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いまどきフィルムは現像ついでにデータ化できる

現像されたネガと、データが書かれたCD、それとインデックスプリント。コマ数によらず1本あたり1,342円です

写真の主流がフィルムからデジタルになって、10年以上が経ちました。しかし、フィルムで写真が撮れないかといえば、そんなことはありません。フィルムは売られていますし、フィルムの現像を扱っている店も少なくなりましたがあります。近年では、むしろ若い人が、デジタルと違った風合いを好んでフィルムカメラを楽しんでいることもあるようです。そのせいか、一部の中古フィルムカメラの値段は高騰しているくらいです。もちろん、デジタルで撮って、画像処理でフィルムで撮ったものに似せることはできますし、DxO Film Packのように専用のソフトもあります。しかし、やっぱりフィルムで撮れるならフィルムを使った方が楽しいものです。

いまどきは現像+データ化

フィルムにはいくつか種類がありますが、最も広く使われているのはカラーネガフィルムでしょう。以前であれば、写真店(DPE店)でフィルムを現像するのと合わせてプリント(同時プリント)するのが普通でした。ただし、今という時代であれば、やはりデジタル化したいものです。同時プリントをしてスキャナーで取り込んでもいいのでしょうが、現像と同時にデジタル化してもらうのが手軽です。

筆者がよく使うのは、カメラのキタムラですが、プリントはせずに、現像とCDへの書き込みだけで依頼しています。現像代の税込792円と、フジカラーCDの税込550円で、合計1,342円です。ちょっと前までまで現像代は660円で、値上がりしてしまったのは残念ですが、それでも昔同時プリントで出していたころと同程度の価格で済みます。お店で現像からデータ化まで行なうので、短ければ30分で、混んでいてもほぼその日に受け取れます。

近所(といっても車で行かなければいけない距離)のカメラのキタムラ。店頭では「現像とデータCD」だけでプリントは不要と伝えます。ただしお店で処理されるのは35mm判のカラーネガフィルムのみで、それ以外は外注になるので時間がかかります。キタムラに限らず、近所のDPE店やネットやっている店を探してもいいと思います

どんなフィルムを使うかにもよりますが、安売りされていることが多いKodak UltraMAX400(36枚撮り)なら合わせて1本あたり2,000円くらいで済みます。もちろん、デジタルであれば、かからないお金ですが、現実的な価格と言えるのではないでしょうか。

KodakのPORTRA 400や富士フイルムの400Hといったいわゆるプロネガだと1本1,500円くらいするのでちょっと気合が入りますが、それでも1本あたり合計3,000円くらいで済みます。もちろん写ルンですのようなレンズ付きフィルムでも同様にデータ化できます。なお、プリントも欲しいという場合は、別途料金(L版で1枚40円)がかかるので、用途によって選んだり、データを見てから必要なものだけプリントしてもいいでしょう。データもいいのですが、自分が写っている写真をプリントでもらうと、ちょっと嬉しいものです。

スマートフォンでダウンロードできるサービスもアリ

550円のフジカラーCDでは、専用のソフトが入っておりそれをセットアップして閲覧できるのですが、写真はDCIMフォルダに入っているので、ほとんどの人はそれをコピーすれば十分でしょう。ただし、写真の解像度はそれほど高くはありません。受け取ったJPEGデータを見てみると1,840×1,232ドットなので、単純な比較はできないもののデジタルカメラでいえば226万画素といったところです。ファイルサイズも350~800KBと、それほど大きくありません。SNSにアップしたり友達にメールで送ったりする用途では十分といえます。なによりフィルムらしさもしっかり味わえます。

CDに入っているSETUP.EXEで、フジカラーイメージビューアーがインストールできます。写真を閲覧するソフトです。このアプリでは、CD内のPICTURESフォルダに保存されている写真を見ているようです。ただし、パソコンで扱うなら、フィルムごとにフォルダ分けされているDCIMフォルダを使った方がよいでしょう。写真の中身は基本的に同じです

CD化ではなく、クラウドを使った「スマホ転送サービス」もあります。こちらは現像と同時であれば、880円(税込)になります。パソコンでCDが読み込めないという人はこちらを選んでもよいでしょう。SMSで送られてくるURLを開き、仕上がり明細書に書かれているパスワードを入力すると、データ化した写真が見られます。ただ、一点ずつダウンロードしなければならないのは不便です。以前はQRコードが書かれた紙を渡され、それでアクセス、一件ずつもしくは、まとめて全部(ZIP圧縮)でまとめてダウンロードできたと思うのですが、今回この記事作成のため試してみたところ、より使いづらくなっていて残念でした。

スマホ転送サービスでは、SMSでURLが送られ来て、ネガの入った袋に貼られている仕上がり明細に書かれている番号を入力するとログインでき、ブラウザで閲覧/ダウンロードできます。ダウンロード期限は1週間のようなので、早めに落としましょう

画質はCDでもスマホ転送でも変わらないので、筆者は普段CDにしていますが、パソコンで光学メディアが読めないという人はスマホ転送にしつつ、URLをパソコン側に送り、パソコンでダウンロードしてもよいでしょう。

自分でデータ化するにしても最初からあると便利

渡されるデータは、色補正されています。おそらくほぼ機械による自動補正だと思いますが、自分でスキャン/レタッチでするのとは方向が違ったり、再現が難しかったりして面白いものです。あまり考えずに撮ったはずの写真も、フィルムの色調が加味されるせいか、自分でもなにか意思を持って撮ったような気がしてくるのも不思議です。

写真家の福田健太郎さん。ニコン 28Ti。フィルムはKODAK ULTRAMAX400
水田。BESSA-R・COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 MC。フィルムはKODAK ULTRAMAX400
歩道から駐車場。LEICA M7・LEICA SUMMICRON 35mm F2。フィルムはKODAK ULTRAMAX400

カメラのキタムラでは、これ以上の解像度での取り込みや、リバーサルフィルムや中判の120フィルムなどは、別途料金がかかります。もちろん依頼してもいいのですが、筆者の場合より高解像度が欲しいときは、現像時にデータ化してもらったものを手掛かりに、フィルムスキャナーを使って自分で取り込んでいます。カラーネガは、パッと見ではどのコマに何が写っているのか分かりづらいのですが、データの方を拡大して見てセレクトできますし、色合いなどを決めるとき参考になります。すべてのコマを自分でデータ化するのは、ホコリの除去などを考えると正直手間ですし、ちょっとした用途としては十分ではないでしょうか。

なお、データ化したらフィルムは要らないという人もいるようですが、それも記録ですし、大きく引き伸ばすなら自分でデジタル化してインクジェットプリンターなどで出力するよりも、ネガフィルムからプリントを依頼した方が画質面でも良好なので、残しておきたいものです。

データ化できるのは、カメラのキタムラに限った話ではなく、チェーン店ではパレットプラザ&55ステーションでもできますし、多くのDPE店で対応しています。近所のDPE店があるなら相談してみてもいいでしょう。また、ネットで依頼、フィルムを送ると現像しデータ化され、送られくるサービスをしているところもあります。より高解像度だったりモノクロ/リバーサルでも安価に提供しているところもあるようです。お店が現像機を維持し続けるための一番の方法は、フィルムを現像し続けることでもあります。それを支えるという大仰な話ではありませんが、使えるうちにフィルムを楽しまないのはちょっともったいないと思ってしまいます。

データ化することで、今の時代でも扱いやすくなります。フィルムカメラが手元にあるなら、再び使ってみてはいかがでしょう。