ニュース

オンライン試験のカンニングを自動検知。富士通と慶大

富士通は、慶應義塾大学医学部医学教育統轄センターと協力し、オンライン試験における本人確認や不正検知などの課題解決を目指す実証研究を2月から3月に実施した。欧米などで導入実績のあるオンライン自動試験監督システムなどを導入し、受験者、試験提供者双方にとって公平・効果的なオンライン試験の実現を目指す。

新型コロナウイルスの影響で、オンライン試験のニーズは高まっているが、オンライン試験では、本人確認の難しさから発生する替え玉受験や、カンニングなど不正行為の防止、受験者が不正を疑われた際の証明方法の確立など様々な課題がある。

実証研究では、顔の有無や向きの検出などが可能なAIにより本人確認や試験中の不審行動を検知するProctorioのオンライン自動試験監督システム「Automated Proctoring Solution」と、オンライン試験問題の作成や配信が可能なQuestionmark Computingの「Questionmark OnDemand」によるオンライン仮試験を実施。自宅などから受験する学生の様子をシステムで記録・解析することで両システムの有効性を確認した。

替え玉受験防止のため、試験開始前にオンライン画面上で身分証と受験者本人の写真を撮影後、Webカメラで常時オンライン試験中の受験者を記録。受験者のPCデスクトップ画面やPCが認識する音も記録する。また記録中に顔検出などのAIを使い、カンニング行為として疑われる可能性が高い不審行為として、受験者が試験画面以外の方向を向くことや音声を発すること、スマートフォンなどの使用や受験者以外の人物の顔が映ることなどを自動検知し記録する。

検知結果は受験者一人ずつレポート形式にまとめられ、不審行為があった時間帯は不正の疑惑レベルに応じて赤色や黄色でアラート表示される。試験後、試験管理者は、アラート表示部分の画像や音声、PCデスクトップ画面の記録を確認し、実際に行なわれた動作が不正行為に該当するか否かを判断できる。

これにより、被験者の学生が試験中にとった不審な行動全てを自動検知し、正常な行動と判別できることが確認できた。また、試験中の様子を記録される受験者の不安を軽減し、システムの理解促進を図るためには、事前に自動不正検知結果の活用方法の説明を十分に行ない、不審行為を疑われる動作の例を明確に示す必要性もあることがわかった。

オンライン試験作成・配信システム「Questionmark OnDemand」は、問題に動画や画像を組み込めるオンラインの特性を活かし、20種類以上の多様な形式の問題を作成可能できる。一度作成した試験は、設問単位で保管・管理でき、既存の問題を組み合わせて効率良く新しい試験を作成可能。

実験では、対象者全員が自宅などからアクセスして受験し、混乱なく解答を完了。自動採点により試験終了後すぐに採点結果を集計でき、教員が行なう場合一般的に約20分要する採点時間(10問×10秒×11名)を数分に短縮できた。