背もたれ全体が後ろに反ったり、真っ直ぐになったりするのですが、体感としてはランバーサポートの厚みが変わるイメージです。

自分の背中の形状に合うポジション、もしくはリクライニングの角度ごとにフィットするポジションを探って調整することで、正しい姿勢を保ちつつデスクワークや休憩ができるようになります。自分の体型と他の調整機能とのちょうどいいバランスを見つければ、長時間のデスクワークでも身体への負担を最小限に抑えられるでしょう。

前方にある2つのボタンで調整。これは最も後方に調整した状態(左)
最も前方に調整した状態(右)
ランバーサポートの動き(10倍速)

同じランバーサポートでも、クッションなどをセットするタイプだと使っているうちに位置がズレていったり、そもそも大きさが合わなかったりして、ヘッドレストと同様に有効活用が難しいことがあります。

しかしLiberNovo Omniなら一度ポジションを合わせればそこから動くことがなく、しかも気に入らないときは別のポジションにいつでも簡単に指先だけで調整可能。最適な設定が見つけやすいので、ランバーサポートのありがたみを誰もが実感できるはずです。

ランバーサポートの動き

仕事中も休憩中も簡単にリフレッシュ! 「ストレッチモード」

そして、3つ目のボタンがLiberNovo Omniの一番ユニークなところです。これは「ストレッチモード」のボタンで、オンにすると先ほどのランバーサポートの前後移動を自動で繰り返してくれる機能となっています。

後方のボタンをオンにすると「ストレッチモード」に

その効果を最も感じやすいのは、最大限にリクライニングした状態で使用したときでしょう。腰の上部分をゆっくり押し上げ、元に戻り、また押し上げ、元に戻り……という動作が5分間続きます。筆者はおそらく身体が硬いせいもあって「えっ!? そこまで反るの?」ってくらいに押し上げられて苦しいほどなのですが、絶妙な頃合いで元に戻って、それが繰り返されるうちにだんだん「気持ちイイーー!」という感じに。

しかも、しばらく使っていて気付いたのですが、このランバーサポートの上下動作は単純な繰り返しではないようです。最初の1、2回目は軽めに持ち上がって、そこから徐々に振幅が大きくなっていったり、持ち上げたまま長めに停止したり……みたいにしっかり安全にストレッチしてくれます。

デスクワークが続いてちょっとストレスが溜まってきたときなんかに、これはもう最高のリフレッシュツールです。気分や身体の調子がたったの5分でフルリフレッシュ。お昼時のシエスタタイムでも、フルリクライニングで小休憩した後、起きる間際にストレッチモードをオンにすれば、よりすっきりと仕事を再開できること間違いなしです。

ストレッチモードの動き(10倍速)

筆者もこの2週間は毎日のようにストレッチモードのお世話になりました。仕事の合間の休憩時に使うのはもちろんのこと、夜、布団に入る前にLiberNovo Omniで横になってストレッチモードの5分間を何度も繰り返してしまいます。5分と言わずもっと長時間連続で動いてほしいなあと思うほどで、ほとんどクセになってしまいました。

先ほど説明した通り、リクライニング時にはアームレストが連動して快適な姿勢が保たれるので、腕も楽なポジションをキープしつつ、仰向けでスマホを眺めるのもつらくありません。ストレッチモードをオンにすればまるでマッサージチェアでくつろいでいるかのような贅沢な時間に。健康的なのかそうでないのかよく分からない状況ではありますが、夜のスマホタイムが圧倒的に快適、かつ楽しくなりました。

リクライニングして仰向けの状態でスマホや読書するのがやめられない

ふんわりと、優しく受け止めてくれるクッション性の高い座面や背もたれが、長時間そうした姿勢を続けていても快適でいられる要因だと思いますし、何ならそのまま眠ってしまうのもアリ。お昼寝を少し長めに、1時間くらい試してみましたが、身体のどこかが痛くなるようなこともなく、15~30分程度の仮眠「パワーナップ」にもベストマッチな相棒になることと思います。

ストレッチモードの動き

フル装備の電動ワークチェア、Makuakeで先着50台が半額に!

LiberNovoは、チェアとセットで使える「LiberNovo StepSync フットレスト」という製品も同時に発売しています。このような足の高さを調整できるフットレストがあると、チェアの方の高さ調整に幅をもたせることができ、体型やデスクの高さを考慮した最適なフィッティングで1段も2段も快適性がアップします。

LiberNovo StepSync フットレスト
組み立てが必要ではあるものの、1~2分で終わるレベル

もちろんこちらもチェアと一緒に使ってみたのですが、デスクワークでは血流が阻害されにくくなるためか、長時間同じ姿勢でいても足まわりの違和感が少ない気がします。リクライニング時も、フットレストを使うと飛行機で言えばビジネスクラスのような快適さ。クッション部分の素材はチェアと同じく優しく柔らかで、ストレッチモードをオンにすれば起き上がるのが億劫になってしまうくらいのリラックス環境ができあがります。

デスクワーク中の使用スタイル
リラックスタイムの使用スタイル

これだけの機能を備えていて、こんなにも1日中身体を労ってくれるワークチェアはそうそうないのでは? と思わざるを得ないLiberNovo Omni。それでいて標準価格は171,600円(予定)と、他メーカーのフラッグシップモデルより安価なくらいです。しかも、現在Makuakeでは50台限定で半額近い87,500円という破格値で先行セール中。

さらには半額以下の92,800円に設定されているフットレストとのセットも狙い目です。ワークチェアをそろそろ新調したい、ストレッチモードで気持ち良く健康的に過ごしたい、と思っている方はぜひとも購入を検討してみて欲しいと思います。

LiberNovo Omni(Makuake)