ニュース

キャッシュレス普及の壁は「現金は手間がかからない」という印象

日本クレジットカード協会は、アクセンチュア、マネーツリーの協力のもと、消費者が、キャッシュレス決済を「使えるのに、使わないのはなぜか」に着目した調査を実施。キャッシュレス推進策の考察も含めて発表した。キャッシュレス化の推進には、6割を占めるライトユーザー層と、関心のある層に重点的な施策が必要としている。

日本におけるキャッシュレス比率の向上が期待できる具体的な施策

調査は都市部在住者1,305人を対象にした一般消費者向けアンケート(2018年8月8日から10日/Web調査)と、家計簿アプリMoneytree利用者9,052人を対象にした家計簿アプリ利用者向けアンケート(2018年8月30日から9月10日/Web調査)で行なわれた。

キャッシュレス決済を使えるのに使わない理由の中で、レジに行列ができている際に「現金決済の方が、時間がかからない」印象を持っている層があることがわかった。特に50代以上の消費者は、40代以下の消費者の2倍弱がその印象を抱いていることから、現金決済は時間がかからないという印象を改める必要があるとしている。

また、「少額のキャッシュレス決済は申し訳なく感じる」、「店の雰囲気的にセキュリティが怖い」など、店舗側の対応や雰囲気に左右されて現金決済を選んでいる層も一定数いることがわかった。

キャッシュレス決済を使う人については、⼀般消費者の約4割、家計簿アプリ利用者の約6割が、キャッシュレス決済に非対応の店舗を避ける傾向にあり、特に日常に密着した消費シーン(スーパー・飲食店等)ほど利用を避けている。また、自動販売機などの日常に密着した身近な場所でのキャッシュレス決済環境の整備を望む声もある。

キャッシュレス決済の利用率が50%未満の「ライトユーザー層」と、未利用だがきっかけがあれば利用したいとする「キャッシュレス関心層」の合計で全体の約6割に。一方、「無関心層」は全体の1割に満たない。そのため日本クレジットカード協会は、キャッシュレス社会の実現に向けて重点的にアプローチすべき消費者層は、ライトユーザー層、キャッシュレス関心層と考察。

消費者の約6割が「お得さ」により利用し始め、約8割が「便利さ」により習慣化したことから、現状以上の利得を与えることで、キャッシュレス決済の利用動機を喚起し、関心層のライトユーザー層へのシフトを促進。サインレス・PINレス、コンタクトレス(非接触IC)による決済の簡便化・短時間化、いつでも・どこでも利用できる環境整備など利便性を向上させ、ライトユーザー層のヘビーユーザー層へのシフトを促進するとしている。