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Android 13はウォレットや連携で進化する。Google I/O

Googleの年次開発者会議「Google I/O 2022」が、オンラインでスタートした。5月11日(アメリカ太平洋時間)に基調講演が開かれ、いくつもの新要素が発表になっているが、ここでは特に「Android」関連の新機能・新技術について速報する。

今年は「連携」がテーマ、注目の要素は

今回、GoogleがAndroidとして打ち出したのは「エコシステム」だ。スマートフォン向けのAndroidが「Android 13」になるのはもちろんだが、それ以上に、タブレット向けの機能強化、スマートウォッチ向けの「Wear OS」の強化と連携、自動車やテレビとの連携など、幅広い機器との「スマートなやりとり」をアピールしている。

Androidは「13」に。ただそれだけでなく、他のデバイスとの連携が主軸になってきている
デバイスをまたぎ、スマホからタブレットへのコピー&ペーストも実現(拡大画像でアニメーション)
スマホからテレビへと映像を「連携再生」
タブレットで動画を再生中、スマホに電話がかかってくると、ヘッドホンの接続は「スマホ側」に切り替わる。アップルの利点だった機能がAndroidにも
Wear OSを搭載したスマートウォッチからは「緊急通報」が可能に(拡大画像でアニメーション)
Android Auto搭載の自動車へと、スマホからコンテンツを転送する連携も可能に

中でも大きな要素であり、軸になるのが「Google Wallet」だ。

「Google Wallet」の新ロゴ

過去にも同じ名前の機能があったが、それとは異なり、決済系だけの機能ではない。車のキーやワクチン接種の記録、交通機関やイベントのチケット、ポイントカード、学生証など、多数の「サイフに入っているもの」のデジタル化をまとめる役割を果たす。今年後半には、アメリカ国内で、 Google Walletに運転免許証と身分証明書を対応させる予定だという。

決済関連や各種証明書など、「サイフに入るもの」を統合的にデジタル化して扱う基盤になる

同様の要素はアップルもiOSのWalletで進めており、日本国内でもマイナンバーカードを含めた議論が始まっている。

スマートフォンのOSにWallet機能を搭載し、そこに各種カード・証明書をあつめていき、さらにスマートウォッチなどとの連動も視野に入れる……というのは1つの大きなトレンドと言えるだろう。

「Android 13」のBeta 2が公開に

スマートフォン向けの「Android 13」は開発者向けに「Beta 1」が公開済みだが、このタイミングで「Beta 2」となり、より多くの機能が公開になっている。

注力点の1つのが「セキュリティとプライバシー」だ。通知のタイミングや位置情報を必要とするアプリの警告を減らし、より適切な許諾の中で安心して使えるような環境を整える。

クリップボードの中身をアプリが覗き、そこからプライバシーが漏れることを防止する機能は以前からあるが、Android 13からは、クリップボードの中身を一定期間が経ったら自動消去する仕組みを取り入れ、知らないうちに情報が他のアプリへと漏れる可能性を減らしている。

また、RCSによる「メッセージング」もアピールした。すでにRCSが標準であることを強調し、今年後半には、現状の1 to 1 でのEnd to End暗号化だけでなく、グループメッセージの暗号化にも対応するという。

セキュリティとプライバシーをまとめて扱い、リスクの可視化やガイダンスの表示を行なう機能も、2022年後半に導入予定となっている。

2022年後半には、セキュリティとプライバシーをまとめて確認する機能も搭載される

「Material You」がさらに改善

Androidは「12」から「Material You」というデザインフィロソフィーを導入したが、「13」ではさらにカスタマイズの幅が広がる。

「Material You」のカラーバリエーションはさらに拡大される

「Material You」はアイコンデザインなどの変更についてはGoogleのアプリが中心で統一感に欠ける、という印象もあったが、Pixelの場合は、"Themed icons"という機能が用意され、全体の統一感を取りやすくなる。

Pixelでは"Themed icons"という、全体の統一感をとったデザインが用意される

また、「言語設定」をシステム全体ではなく、「アプリ単位」で切り替えられるようになるのも重要だ。ローカライズの関係や旅行中などに「このアプリだけは他国語設定のまま使いたい」場合、システムの言語設定はそのままに、指定するアプリの言語設定も行なえるようになる。

アプリ単位で言語設定の切り替えが可能に

「12L」からスタートしたタブレット対応が強化

タブレットや2画面などの「大画面デバイス」に向けてのUXを改善した「Android 12L」があるが、そこから継続する形で、Android 13でもタブレット向けの改良が進められている。

アプリのドラッグ&ドロップによる画面分割や、ペンでの作業時に手のタッチによる誤操作を防ぐなど、かなり「本気度」の高い実装が増えてきている印象だ。

大きな画面のデバイスで、アプリをマルチタスク動作させる操作性が向上
「Google Play」などのアプリもデザインを最適化

ただ、タブレット向けの機能を使うには、もちろん「タブレット向けに最適化されたアプリ」が必要。Googleもその点はわかっており、TikTokやFacebook、Zoomなど20を超えるアプリについて、最適化を進めるとしている。

タブレット向けにアプリ最適化が進む