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KDDI、スマホから確認できる法人向けの監視カメラ統合・解析サービス

KDDIは、監視カメラの映像をクラウド上で管理できるようにする法人向けの映像統合管理サービス「KDDI Video Management Service」を11月28日より提供する。秘匿性の高い監視カメラ映像に場所やデバイスを問わずアクセスできるようになるほか、AI映像解析と組み合わせた防犯や点検の自動化などのDXも支援していく。

企業の倉庫や工場では監視カメラシステムのクラウド化に注目が集まる一方、セキュリティ上の懸念から、拠点ごとに構築した自社所有(オンプレミス)のシステムからクラウドに移行できないケースも多いという。またこれらオンプレミスのシステムでは管理が現場単位で、記録だけにとどまり、企業として意思決定に活用しづらいほか、障害や災害の際に消失するリスクもある。

KDDIが今回提供するサービスは、既設の監視カメラシステムを利用できるため、カメラを新たに設置するといった初期投資は不要。カメラメーカーにも依存せず、一般的なIPカメラ1万2,000機種以上がサポートされる。閉域で高いセキュリティを確保しながら、クラウド上の録画サーバー・ストレージで統合管理が可能になる。

映像伝送と映像閲覧はすべて、(インターネットから隔離された)閉域ネットワーク「KDDI Wide Area Virtual Switch」経由に限定、クラウド上の設備も閉域接続のため、企業が取り扱う秘匿性の高い監視カメラ映像でも安心して利用できるとしている。またクラウド上に保存されるデータは国内の複数のデータセンターに分散保存される。

クラウド化されることで、スマートフォンやタブレットなどの端末から(閉域接続を経由して)どこにいても映像にアクセスできるのも特徴。人体をシルエットとして処理しプライバシーに配慮する機能も用意される。問題が検知された場所に駆けつけた上で、現場で撮影された映像をその場からスマートフォンで確認するといったこともできる。

クラウド上に保存される映像のAIによる解析も可能で、AIパートナー各社と連携し映像解析サービスが提供される。例えば、車両や人を認識し、指定エリアに一定時間滞在するとアラートを自動で通知するといった防犯対策の自動化・高度化や、製造ライン検査工程での傷の検出、設備の錆びの検出なども可能で、検品や点検の効率化や自動化を支援できるとする。

サービス開始当初はAIパートナーとしてオプティムと連携し、「防犯・防災」「店舗最適化」などのAI映像解析サービスが提供される。

指定エリアへの侵入検知イメージ
侵入検知をスマートフォンから確認できる
従業員のプライバシーに配慮した動体シルエット化も

このほか先行導入事例として、日立物流が同サービスを導入したと発表されている。同社は大型化する物流拠点の警備や検知、安全管理の自動化を進めている最中。クラウド化された同サービスを導入することで、見守り警備の可視化や監視カメラ映像の統合管理を実現、今後は分析プラットフォームとしても活用し、現場の管理者に依存しない体制で安全化をサポートしていくとしている。

「KDDI Video Management Service」の基本料金は契約ごとに8万円(税抜、以下同)、デバイス接続料金が3,000円、ストレージ利用料金は1TBごとに5,000円。

KDDIでは、監視カメラ市場は2026年で3,000億円超の市場としており、今回のサービスの事業は「ある程度の規模にしたい」(KDDI ソリューション事業本部 DX推進本部 5G・IoTサービス企画部 部長の野口一宙氏)と意気込んでいる。