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「マイナ救急」開始 救急搬送時の迅速対応につなげる
2025年10月1日 14:07
119番通報時の傷病者のマイナ保険証を活用する「マイナ救急」が、10月1日に全国で開始されました。消防庁は「もしもの時に備えてマイナンバーカードを持ち歩きましょう」と呼びかけています。
マイナ救急は、救急隊員が傷病者のマイナ保険証を活用して、過去に受診した病院や処方された薬などの医療情報を閲覧して把握するものです。搬送する病院の決定や救急車内での応急処置、病院到着後の迅速な治療開始などにつなげます。
マイナ救急を活用するには、傷病者がマイナ保険証の利用登録を完了し、かつ搬送時にマイナンバーカードを所持している必要があります。そのため、マイナンバーカードを持ち歩くよう呼び掛けているのです。
救急現場では、マイナンバーカードを救急隊へ渡し、救急隊が医療情報を閲覧することについて口頭で同意することで対応可能となります。傷病者が意識不明で同意取得が困難な場合は、傷病者の生命や身体を保護する必要があれば、同意なしに医療情報を閲覧することがあります。マイナ救急の実施にあたっては、救急隊員が傷病者の顔と券面上の写真を確認し、本人確認を行なうため、マイナンバーカードの暗証番号の入力は原則不要です。
一般的な救急搬送では、救急隊員が傷病者本人や家族から、名前や生年月日等の基本的な情報、かかりつけの病院やこれまで服用している薬などの聞き取りを行ないます。ただ、病気や怪我で苦しむ本人や、気が動転している家族から、これらの情報を正確に聞き出すことが困難なケースもあるといいます。
マイナ救急により、本人や家族の負担を軽くするとともに、傷病者がより適切な処置を受けられるようになるとしています。また、意識のない傷病者に付き添う家族などが傷病者の正確な受診歴や薬剤情報を把握していなくても、情報伝達できるというメリットがあります。
マイナ救急の流れはまず、119番通報時に指令員が通報者に傷病者のマイナ保険証の準備を依頼します。搬送時には救急隊員が、マイナ保険証を使った医療情報の閲覧について、傷病者本人に同意を求めます。あわせて救急隊員が傷病者の顔とマイナ保険証の写真を見て本人確認を行ないます。
その後、救急隊員がマイナ保険証を専用のカードリーダーで読み取り、傷病者の過去の受診歴や薬剤情報などの医療情報を閲覧して、その情報を円滑な搬送先医療機関の選定や処置などに活用します。
マイナ保険証で参照可能な主な情報は以下の通りです。
- 過去の受診歴(5年分)
- 過去の電子処方箋情報(100日分)
- 過去の薬剤情報(5年分)
- 過去の手術情報(5年分)
- 過去の診療情報(5年分)
- 過去の特定健診の情報(5回分)
マイナ救急は全国開始前に、実証実験が行なわれました。政府広報オンラインでは、実証実験の中で、心肺停止状態で救急搬送された60代男性の脳梗塞、高血圧、大動脈疾患の受診歴や薬剤情報などをマイナ救急で確認して早期に緊急手術を行なうことができたという事例などを紹介しています。



