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ローソンのレジレス店「Lawson Go」、進化してオフィス内へ

ローソンは、ウォークスルー決済導入店舗「Lawson Go MS GARDEN店」を、三菱食品本社にて10月11日にオープンした。

Lawson Goは、登録した専用アプリでQRコードをかざして入店し、商品を手に持って店外に出ると、事前に設定した決済手段で、レジを通さずに自動的に決済できる技術。店内設置のカメラで客の動きを確認し、商品が置かれた棚の重量センサーと合わせることで、客がどの商品をいくつ手にとったのかをAIが判別して、店舗を出ると自動的に決済される。

入店用のゲート
アプリのQRコードをかざすとゲートが開く

ローソンはLawson Goの実証実験を、富士通 新川崎テクノロジースクエア内「ローソン富士通新川崎TSレジレス店」にて、2020年2月から5月まで実施。その後、コロナ禍でリモートワークが進み、オフィス内の人流が減ったことから、新たな展開を見合わせていた。

人流回復を受け、三菱食品の協力のもと、Lawson Go MS GARDEN店を出店した。三菱食品の出社率は感染拡大期には約30%まで減少していたが、約50%まで戻っているという。

新川崎TS時との違いとしては、取り扱い可能商品の拡大、入店可能人数の増加、セルフレジ併設などがある。

取り扱い商品については、新川崎TSでは対応していなかった70g未満の商品や、フック什器の導入によりフックに引っ掛けるタイプの商品に対応した。また、商品サイズに合わせた什器の採用により、より多くの種類の商品を陳列できるようにしている。

フック什器を導入
商品サイズに合わせた什器を採用

入店人数については、新川崎TSでは最大5人としていたが、MS GARDEN店では15人で運用する。技術的には30人までキャッチアップできることを確認できているが、運用上の観点から15人としているという。

セルフレジについては、新川崎TSの際にアプリをダウンロードするものの手間を嫌って登録を行なわない人もいたことから、より多くの人が店舗を利用できるよう併設した。店舗の入り口には、ウォークスルー決済利用者用と、セルフレジ利用者用のゲートが設置されている。

入店ゲートのほか出店ゲートもわけており、セルフレジへは矢印で誘導している
セルフレジ

そのほか運営面でも変更点がある。新川崎TSではローソン側が提示した棚割りにする必要があり、棚割りの変更は1週間に1回しかできなかった。今回は、店側で商品データを登録してリアルタイムに更新する技術を実現し、従業員による自由な売場変更が可能となった。

店舗面積は17.3m2で、そのうち売場面積は11.3m2。商品は米飯、デザート、飲料を中心に約170アイテム。酒、たばこ、フライドフーズ、冷凍食品、アイス、雑誌・書籍およびATM、各種収納代行、Loppi、ゆうパック等のサービスは取り扱っていない。

ローソン 執行役員 インキュベーションカンパニー プレジデント 兼 オープン・イノベーションセンター長 酒井勝昭氏によれば、いわゆるレジレス/無人店舗では、バックヤードにスタッフが常駐しているケースもあるが、Lawson Goではスタッフがいない。その代わり、Lawson Goを展開するには母店となる店舗が必要となる。Lawson Go MS GARDEN店の場合、母店は同じ建物の1階にある「ローソン MS GARDEN」で、発注などは母店と連動しており、管理・補充などの作業も母店が行なう。

酒井勝昭氏

今後は、MS GARDEN店の結果を検証し、スピードが求められるオフィスやホテル内などへの出店を目指す。また、高層マンションへのLawson Go出店に関する問い合わせがあるほか、ローソンでは病院内にも多く出店しており、様々なロケーションにおいて出店オファーに対応できるようにすることを目標とする。

将来的にはオフィス等のクローズドな施設内への出店だけではなく、買い物に困っている高齢者が利用できるようなローカルなエリアでの展開を目指す。

取り扱い商品に関しては、「からあげクン」のようなホットスナックに対応することも目指しており、札などを活用し客が商品を手に取ったものとして決済商品へ加えるといった販売方法を検討している。