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「無印良品の家」にお邪魔した。平屋にウッドデッキが魅力「陽の家」
2021年6月24日 08:20
無印良品が戸建て住宅を売っているのをご存じだろうか。「MUJI」のロゴでおなじみのあの無印良品だ。
正確には無印良品を展開する良品計画の傘下のMUJI HOUSEが展開している事業だが、「無印良品の家」という無印良品ブランドの商品として扱われている。ちなみに戸建て事業だけでなく、「無印良品のリノベーション」や「無印良品の小屋」といった事業も展開している。
住宅事業は異業種からの参入が少なくない。むしろ最大手の積水ハウスやヘーベルハウスなども含め、異業種からの参入が一般的だ。パナソニックもトヨタもヤマダ電機もハウスメーカーを傘下に持っている。生活に密着した広範な製品展開をする無印良品が住宅事業をしていても不自然な話ではない。
そんな無印良品は6月28日まで、モデルハウスに1週間、試しに住んでみることができるというワーケーションキャンペーンの参加者を募集している。今回、このキャンペーンで使われる「陽の家」のモデルハウスを取材する機会を得た。
いきなり私事の話で恐縮だが、筆者はモバイルを中心としたITライターで、本来、住宅は専門外だ。しかし現在、個人的に自己居住用の家の建築を検討していて、ここ半年ほど、勉強や土地探しなどをしている。検討しているのは「東京から離れていてもいいから眺望の良いリビングを作る」というコンセプトの家だ。
そしてこの無印良品の「陽の家」、筆者の検討しているコンセプトど真ん中の商品だ。筆者の理想とする要素がふんだんに盛り込まれ、筆者の想像以上の形でまとまっている。調べれば調べるほど、「こんな住宅を建てたい!」と興奮してくる。今回はそんな「陽の家」のモデルハウスについて、筆者のこだわりと情熱を練り込んだレポートをお届けする。
「無印良品の家」ってどんなの?
「無印良品の家」は、無印良品が手がける住宅商品である。購入者が準備した土地に建てる家、いわゆる注文住宅だ。土地と建物がセットになっている建売住宅分譲ではない。
なぜ無印良品が住宅事業をやっているのだろうか。無印良品は家具から洗剤まで、家にあるモノのほとんどを揃えられるくらい、広範な生活雑貨を扱っている。そうなると、そうしたモノを納める家の形も見えてくる。同社が提案する生活を実現するための「無印良品の家」は、無印良品にしても消費者にしても、欲しくなる最後の大きな1ピースなのだ。
といっても、無印良品が建設工事部門を持っているわけではなく、建設工事やアフターサポートは、工務店など各地の提携業者と協力して行なっている。しかしデザインのベースは無印良品が提供し、家の部材や設計は規格化されているので、工務店ごとのバラツキを抑えつつコストダウンにもつなげている。
誰もが知るような大手のハウスメーカーと比較すると、無印良品の住宅事業規模は大きくはない。得意とするのは大規模で豪華な邸宅ではなく、バランス良くコンパクトにまとめられた住宅を手頃な価格で提供する、というイメージだ。間取りから細部の仕様まで、シンプルながら機能的で無駄のない、無印良品らしい家に仕上げられている。
「陽の家」の標準仕様だと、断熱性能を示す指標のUA値(熱の通しやすさの数値)は、0.42W/m2・Kとなっている。これは大手ハウスメーカーと比べても遜色のない性能で、「陽の家」であれば家全体がエアコン1台で済むという。なかなか頼もしい性能だ。
「無印良品の家」の現行商品ラインナップは、「木の家」「窓の家」「縦の家」「陽の家」の4種類。それぞれ決められたコンセプトをもとに、広さや間取りなどの仕様を決めることができる。今回、取材させていただいたのは、2019年9月に商品化された、無印良品の家では最新商品となる「陽の家」だ。
「陽の家」のキモは表側の大きな窓。これが面白い!
「陽の家」は都市部の住宅街向けではなく、モデルハウスのある千葉県いすみ市のように、自然環境に恵まれた地域で広い敷地面積を持つ土地に向いた商品だ。無印良品では住宅街の狭小地にも対応しやすい「縦の家」などを商品化済みだが、「陽の家」はその逆に振ったイメージでもある。
「陽の家」のコンセプトは、「庭と仲良くする家」だ。大雑把に言うと、室内と庭/ウッドデッキがつながったような生活ができるようにデザインされている。これが面白い。どう面白いか説明すると長くなってしまうが、ここがキモなので、飛ばさず読んでみて欲しい。
「陽の家」のコンセプトを最大に表現しているのは、室内と庭/ウッドデッキをつなげる窓だ。人の出入りもできる床から天井までの窓、いわゆる掃き出し窓だが、開けるとサッシ全体が壁の中に収納されるようになっている。このすごさがわかるだろうか。普通の引き違い窓は開いてもガラスサッシが半分残るが、この窓は開ききると、そこに最初から何もなかったかのようになるのだ。
この窓、実際のところ、鉄骨造の家ほどの大開口ではない。このモデルハウスで採用されている窓は幅、高さともに2.3mほど。鉄骨造だともっと幅広の開口部も珍しくない。しかし2.3mが完全に開くので、その使い勝手の良さと開放感は、間取り図からは想像できないものがある。
たとえばモデルハウスに置かれているダイニングテーブル。そこそこの大きさなのだが、キャスターが付いていて簡単に動かせる。窓を開ききり、このダイニングテーブルを半分だけ屋外・半分だけ屋内になるように持って行くと、窓枠部分に椅子を置いて両サイドに座れるくらい、余裕がある。これ、けっこう凄い。
窓サッシのレールは床面に埋め込まれているので、キャスター径の小さな机や椅子も難なく移動できる。モデルハウスには仕事机がないので、ワーケーションなどで作業をするとなるとこのダイニングテーブルが便利だが、これを屋内外自由な場所に配置できるのは面白い。周囲は野鳥の鳴き声も聞こえるので、テレカンなどではインパクトがあるだろう。
窓の左右の外壁部は、開いた窓サッシを収納する戸袋もあるため、やや分厚くなっている。そのため、斜めからだと開口が狭く感じられるが、この窓が3つも並んでいるので、屋内のどこにいても、どれかの窓は正面に近い位置にあり、庭とのつながりを感じられる。
この窓と窓のあいだの壁の幅は1.5mほど。窓サッシは引き違いの2枚が重なって収納されるので、開口部よりは小さい。これも心地よい開放感につながっている。
この壁には柱が入っていて、構造強度的な役割も果たしている。また、室内の間仕切りを作るとき、この壁を活用できる(窓に間仕切り壁は作れないだろう)。外側には木製の外装材が貼ってあるので、家の正面から見たときに木造建築の温かみも感じられる。窓と窓のあいだのこの壁、邪魔なようで、いくつもの役割を果たしている。これも無印良品らしい合理的なデザインだ。
ちなみにこの窓、2枚のペアガラスだ。無印良品の家ではトリプルガラスが標準的に使われているが、さすがにこのサイズだとトリプルガラスは製品化されていないらしい。それだけ希有なデカい窓ということでもある。
窓のおかげで使いやすいウッドデッキ
モデルハウスでは、庭側には広いウッドデッキが作られている。ウッドデッキに面した窓の外側には、日よけや雨よけのためのやや深めの軒(のき)があるが、軒よりも先にもウッドデッキが広がっている。
標準プランだとウッドデッキは軒下だけのコンパクトなものになるが、このモデルハウスでは奥行き5mほど(軒下を含まず)に拡張されている。幅は建物と同じ7間(12.74m)なので、60平米以上あるのだ。筆者が今住んでるマンションより広いではないか。
そこそこコストと手間のかかるウッドデッキだが、しかし実際に使ってみるとこの広いウッドデッキは魅力的で、「陽の家」を建てるなら可能な限り広いウッドデッキありきで設計するべき、と感じる。土地探しの段階から考慮した方が良いかもしれない。
大きく段差のない窓のおかげで、室内とウッドデッキはつながった空間のように扱える。ある程度、キレイにしておけば、裸足のまま出入りしても良いだろう。前述の通り、キャスター付きの家具ならば気軽に室内から移動でき、ほぼほぼ室内と同じ感覚でさまざまなことに利用できる。そんなスペースが60平米とかあるというのは、なかなかにステキだ。
ウッドデッキの一部は2段に掘り込まれていて、そこに焚き火台もある。椅子などを持ってこないでも、いつでも腰掛けられるのが便利だ。ベンチなどと違って視界を一切遮らない、ナイスなデザインでもある。
ウッドデッキの中央には、1本のシンボルツリーがある。サクラの一種とのことだが、かなりの樹高だ。ここまで立派な木はなかなか用意できないが、ウッドデッキにシンボルツリーを置くのは面白そうだ。ただし落ち葉や花びら、虫には注意が必要でもある。あと元天文部な筆者個人としては、やはり空の広さは欠かせないので、シンボルツリーを配置するにしても樹高の低い木がいいな、とも思う。
掘り込みとシンボルツリーのおかげで、ウッドデッキは全体を広く使えないが、それでもテントを2つくらい張れるスペースはありそうだ。キャンプ場でやるようなアクティビティの大半は、ここでもできそうでもある(ただし火災には注意)。
平屋ワンルーム構成で室内も広々。無駄のない無印良品らしいデザイン
モデルハウスの間取りは、固定の間仕切り壁がトイレや風呂などだけとなるワンルーム構造。LDKからベッドスペースまでが繋がっている。廊下がなく、建物面積には無駄がない。ただしベッドルーム部は吊り下げ型の稼働間仕切りを展開することもできる。
実際に建てる場合、建設面積や間取りは自由に設定できる。基本的に外壁以外の構造壁は要らないようなので、間取りの自由度は非常に高い。土地が許せば、もうちょっと広くしてベッドルームを2部屋にしたり、リモートワーク用の書斎スペースを作ったりするのも良いだろう。
屋根はオーソドックスな切妻屋根。メインとなる室内空間には天井裏を作らず、天井が高くなっている。間仕切りがほぼないワンルーム構造なこともあって、屋内だけでも閉塞感のない、かなり広々した作りだ。ちなみにオーダーすればロフトも作れるらしいが、見た目のバランスを保つのは難しそうだ。
平屋なので土地利用効率は低く、狭小地には不向きだ。また、2階3階の眺望や日当たりも得られない。しかしそもそも「陽の家」は、それなりの敷地面積があり、1階でも眺望や日当たりの良い土地に建ててこその商品なので、そこはデメリットとは言えないだろう。
一方で平屋のメリットはたくさんある。まず階段がないので、足腰が弱くなっても家の隅々まで活用できる。階段に建物面積を取られないのもメリットだ。2階の足音が気になることもない。また、地震はもちろん、暴風などでも平屋なので建物が揺れにくい。あとは補修やメンテナンス時、足場が不要でコストが安くなるメリットもある。
キッチンの位置が秀逸。これはもう覇者のキッチン(意味はわからない)
室内空間のほぼ中央、窓の反対側にアイランド型のキッチンがある。この配置も実に良い。キッチンに立っていると、視界のど真ん中に窓があるので、そのまま外が見える。左右の窓からも庭が見えるし、室内はほぼ全体が見渡せる。キッチンに立つ者がこの家の覇者であると言っても過言ではないだろう。
しかしこのキッチン、ただ1人の覇者のためだけにあるものではない。家族と一緒に調理をするときは、カウンターを作業スペースとしても使える。シンクは側面からもアクセスできるので、複数人で水作業もできる。大人数でのパーティでも、完成した料理をカウンターに並べて持って行ってもらう、みたいな使い方もできる。しかしキッチンに立っていても庭とつながりを感じられるので、調理担当がパーティからのけ者になる感じはなく、むしろパーティの中心人物とも言える。
キッチンも無印良品のオリジナルだ。標準仕様で壁に接していないアイランド型でカウンターも付いている。カウンター部以外の天板やシンクはステンレス製。シンプルで見た目が良く、「陽の家」のようにキッチンが生活空間から見えやすい間取りに最適だ。しかしシンクはちょっとシンプルすぎるので、スポンジや洗剤の置き場所に困りそうでもある。
標準仕様だとキッチンの下の棚は扉のないオープンタイプだが、このモデルハウスでは、一般的な引き出しタイプとなっていた。オープンタイプだと生活空間からは見えやすいので、常に中身をキレイに整理し続けるモチベーションを維持しやすそうだ。もちろん整理整頓には無印良品の製品を使いたいところ。なお、普通のハウスメーカー同様、好きなメーカーのシステムキッチンを導入することもできる。
このモデルハウスのキッチンは、標準より少しグレードが高く、IHはみんなの憧れドイツのミーレ、食洗機は側面開きの巨大なAEGだ。こうした住設が豪華なのは、モデルハウスあるあるだ。実際にはここまで必要かなぁとは思うものの、家中から見える配置なので、IHは見栄えの良く掃除しやすいものを選びたい。
ベッドルームは間仕切り可能
ベッドルームとLDKのあいだには、可動式の間仕切りがある。これを閉めてもベッドルームとしてはそこそこ広いハズなのだが、しかしそれまでの広大な室内空間に見慣れてしまうと、なんか狭いなと思ってしまうのは不思議なところだ。間仕切りは使っていないときは水回りの壁と一体化しているので、邪魔にはならない。
ベッドは窓に向かって配置されている。朝起きたら外が見えるという、「コレしかないだろ」という配置だ。ベッドも無印良品のもので、枕元に枕とクッションを集めれば背もたれ的にもなるので、寝床でゴロゴロしながら外を眺めるとかも楽しそうだ。
ちなみに現在、このモデルハウスにはカーテンが付けられていない。これもモデルハウスあるあるだ。モデルハウスは外から見えなくする意味がない。しかし今回のワーケーションキャンペーンでは実際に誰かが寝泊まりすることになるので、それまでにロールスクリーンカーテンなどの設置を検討しているという。このモデルルームの目の前には道があり、1時間に1回くらい、誰かしらが通ったりする。また、このままだと朝日で午前6時に強制起床させられそうなので、遮光カーテンを付けておいて欲しいところでもある。
南向きじゃないけどそれもまたヨシ
今回のモデルハウスは北東方向に向けて建てられている。今回取材したのは6月21日の13時〜15時半ごろ。太陽はやや西に傾いているので、ウッドデッキには家の影が落ちているような時間だ。
日本だとリビングの窓や庭は南側に向ける、というパターンが多い。家の影が庭に落ちるのを嫌うからだ。実際、影が落ちて暗い庭は活用されにくく、「庭はあるけどめったに出ない」となりがちだ。
しかし「陽の家」は平屋なので、家が作る影は最小限だ。今回の取材日は夏至の日でもあったので、15時を過ぎてもウッドデッキの一部には陽光が当たっていた。また、平屋の「陽の家」の作る影より、周囲の樹高の高い木々による影の方が気になるくらいでもあった。
さすがに真北に向けて建てるのは陽光が使いづらく、もったいないと思うが、完全な南側に向けないでも良いかな、とは感じられる。東向きなら午前中に日差しを楽しみ、午後は日陰を楽しむ、そんなのも悪くないだろう。
とにかく無印良品らしいモデルハウス
モデルハウスに設置されている棚や食器などの家具は当然、無印良品の製品で統一されている。無印良品の家は無印良品の家具を想定しているので、天井高や素材などは無印良品の家具などに合わせてある。
普通の住宅展示場のモデルハウスだと、見栄えを良くするために仕様が豪華だったり、高価なオプション満載だったり、居住に不向きな間取りだったりするが(それはそれで各メーカーの技術力の高さなどを見せる意味がある)、無印良品の家はそんなことはせず、このモデルハウスも基本的に標準仕様のまま、実際に住める間取りを採用している。
ただしこのモデルハウス、デザイナーの意図を強く反映されている初期のモデルハウスということもあり、風呂だけは標準のシステムバスではなく、造作仕様だ。同じように作ってもらうこともできるが、聞いたところ、そうすると建物価格の1/5くらいが風呂の価格、ということになりそうだった。水回りは凝るとお金がかかりやすいのである。
このモデルハウスのプランでは、延床面積90.26平米(27.3坪)、建物面積は110.13平米(33.31坪)となっている。建物の大きさは12.74×8.645mだ。これで標準仕様のままなら、本体の工事価格は1,750万円。広さを変えたときの価格や間取りサンプルは公式サイトで確認できるので、興味がある人はぜひ見て欲しい。
なおこの価格は建物本体の税抜き価格なので、実際には家以外の工事費用、オプション代、諸経費、税金などが諸々とかかっていく。いろいろ付け足すと1,000万くらいかかるのはザラだ。もちろん土地を持っていない人は、土地代なども必要になる。
どんな土地に向いた家なの?
今回のキャンペーンで宿泊できるモデルハウスは、千葉県いすみ市にある「フォレストリビング」というグランピング施設内にある。東京からだと車で1時間半くらい、最寄駅まで鉄道で2時間くらいかかり、さらに駅からは公共交通機関がないので、生活には車が必須だ。
個人的な意見でもあるが、「陽の家」はこうした場所でないと面白くないと思う。周囲にはお店も公共施設もないけど、住宅も少なく大通りもなく、静かで周囲からの目線がない、そんな場所だ。
「陽の家」は室内と庭が繋がった家だ。庭と繋がる窓を開放しないと意味がない。普通の住宅街にそんな家が建てられるだろうか。それは難しいと思う。住宅街だと道路や隣家から十分な距離を取れない。そうなると視線が気になり、カーテンを閉めっぱなしで生活することになる。それでは「陽の家」の意味がない。
また、ある程度の敷地面積も必要だ。そもそも平屋なので狭小地向けではないし、コンセプト的にそこそこの広さの庭/ウッドデッキが確保できないと意味がない。そんな広い土地、都区内の住宅街だとなかなか売りに出ないし、売りに出てもなかなか買えない価格になる。
そうなると、建てられる土地は限定される。東京都区内はもちろん、近郊の住宅街でも難しい。とくにカーテンを閉めずに暮らすとなると、東京から1〜2時間くらいの距離の、いすみ市のように自然に囲まれたような環境が最適だ(地方の都市圏であれば、もっと近くにもあるだろう)。
こうした土地には、都市部の住宅街のような利便性はない。コンビニに行くにも車が必要だ。家電量販店や映画館など都市の商業施設は、車で1時間以上離れた都市圏まで行かないといけない。都市ガスや下水がないなんていうのは当たり前だ。そもそもそうした自然の中だと都市計画上も住宅地扱いではなくなり、たとえ建物を建てられる場所でも、建築申請などが必要にもなる。
このいすみ市のモデルハウスのような環境に「陽の家」を建てて生活するのは、都市部の住宅街に比べると困難も多い。しかし都市部の住人が移住を検討する価値がある、筆者はそう思う。
この時代にこそ選択肢に入れたい「陽の家」のライフスタイル
今回、無印良品が募集しているキャンペーンのテーマは、「バケーション」ではなく、「ワーケーション」だ。自然に囲まれた環境で「非日常を楽しむ」のではなく、「仕事を含めた日常生活を送れるかどうかを体験してみる」というものである。
都市部に住んでいる人が都市を離れ、こうした環境で仕事を含めた日常生活を送る。いまどきの選択肢としてはありだと思う。最近はリモートワークの普及で、めったに出社せず、住む場所はどこでも関係ない、という人は増えているだろう。「陽の家」はそうした人が自然環境を楽しむために郊外に建てる家でもある。
筆者は在宅勤務なフリーランスライターなので、もともと通勤するということはなかったが、それでも昨今の状況で外出機会は激減した。オンライン発表会ばかりで、打ち合わせは全てオンラインだ。そういったこともあり、筆者も東京から1〜2時間くらいの場所に移住しようかな、と検討している次第だ。
東京・都心にまったく行くことがなくなるとは思わない。しかしせいぜい週1回くらいだろう。その頻度なら、車や鉄道で片道1〜2時間の移動は許容できる。月〜金に30分かけて通勤するよりも週あたりの通勤時間は短い。東京近郊の住宅街だって、徒歩を含めて1時間以上かけて通勤している人は少なくない。むしろ週に1往復であれば、ちょっとしたドライブや小旅行として楽しめるかもしれない。満員電車にゆられるより大幅にマシというものだろう。
しかし筆者は44年間、ずっと東京に住んでいるので、都市以外の環境、田舎暮らしがどんなものか、想像すらできない面がある。それは実際に体験してみないとわからないことだが、こうしたことを体験するのは難しい。そこで今回、無印良品が展開しているキャンペーンなのである。
キャンペーンってどんな感じ?
今回のキャンペーンは応募者から選考された5組が1週間、この「陽の家」のモデルハウスに宿泊し、その生活を体験できるというものだ。抽選ではなく応募内容を審査しての選考という形式になる。
選考により選ばれるのは5組。1組あたり5名まで宿泊でき、1泊だけ隣のグランピング施設を利用することもできる。具体的な日程は決められておらず、当選後に相談となる。おそらく8月以降になると思われるが、宿泊をいつまでにしないとダメ、といったことは厳密には決められてないとか。たとえば窓を開けっ放しでも快適な秋ごろなんかは良さそうだ。
もちろん、このいすみ市の近辺はマリンスポーツが楽しめる外房なので、夏に泊まって毎朝サーフィンしてからテレワーク、なんていうのも良いだろう。ちなみに隣接する一宮町はオリンピックのサーフィン競技の会場なので、その時期は賑やかで楽しそうではある(混雑しそうでもあるが)。
細かい応募要項などはキャンペーンWebサイトを参照して欲しいが、とりあえず注意点としては、「車がないとたぶんムリ」ということだ。このあたりは本当に車がなければ何もできない。1週間生活するだけでも、レンタカーでも良いので、車を用意した方が良い。あるいは原付でもなんとかなるかも知れないが、自転車だとちょっとツラそうだ。
筆者のような都市部の生活しか体験したことのない人間にとって、今回のキャンペーンは非常に貴重な機会だ。車を所有していないのが問題なのだが、筆者も密かに応募しようかなと思っているくらいである。郊外への移住に興味がある人はもちろん、都市圏の住宅街に住む必要がなくなった人、新しいライフスタイルを体験してみたい人は、このキャンペーンを利用されてはいかがだろうか。