トピック

ahamo・povo・LINEMOスタート。20GB/2980円時代の料金プランの選び方

ahamo、povo、LINEMOと20GBで3,000円前後のプランが相次いで発表され、まもなく全サービスが出揃うことになり、スマートフォンの料金プラン見直しが注目されている。データ通信量が少なければ0円で使える楽天モバイルも話題で、そのほかの格安SIM事業者も値下げした新プランを発表するなど、もはや誰もがスマートフォン契約の見直し必須という状況になっている。

そこで、話題の4社の4プランの特徴をまとめてみた。使い方などで人によっていちばん有利なプランは変わってくるが、スマートフォン契約見直しの参考になれば幸いだ。


    【ahamo/povo/LINEMOの共通点】
  • 2,728円~2,970円で20GB/月
  • 事務手数料等を省きシンプルに
  • 手続き・サポートはオンラインのみ
  • キャリアメールなし

話題の3プランと楽天は、横並びのようで違いは大きい

まず、最初に説明しておくと、ahamo、povo、LINEMOは、それぞれドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクのサービスで、乗換ではなく“プラン変更”という建前で提供されている。

ahamo
povo
LINEMO

ところが、実態はそうではない。同じ事業者なのにMNP番号を取得するなど事業者乗換に等しい手続きを要求されることは回避されたものの、全く別ブランドのサービスに乗り換えると言ったほうが実態に近い。そのため、これまで使えてきたキャリアメール、留守番電話、キャリア決済などが使えなくなるなど、提供サービスに大きな変更がある。

使えなくなるものが出てくるとは言うものの、少し考え方を変えればそれほど大きな問題でなくなることも多い。余計なサービスがないシンプルなプランとなるため、囲い込みのようなものほとんどなく、自由でわかりやすい一面も持っている。

料金面では、ahamo、povo、LINEMOの3つは、当初、povoだけ5分間定額通話がオプションで少し安く、5分間定額通話を付けると2,980円(税別)/3,278円(税込)と3社横並びだった。

しかし、LINEMOも5分間定額通話をオプション化して2,480円(税別)/2,728円(税込)にすると、ahamoが内容そのままで2,700円(税別)/2,970円(税込)に変更。さらにLINEMOが最初の1年だけ500円の5分間定額オプションを無料化、金額面でも少し差が出ている。

次に、表を見てもらうとわかるが、細かいところに違い点がある。

容量面で特に違うのはpovoに24時間で200円のオプションがあること。オプションを適用すればその間は20GBから消費しないため、朝から晩まで動画を見ると決めた休日などに使えるほか、テザリングでも使えるため、出先でテザリングを使い、一日中クラウドを駆使するような作業をするような場合に有効だ。1GBで500円の追加容量を購入するよりも有利なことが多い。

また、通話定額が付いた場合はahamoがわずかに安価だが、最初の1年はオプションが無料となったLINEMOのほうが当初は安く、オプションを付けておいて損はない。ただし、LINEMOに加入して5分間定額通話が不要なら1年経過前に外しておくのを忘れないようにしたい。

そして、楽天モバイルも話題のプランとして表に載せている。大容量で安い、という点は共通だが、通話が無料などahamo、povo、LINEMOとはだいぶ違ったサービスになっている。これは後で説明したい。

“家族割”の恩恵が変わってくる可能性もある

複数回線をグループ化して請求して割り引く、いわゆる「家族割」についても注意がある。

単独で使っているなら何も気にしなくていいが、現在の家族割のサービスは回線数が多いと有利になる。ahamoもpovoもそのサービス自身の家族割としての料金割引はないが、メインブランドの通常プランの回線がグループ内にあれば回線数としてカウントされる。

例えば、現在ドコモで「ギガライト」の回線が3本あると、「ファミリー割引」を組むとそれぞれ月額1,000円、合計で3,000円が割引きされる。それが、1回線抜けてしまうと、残る2回線はそれぞれ500円の割引きになってしまい、合計で1,000円の割引きに減少する。しかし、ahamoについてはカウントだけはするように変更されたので、抜けた1回線がahamoならば、ほかの2回線については合計3回線分としてそれぞれ1,000円引きとなる。

ドコモのファミリー割引

これはahamoだけの措置でほかは違う。povoは2021年夏までに加入した回線に限って家族割のカウントを行ない、LINEMOは家族割もカウントもない。

割引きが少なくなるということは、自分が新プランに乗り換えて恩恵を受けても、ほかの家族の割引きが少なくなってしまい、家族からクレームが来る可能性もある。家族みんなで新プランに乗り換えてしまえば問題ないが、自分だけ安くしたいと契約を変更すると、思わぬ家庭内トラブルに発展することもある。十分に注意してほしい。

乗り換えられるかどうかをまず確認

新しいプランに乗り換えることに決めたならば、まず、乗り換えが本当にできるのかどうかを判断しておきたい。乗り換えを機会に新しい対応機種を用意するのなら問題は少ないが、スマートフォンはそのままでプランだけ変えるという場合だ。

たとえば、iPhone XRを使っている場合、3社と楽天モバイルのいずれも対応しているため、そのまま乗り換えができそうに思う。しかし、ドコモからahamoや、auからpovoならちょっと複雑な料金プランを変更をするような契約手続きだけですむが、ソフトバンクからLINEMOの場合はiPhone XRのSIMロックを解除した上で、新しく届くSIMに差し替えるかeSIMの読み込み作業を行なわないとならない。事業者をまたぐ乗換も同様で、何らかの理由でSIMロック解除ができなければLINEMOと事業者をまたいだahamo、povoには加入できない。

今回、povo、LINEMOについては事業者からスマートフォン販売がなく、ahamoも機種は数機種に限定。同じ事業者間の移行なら機種変更をしたあとで移行すればよいが、事業者をまたぐ場合で、安心のためその事業者が販売するスマートフォンで使いたいという場合は、かなり難しくなる。

使えなくなるサービスに注意。筆頭はキャリアメール

次に、乗り換えた場合に問題になるサービスもある。@docomo.ne.jpなどのキャリアメールは各サービスともに提供されない。キャリアメールには各事業者間のキャリアメールだけを受信するといった迷惑メール振り分け機能もあるため、一般のメールアドレスとは違う活用をしている人もいて、簡単には捨てられない人もいる。

また、ネットワーク側の留守番電話はahamo、povo、LINEMOのいずれも提供なし。スマートフォン本体の機能で代替する方法もあるが圏外や電源オフのときの対応はできない。そして、未成年者の契約についてもかなりハードルが高くなる。

話題になった問題として、キャリア決済のサービスを使ったコンテンツが強制解約されてしまう問題がある。ahamoとLINEMOがそうで、必要があって加入しているサービスの場合は、乗換前に別の決済手段へと変更する必要がある。

しかし、キャリア決済については問題はそれほど多くないと思われる。Google Play決済はahamoもそのまま対応するほか、強制解約となるドコモのspモード決済やソフトバンクまとめて支払いなどについては、過去に有料コンテンツを契約したままで、解約方法がわからずそのままになってる人なら、ahamoやLINEMOへの乗り換えできれいサッパリ一括解除ということもできる。


    【主な注意事項】
  • キャリアメールの必要性
  • 留守番電話
  • キャリア決済の利用状況

そのほかにも海外ローミングのサービスが変わることや、Apple Watchへの対応も変わってくる。ahamo、povo、LINEMOのWebサイトには新サービスでは利用できないサービスの一覧を表示して注意喚起している。契約時にも何度か注意が表示されるため、流さずに十分に確認しておきたい。

また、あまり言われてないことだが、事業者を超えて乗り換える場合のエリアの問題を忘れがちだ。ドコモ、au、ソフトバンクと現在拡大中の楽天モバイルがあるが、それぞれにエリアには得手不得手があり、場所によっては電波が弱く通信が不安定になることもある。見通しのよい屋外ならどれでもエリアは同じでも、自宅の奥の部屋や、ビルの奥などに差がある。乗り換えたあとに困らないようにこれも事前に確認しておきたい。

楽天モバイルの対応エリア

しがらみなく、シンプルで選びやすいサービス

従来プランからahamo、povo、LINEMOへの乗換の場合は、いくつかの付加サービスや優待サービスがなくなり、人によっては不便になることもある。しかし、見方を変えればシンプルで分かりやすい、と言うこともできる。

前述の家族割もそうだが、キャリアメールのメールアドレス、光ファイバーのセット割や、コンテンツ決済などは、結果的にその事業者に携帯電話回線だけでなく、周辺サービスまで縛られてしまう。たとえば光ファイバーとのセット割がなくてもトータルで安いサービスであれば問題はなく、光ファイバーのほうも関連を考えずにもっと自由に良いサービスを選ぶことができるかもしれない。

また、コンテンツ決済も同様だ。キャリア決済があれば支払いがまとめられて便利かもしれないが、何にいくら使っているかの把握が難しくなる。加入時に大幅値引きと引き換えに有料コンテンツに加入させられていて、ずっとそのままになっている人もいる。必要があって加入しているコンテンツなら問題ないが、そうでない場合もあるため、いっそのことコンテンツ決済がないほうがいい場合もあるはずだ。

つまり、不便と考える一方で、付属サービスがないからしがらみもなく、自由にサービスを組み合わせられると考えることもできそうだ。

そして、一度、ahamo、povo、LINEMOに乗り換えてしまえば、あとはもっと安いサービスが登場すれば、今回以上に簡単に乗換られるということでもある。

Rakuten UN-LIMITは、従来サービスに近いが格安なサービス

比較されがちなサービスに楽天モバイルのRakuten UN-LIMITがあるが、こちらも簡単に説明しておきたい。ahamo、povo、LINEMOとはだいぶ違うサービスで、むしろ従来サービスに近く、店舗での加入もできる。

楽天モバイルは、それまでMVNOの格安SIMだった楽天モバイルが、ネットワークを自前で構築するサービスに移行したもので2020年4月スタート。エリア整備も楽天が自ら行なっているため、全国津々浦々までサービスエリアにすることはすぐには無理なので、エリア外は当分の間は部分的に「パートナーエリア」としてauのネットワークも使うことができる。

特徴としては、通信したデータ量に応じて4段階の月額料金が決まり、1GBまでなら0円。どんなに使っても3,278円。20GBまでなら2,178円でahamo、povo、LINEMOよりも安くなる。通話は専用のRakuten Linkアプリで発着信することになるが、かけ放題という特徴がある。しかも、通信が1GB未満なら通話はかけ放題でありながら月額0円になる。

メリットばかりに思えるが問題はエリア。首都圏であっても楽天回線エリアにはならないところが多く、auのネットワークを使える場所も縮小中で完全に圏外になってしまうところも出てきている。日々、楽天回線エリアは拡大中なので、生活圏によっては問題なく使えるところあるが、ドコモ、au、ソフトバンクなみに使えるようになるにはまだ時間がかかる。

反対にメリットは料金面のほか、ahamo、povo、LINEMOがオンラインだけのサービスなのに対して、販売店を全国展開しているところ。繁華街やショッピングセンターにも店があり、店員と対面で相談しながら加入できるのはahamo、povo、LINEMOにないところだ。

20GBの容量が本当に必要なのかどうかも考えてほしい

最後に確認したいことは「20GB必要なのか」ということ。

2020年12月に消費者庁が示した「自分に合った携帯料金プランになっていますか?」という注意喚起のなかでは、月間20GB以上のデータ通信をしている利用者は10%程度としており、残る約9割は20GBも使っていないことになる。

ただ、9割の人に不要かというとそうでもなく、なかにはコストを抑えるために小容量プランで我慢している人もいて、安く大容量が使えるなら余裕をもって使いたい人もいるはず。そして、容量が多くなれば新しい楽しみ方を見つける可能性もある。だから、20GBで割安というプランには大きな価値がある。

しかし、自宅に固定回線があったり、新しい生活様式で外出も少なくなったりと、20GBは明らかに過剰という人もいる。

そこで、過剰と思うならahamo、povo、LINEMOを検討すると同時に、ワイモバイル、UQモバイル、MVNOの格安SIMなども比較検討することをおすすめしたい。特にワイモバイル、UQモバイルはそれぞれソフトバンク、auとほぼ同じお店で加入でき、特典も多い。適切な容量を選べばahamo、povo、LINEMOよりも低コストになることもあるからだ。