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JR西日本、人型重機ロボで鉄道高所作業

2022 国際ロボット展に展示された「零式人機 ver.2.0」

JR西日本は、ロボット開発を行なう人機一体、日本信号と共同で、人型重機ロボットを載せた鉄道工事用車両の試作機を開発した。2024年春を目処に営業線での導入を目指す。

JR西日本は、これまで電車に電気を送る架線などを管理する電気設備の作業では、比較的同一条件の作業が繰り返されるものについては機械化を進めてきた。しかし、高圧の電気設備が高所にあり、地形の影響などで設備の位置や形状が異なることから機械化が難しい作業があった。

人型重機ロボットを載せた鉄道工事用車両によって、これまで人の手で行なってきた高所作業を遠隔操作によるロボットで行ない、生産性と安全性を向上する。

試作機は、専用高所作業車のクレーンの先に搭載した人型ロボットによって作業を行なうもの。インタラクティブな操作性を特徴とし、操縦桿を動かすとロボットが同じように動く「マスタースレーブ方式」による操作が可能。ロボットが受ける重みや反動も操縦者側にフィードバックするため操作が直感的で、操作方法を容易に習得できるという。

専用高所作業車にロボットを搭載
操縦席のイメージ

ロボットは人と同様にさまざまな部品を把持することが可能で、多様な状況の作業に対応できる。操縦者は地上の車両操縦席から操作するため、安全性が高い。

今月から試作機での試験を実施し、実際に行なえる作業や、改良点の洗い出しなどを行なう。まずは電気設備作業のうち、高所での人力作業に対して検証を行ないながら導入を検討。ロボットの導入によりこれらの作業における約3割を省力化し、感電・墜落の労働災害をゼロにすることを目指す。

2024年春に営業線での導入を目指し、鉄道だけでなく、社会課題となっているインフラメンテナンスの労働力不足に対応する機械化にも貢献していく。