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「田の字」からの脱却 大和ハウス、生活空間を物で満たすリノベマンション

リビング・ダイニング

大和ハウスグループのコスモスイニシアは、既存マンションの空間やインテリアを再編集したリノベーションプロジェクトとして、世田谷のマンションの一室を、生活空間を好きな「もの」で満たすことを前提にリノベーションした。

コスモスイニシアの自社ブランド「INITIA&Renovation」と、スマイルズが展開する「PASS THE BATON」の共同プロデュース。東急世田谷線 世田谷駅徒歩3分のマンション「コスモ世田谷」の一室で、11月12日に竣工した。

空間設計のコンセプトは、「ものが好きな、物好きのための理想の家」。工芸、アート、人形、本、器、植物など、住まう人が自分の好きな「もの」で、生活空間を満たすことを前提に空間をプロデュースした。アンティークの什器を埋め込んだ飾り棚を家の中心的存在とし、見せる収納と見せない収納の構成や、ものに囲まれながらも体感の広さを残した空間に仕上げたとしている。

リビングに設置した壁一面に広がる飾り棚には、もともとの窓を活かしつつ、ヨーロッパのアンティーク什器を埋め込んでいる。また、多治見のデッドストックタイルを使った窓台を設けるなど、ひとつの空間に多層的な表情を持たせたという。

リビング

窓台は、読書やアートのスペースとしても、グリーンを育てるスペースとしても使える設計。ベンチや棚として使う可能性も秘めているとし、使い手に使い方を委ねることで、長く住まうことを前提とした可変性を図っている。

多治見のデッドストックタイルをつかった窓台

キッチンはやわらかな曲線を活かし、ダイニングに向かう形でカウンターを設けている。キッチンの床をリビングよりも下げた、料理をする人とテーブルに座る人の視線が自然に交わされる構成。ダイニングにはS字型の段差を配置し、壁を造ることなく、ゆるやかに空間を仕切っている。

キッチン・ダイニング

「扉を閉じるのではなく開き、空間を仕切るのではなくつなげる」という考えのもと、各所の開き戸を引き戸に置き換えた。これにより空間のロスを減らし、広がりを作っている。リビングと隣接するベッドルームもガラスの引き戸にして、採光を活かしつつ空間を仕切っている。

洋室

コスモ世田谷の所在地は東京都世田谷区世田谷4丁目。同物件の間取りは2LDK、専有面積は76.25m2。販売価格は1億980万円(12月3日時点)。

間取り図

1960年代の団地に端を発した日本の集合住宅は、合理性や効率性が優先される設計が中心となってきた。一例として、「田の字」型の間取りや、閉じた玄関 、動線を分断する開き戸などのフォーマットが受け継がれてきた。今回のPASS THE BATONは、当たり前となっていたフォーマットや建材を見直し、間取りを「より自由に曖昧に」することで、「住まい方の選択肢を増やす試み」(コスモスイニシア)としている。