ミニレビュー

ハードウェアでマイクオン/オフ ヘッドセットの新提案「ATOM AIMic Pro」

格安ネットワークカメラに始まり、今や特定原付まで手がけているアトムテックから、ユニークなBluetoothヘッドセット「ATOM AIMic Pro」が登場します。

脱着が簡単なブームマイクと、強力なノイズキャンセリングマイクが特徴で、4月21日からMakuakeで予約が始まったところです。製品版に近いテスト機をお借りすることができたので、試してみました。

ノイズが相手の迷惑になっているのは、自分では気付けない

Web会議しているとき、周囲のノイズが相手側にどれだけ届いているのかは自分では気付けないものです。

テレワーク中の自宅だと、不意に家族がドタドタと走り回ったり、近所で工事がいきなり始まったり。外出中に急きょ参加しなければならず、人通りのある騒々しい場所でやり取りしなければならない時もあるでしょう。もしかするとそれらの音は全部筒抜けで、肝心の自分の声が聞き取りにくく、相手にストレスを強いている可能性もあります。

コロナ禍を経て、自分がしゃべっていない間は余計なノイズが入り込まないようマイクをミュートする“マナー”みたいなものが自然と広がってきました。が、自分が話す番になれば結局ノイズが入り込む可能性があります。初めに書いた通り「自分では気付けない」だけに、こうしたノイズにまつわる問題は解決が難しいものです。

ミュートの状態は画面に表示されますが、今の状態がどうなっているのか分かりにくいことも

また、そもそもミュートし忘れることもあれば、ミュートの解除をし忘れることもよくあります。相手がミュート解除し忘れたまま調子良く語っているらしいのを遮って、ためらいがちに「○○さん、もしかしたらミュートになってませんか?」と、聞き手側が気を使って指摘することになりますし、相手も同じことをまた初めから話さなければならないので、お互いにフラストレーションが溜まってしまうものです。

簡単に着脱できるブームマイクでミュート問題を解決

「ATOM AIMic Pro」は、そうしたWeb会議でのストレスをなくしてくれそうなBluetoothヘッドセットです。ポイントの1つは、容易に脱着が可能なブームマイクを備えていること。

ATOM AIMic Pro
ちなみに左耳側にある2つのボタンで電源オンオフ、ペアリング、音量調整、楽曲スキップなどが可能

耳に掛けて使うスタイルで、音が聞こえるスピーカーユニット部分は耳穴に挿入しないオープンタイプ。骨伝導ヘッドフォンに似た雰囲気ですが、あくまでも耳穴近くに来るスピーカーユニットから音が出ます。

左耳側のスピーカーユニットには端子が見え、そこに付属のブームマイクを装着できるようになっています。このブームマイク、面白いことにイヤフォン本体とはマグネットで固定する仕組みなので、脱着は実に簡単です。

付属のブームマイク
左耳側に端子があり、ここにブームマイクを装着する
マグネットでくっつく仕組み

ブームマイク付きのヘッドセットは他にもたくさんありますし、ブームマイクを取り外したり、使っていない間は目立たないように回転して収納できたりする機構を備えたものもあります。が、近づけるだけでカチッと装着され、使わないときは力を入れることなくサクッと外せる、このようなマグネットを利用したものは珍しいのではないでしょうか。

正しい向きにしていないとうまくくっつかないので、誤った付け方をしてしまうこともありません。そして、ブームマイクを取り付けている状態はもちろんマイクとして機能しますが、取り外した瞬間にマイク機能をミュートにできるのがなかなかに便利です(マイクがなくなるので当たり前ではありますが)。

これまでWeb会議で自分のマイクのミュートをオンオフするときは、パソコンだとWeb会議ツールのミュートボタンをクリックするか、キーボードのショートカットキーを押していたと思います。ただ、ミュート状態がどうなっているか分かりにくいこともあって、先ほどの例のようにミュートし忘れたり、ミュートしていたことを忘れて話し始めてしまいがちです。

耳に掛けたところ
すぐに慣れて、簡単に脱着できる

一方、ブームマイクを物理的に脱着することでミュートのオンオフができるATOM AIMic Proの場合、その脱着のワンアクションが必要になるためにミュート状態を自覚しやすくなります。しかも、外したり、付けたりという作業はマグネットのおかげで手間ではありません。

筆者は最初の1、2回は取り付けが手探りになったものの、近づけるだけでくっつくこともあってすぐに慣れ、スムーズに扱えるようになりました。必要に応じて素早く脱着でき、同時にミュートのオンオフが切り替わるブームマイクは、ミュート絡みで失敗することの多い人には決定的なソリューションになりそうです。

ノイズキャンセリングマイクで周囲のノイズを効果的に除去

ATOM AIMic Proのもう1つの特徴は、マイクが強力なノイズキャンセリング機能を備えていること。参考までにキーボードのタイプ中と、電車通過時の音声の聞こえ方をテストしてみました。

ATOM AIMic Proの音声テスト(Web会議ツールはGoogle Meetを使用、ノイズ低減機能はオフ)

室内でWeb会議するときを想定し、パソコンのキーボードを叩きながらしゃべってみた例では、ATOM AIMic Proだと打鍵音がほぼ聞こえないことが分かると思います。また、間近で電車が通過している例では、実際にはかなりひどい騒音ではあるのですが、ほぼ音声のみを拾えています。

とはいえ、電車の例のように極端に大きなノイズ源が近くにあると、オープンタイプイヤフォンということもあって反対に相手の声が聞き取りにくくなる点には注意が必要です。

ノイズキャンセリング機能はあくまでもマイクに対するもので、スピーカー側にノイズ低減する機能はありません。相手の声をしっかり聞き取りたいタイミングでは、やはり騒音の少ない環境に移動した方が良いでしょう。もしくは、Web会議ツールが備えるリアルタイムの字幕表示機能を活用するのも手です。

普段使いや屋外アクティビティ時のイヤフォンとしても活躍

いかに相手に声を届けやすくするか、というところにフォーカスしたATOM AIMic Proではありますが、マイクを使っていないときはシンプルな耳掛けタイプのBluetoothイヤフォンとしても使えます。Bluetoothのバージョン5.4で、プロファイルはA2DP/AVCTP/AVRCP/HFP/SPPなどに、コーデックはAACとSBCにそれぞれ対応します。

なので、普段の音楽鑑賞用にするのももちろんアリ。ただ、音質としては低音が若干物足りないかもしれません。代わりに中・高音域はクリアで、クラシックあたりを聞き流すのにはもってこい。Web会議向けということもあって、人の声がメインのラジオにも向いています。

さらに、オープンタイプという特徴を活かして屋外でのウォーキングやランニングのお供にするのもOKです。IPX4の防水性能を備えているので軽い雨程度なら当たっても問題ありません。

専用ケーブルで充電する仕組みで、防水に配慮

製品版と完全に同じではない可能性があるため、参考までに、ということになるものの、実測してみたところでは22g(ブームマイク装着時は25g)と耳掛け型のわりには軽量で、実際の装着感としても軽やかです。満充電からの使用時間が約6時間で、若干短めにも感じるかもしれませんが、Web会議向けや日常用途として考えれば十分でしょう。

イヤフォン単体だと22gと軽量
ブームマイク装着時は25g
専用ケースが付属(製品版とはデザインが異なることがあります)

応援購入サイトのMakuakeでスタートした先行販売では、ATOM AIMic Proを1つ入手できるプランが16,800円から。その後の一般販売価格は30,000円を予定しています。Web会議する機会の多い人は早めにMakuakeで購入しておいた方がおトクです。

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターとして執筆・編集業を営む。AV機器、モバイル機器、IoT機器のほか、オンラインサービス、エンタープライズ向けソリューション、オートバイを含むオートモーティブ分野から旅行まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「できるGoProスタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS+Androidアプリ 完全大事典」シリーズ(技術評論社)など。Footprint Technologies株式会社 代表取締役。