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日本のキャッシュレス比率 本当は54%? 経産省が新方針

経済産業省は20日、「キャッシュレスの将来像に関する検討会」の取りまとめを発表した。2021年のキャッシュレス決済比率は32.5%だが、日常生活において「7~8割程度以上キャッシュレスを利用する」と回答した人が54%を占めるなど、消費者の中にキャッシュレスが浸透していることがわかったという。

政府が2018年4月に策定した「キャッシュレス・ビジョン」では、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げている。検討会では、消費者への実態調査により日本のキャッシュレス化の現状を確認し、キャッシュレス化の社会的意義やキャッシュレスの将来像、目標とすべき新たな指標などについて検討した。

2021年の日本のキャッシュレス決済比率は32.5%。「4割」という目標には届いておらず、主要各国では40%~60%台にも見劣りする。一方、実態調査では、日常生活において「7~8割程度以上キャッシュレスを利用する」人が全体の54%と、キャッシュレスが広く浸透していることがわかったという。

月々の支出金額に占めるキャッシュレス決済の割合は47%。さらに、現在キャッシュレス比率に含まれていない、銀行の「口座振込/口座振替」を含めるとキャッシュレス決済の割合は67%となるという。業種別では、百貨店、家電量販、ホテル/航空券はクレジットカードが50%以上で、コンビニではコード決済中心、電車賃は電子マネー中心となるなど、用途によってキャッシュレス比率には違いが出ている。

取りまとめでは、「使えるイメージが低い業種」での利用拡大が重要としており、病院や理美容院、飲食(個人店)などに課題があるとする。また、1,000円以下の低単価の現金比率が高いこともわかっている。

調査の結果などを反映し、今後「より消費者実感に即した新指標を算出・公表」していく。新指標では、これまで対象外となっていた「口座振替」を原則として算入するほか、プリペイドカードや電子マネーの交通利用分など、集計に入れられていなかった部分も加える方向。この新指標を適用した場合、2021年のキャッシュレス比率は約54%と概算されるという。

現状で取得可能なデータは取込みを検討。追加集計すべきものは継続して協議
新指標の算定式

また、具体的・定量的な指標だけでなく、象徴的な目標として「決済のフルデジタル化」を設定。今後、「誰もが現金を持ち歩かずに、生活が完結する社会」を目指した検討を進める。