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JAL、ボーイング787-9で大気観測 上空のCO2濃度や同位体比
2025年12月3日 17:37
日本航空(JAL)、気象庁気象研究所、国立環境研究所など5者は、「航空機による大気観測プロジェクト CONTRAIL」として、12月4日からボーイング787-9型機による大気観測を開始する。
CONTRAILプロジェクトは、民間航空機を活用して上空の温室効果ガス(主にCO2)の濃度や同位体比を広範囲かつ高頻度で観測し、地球規模の炭素循環や気候変動メカニズムの解明を目指す共同研究プロジェクト。JAL、JAL財団、気象庁気象研究所、国立環境研究所、ジャムコが参画している。
同プロジェクトは、世界初の試みとなる民間航空機による上空のCO2濃度の継続観測を、これまでにJALのボーイング747-400型機やボーイング777-200ER型、300ER型で実施。航空機にCO2濃度連続測定装置(CME)と自動大気サンプリング装置(ASE)を搭載し、25年4月までに世界84空港、延べ約22,000フライトで30,000件以上の大気データを取得してきた。
CO2だけでなく、上空の大気を持ち帰り分析することによって、CO2以外のメタンや亜酸化窒素など他の温室効果ガス成分も観測しており、収集されたデータは国内外の研究者から高く評価され、世界中の研究に役立てられているという。
JALの主力機として運航していたボーイング777型機が順次退役を迎えているため大気観測の範囲や頻度が減少していたが、次世代機である787-9型機へ搭載するCMEとASEの開発とその機体改修が完了。25年度中にはさらに4機の改修も予定しており、観測体制が強化される。
運航路線は主に東京(成田)と米国・ドイツ・マレーシアなどを結ぶ路線。787-9型機が運航しているインドや赤道域での観測再開や中東での、初めての観測も期待されているという。大気観測を行なう機体には、CONTRAILのロゴが施されている。初便は12月4日のJL407(成田-フランクフルト)。



