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スマホで確定申告に挑む。ID・パスワードがあればカンタン

2月18日、2019年も確定申告シーズンが始まった。3月まで、個人事業者や副業などで、申告が必要な人はちょっと憂鬱な時期といえるかもしれないが、今年の確定申告の一大トピックといえるのが、「スマホ対応」だ。

国税庁の確定申告書等作成コーナーがリニューアルされ、スマートフォンやタブレットだけで、所得税の確定申告書の作成ができるようになった。作成画面もスマホに最適化したデザインになつている。

パソコンか等から確定申告を行なう「e-TAX」は、これまでも実施されていた。ただし、従来のe-TAXは、PCのほか、マイナンバーカードやICカードリーダライターなどが必要だった。この「マイナンバー方式」では、利用のための投資などが必要だった。

しかし、2019年からは「ID・パスワード方式」という新方式を導入。カードリーダーなどが不要で、スマホだけでも申告ができるようになった。

ただし、スマホ申告ができる人は限定される。まず、副業などで「給与以外に申請する収入がある人」は、スマホ申告は不可。基本的に、給与以外に申告する収入が無い人で、「医療費控除」やふるさと納税等の「寄付金控除」の単純な申告内容のみに限定されている。

毎年確定申告を行なっている人からすると「全然足りない」となるだろうが、会社員(給与所得者)で、時々、医療費控除のために確定申告を行なっている筆者にとっては、ちょうどよさそうだ。初年度となる「スマホで確定申告」を試してみた。

提出先の税務署以外でもID・パスワードを取得できる

スマホで確定申告に必要になるのは、スマホとID・パスワード、源泉徴収票、マイナンバーカードもしくは通知カード。ふるさと納税の場合は、自治体から送られる「寄付金受領証明書」も必要だ。

新たなID・パスワード方式の注意点は、「IDとパスワードを、税務署に取りに行く必要がある」ということだ。これは税務署で職員による本人確認が必要だからだという。

正直面倒だし、個人的には提出先の税務署が自宅から遠く、交通の便も悪いため辟易としていた……。

しかし、スマホで申告のパンフレットを見てたところ、 「勤務先のお近くの税務署でも発行できます。」 という文字が……。

提出先の税務署以外でも、IDとパスワードが取得できる!

幸いにして、弊社から最寄りの神田税務署まで、Googleマップで約9分。早速IDとパスワードを取得しにいくことに。

神田税務署が入っているビル

必要なのは、免許証など住所が確認できる本人確認書類だけ。税務署員の確認後、端末を操作して、ものの5分ほどで利用者識別番号やパスワードを取得できた(2月13日時点)。

ID・パスワード方式の届出完了通知(イメージ)

わりと簡単に申告完了

ID・パスワードの準備について言及したが、それ以前に実は、筆者が平成30年に支払った医療費は控除対象の10万円に届いていない。スマホで確定申告を試すために、12月下旬に「ふるさと納税」を行なっておいた。ちなみにふるさと納税では、寄付先を5自治体以内として、ワンストップ特例制度を使えば、本来確定申告は必要ない。しかし、今回は確定申告をすることが目的なのだ。

ID・パスワードと、源泉徴収票などの書類を用意し、スマホで国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセス。あとは表示に従って、源泉徴収票の情報等を入力していくだけだ。

確定申告書等作成コーナー

といっても、入力項目はかなり多いので、全部書類が揃っていても15分ほどかかるだろう。筆者の場合は、受領証明書や源泉徴収票を探す時間のほうが長かったが、40分程度で入力終了した。入力に使ったのは、iPhone Xsだけだ(源泉徴収票をダウンロードするためにパソコンを使ったが……)。

設問に従って入力していく

送信した申告書は、PDFで保存できる。また、提出方法を「書面」とし、保存した申告書データをプリントして、郵送で提出することも可能。入力と送信を終え、筆者初のスマホ確定申告は完了したようだ。

現状、医療費控除とふるさと納税等の寄付金控除程度の対応ではあるが、対象となる給与所得者としては確かに少し楽になった実感がある。今後も、スマホでできることを拡大していくことを期待したい。

ほぼ医療費控除と寄付金控除専用のようだ

なお、パンフレット等には、「国税庁ではマイナンバーカード方式を推奨しています。」とか、「ID・パスワード方式は、暫定的な対応であるため、お早めにマイナンバーカードの取得をお願いします」と記されており、カードリーダーを使った「マイナンバー方式」をやたらと推している。将来的にマイナンバー方式に集約されるにしても、利用者の使いやすさに配慮したものに進化してほしいものだ。