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iPhoneとマイナンバーカードで確定申告した【2021年版】

3月は確定申告のシーズン。通常であれば3月16日が締切ですが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響から、昨年と同様に4月16日まで締切延長されました。

また感染予防のため、申告書類の提出も「非接触」が推奨されています。つまり、e-Taxや郵送での提出が求められ、窓口の相談においても、LINEで事前予約や会場で配布する入場整理券の取得が必要となります。

さらに、今年は、青色申告特別控除の65万円の控除のために、「e-Taxによる電子申告」、「電子帳簿保存」が必須となるなど、e-Taxを優遇する施策が行なわれてます。

国税庁による確定申告特集ページも毎年強化されており、今年2021年は、スマートフォンでのe-Tax操作の簡略化や、マイナポータルからの控除証明書等取得、PCの対応ブラウザ拡充などが行なわれました。

国税庁 確定申告特集ページ

確定申告がスタート。今年はスマホのe-Tax簡易化やブラウザ拡充

昨年(2020年)は、マイナンバーカードとスマートフォンによるe-Tax申告に初対応しましたが、複数のアプリを組み合わせることもあり、なかなか操作に戸惑いました。しかし、今年はアプリは一つとなり、操作も簡略化されたようです。

iPhoneとマイナンバーカードで確定申告した。難しい(2020年)

また、昨年は特別定額給付金やマイナポイントなど、コロナ禍の行政サービスのデジタル化においてマイナンバーカードを使うシーンが急拡大。マイナンバーカードの発行枚数も増え、マイナポータルの利用者も増えていると思われます。

2021年版のスマホ+マイナンバーカード確定申告をiPhoneを使って試しました。

マイナンバーカードでe-Tax。「マイナポータルAP」だけでOK

スマートフォンを使った確定申告は、「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」があります。

ID・パスワード方式は比較的かんたんですが、「IDとパスワードを、税務署に取りに行く」という手間が発生します。不要不急の外出を避けたい昨今、なかなか面倒な条件です。また、ID・パスワード方式は暫定措置で、将来的にはマイナンバーカード方式への集約が予定されています。マイナンバーカードを持っている人はマイナンバーカード方式を使ったほうが良いかと思います。

マイナンバーカードを使ったe-Tax確定申告に必要なのは、対応のスマートフォン、マイナンバーカードとパスワード、申請用の書類等。あとは、アプリをダウンロードするだけです。今回はiPhone 12 Proを使った確定申告を試しました。なお、対応のスマートフォンについてはiPhone/Androidの多くの機種で、確定申告特集のページでリストで紹介されています。

iPhoneでのマイナンバーカード方式の確定申告は、昨年までは「e-Taxアプリ」、「マイナポータルAP」の2つのアプリを使う必要がありましたが、今年は「マイナポータルAP」だけでOKとのこと。

確定申告書の作成・e-Tax提出には、「国税庁 確定申告書等作成コーナー」を利用します。

なお、iPhone(iOS14)でマイナンバーカード方式で申請する場合、ブラウザはSafariにする必要があります。Chromeの場合、マイナンバーカード読み取り時にChromeでマイナポータルAPが起動してしまい、推奨環境外となります。

また、ブラウザのタブはなるべく全て閉じてから始めましょう。というのも、マイナンバーをかざしてマイナポータルAPを使った後、再びSafari(確定申告書等作成コーナー)に戻るときに、戻るタブがわかりにくくなるためです。

確定申告書等作成コーナーでは、まず[作成開始]から[e-Tax(マイナンバーカード方式)]を選択。マイナポータルAPをインストールして、マイナンバーカードをスマホで読み取り、4桁のパスワードを入力します。

初めてのe-Tax利用の場合は、マイナンバーカードを読み取って情報の確認や利用者情報の登録、提出先税務署の確認などを行ないます。

【参考】スマートフォンで初めてマイナンバーカード方式を利用する場合の画面の流れ

既にマイナンバーカード方式の利用手続を行なっている場合は、マイナンバーカードを読み取り、登録情報の確認画面をチェックするだけです。筆者は、昨年もiPhoneでマイナンバーカード方式のe-Tax申請をしているため、登録情報を確認するだけで、申告書類作成画面に進めました。

次いで、「マイナポータル連携」という画面がでて、マイナポータルから証明書等のデータを取得できることになっているのですが、ここはうまく動作しませんでした。

マイナポータルとは、行政手続の検索やオンライン申請をワンストップで行なうためのポータルサイトです。このマイナポータル連携を使うことで、生命保険料控除証明書や特定口座年間取引報告書などの情報、住宅借入金等特別控除証明書などを、マイナポータルから取得し、確定申告でも活用できるとのこと。筆者の場合は年末調整済みで、仮にデータ取得できても申告の必要は無いはずなので、今回は利用を見送りました。

申告書を作成。署名して申請

利用者情報と提出先の確認後は、申告書の作成です。確定申告書等作成コーナーでは、申請方式(e-Tax等)を選び、登録情報の入力・確認が終われば、確定申告書の作成がスタートします。

ここでは、確定申告に関する細かいことは省略します。収入・取得金額の入力や、医療費控除、社会保険料など必要なものを入力していきます。筆者の場合は、会社で年末調整済みのため、源泉徴収票を見ながらの転記(入力)と、「ふるさと納税」の寄付金控除程度なので、すぐに計算結果がでてきました。

【参考】スマートフォン専用画面での申告書入力

申告書作成後の主な流れは以下の通り。

  1. 作成した申告書に電子署名を行なう
  2. 証明書を読み取り、e-Taxにログインする
  3. 電子署名を行なった申告書データを送信する
  4. 受付結果を確認する
  5. 送信票兼送付書を確認する

計算結果を確認し、本人情報と12桁の「マイナンバー」を入力すると、「署名付与]となります。

署名付与では、6文字以上16文字以内の署名用電子証明書のパスワードが必要になります。ここだけ4桁(利用者証明用電子証明書)のパスワードではないので注意しましょう。パスワードを5回連続で間違えるとロックされてしまい、市区町村窓口でパスワード初期化をする必要があります。

署名付与
6文字~16文字の「署名用電子証明書」パスワードを利用

署名付与により、確定申告書データへの署名が完了。次いで、e-Taxにログインするためにスマホをマイナンバーカードにかざし、利用者証明用電子証明書の4桁のパスワードを入力、Safariから確定申告書等作成コーナーの[電子申告等データの送信]から[送信]をタップで送信が完了。これでe-Taxが行なれます。

あとは受付通知を確認し、印刷(PDFダウンロード)で申請内容を保存できます。また、申請後は、マイナポータルから申請の状況が確認できます。

基本的に「確定申告書等作成コーナー」の指示に従い、時折マイナンバーカードをかざしてパスワードを入力するだけで申請が完了します。マイナポータルAP連携時に[Safariに戻ってください]と表示されるなど、少しわかりにくい部分もありますが、昨年よりはかなり改善されたと感じます。

また、2020年は、特別定額給付金やマイナポイントの申請など、マイナンバーカードやマイナポータルを使う機会が増えてきました。使う側が「慣れてきた」という側面も大きいかもしれません。

自宅からe-Taxをはじめよう(令和3年1月版)

「デジタルで便利」に近づいてきた?

今回マイナポータル連携でのデータ取得は試せませんでしたが、令和3年(2022年)は医療費関係やふるさと納税、地震保険控除申請の自動取得に対応予定とのこと。さらに2023年以降は社会保険や源泉徴収票の自動取得などにも対応予定で、マイナポータルを中心とし、様々なデータが取得可能になります。

将来的には、データがマイナポータルに集約され、金額と内容を確認するだけで「申請」できるといった形になるかもしれません。まだ先は長そうですが、確定申告のデジタル化やマイナンバーカードの活用により、便利になる未来が徐々に見えてきたように感じます。

マイナンバーカード方式のiPhone確定申告は、昨年との比較ではかなりわかりやすくなりました。まだ“慣れ”が必要ですが、年々良くなっていることを実感できるのは頼もしい限りです。