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おもしろいかもしんない
〜DDIポケット ビジュアルホン〜

■ 世界初!! テレビ電話!! しかも携帯型!!

VP-210
DDIポケット
ビジュアルホン VP-210

京セラ製。発表当初は7月の発売が予定されていたが少し遅れ、実際に店頭に出まわったのは9月ころ。画像の記録も可能で、電話帳に画像を貼りつけたり、PメールDXで画像を送ったりできる。

 手塚治虫の未来像を「リアルだ!!」と思っていた頃は、テレビ電話っつーともう凄まじく凄過ぎる便利さの装置だと思っていた俺だったが、最近は擦れっ枯らしのオヤジになっちゃったので「テレビ電話ってアレだろ、テレビ局のアナウンサーが魚市場とか青果市場とかの人と話してガクガクの絵が出てちぐはぐな会話になるあの装置だろ」とか吐き捨てたりしがちである。

 まあ、最初にテレビ電話が出てきた頃は、けっこう期待もしたモンだ。あーコレで電話が変わるんだ〜音声に加えて表情などの情報をやり取りできるなんてステキ〜、とか思った。でも、実際はあーんまり普及してない雰囲気。一瞬、物欲が最強に強まって高まって臨界突破してNTTのISDN用テレビ電話(名前忘れました)を買おう!! とも思うが、でも通話相手がいないなぁなんて思ってしょんぼり。

 他にもリアルタイムで映像と音声をやりとりできるシステムはいろいろあるようだが、キレイでマトモっぽくて使えそうなのはどれも高価。インターネットを経由したテレビ会議系システムも使ったが、疲れてくるほど遅いし、なーんかアメリカの本格派のゲイの人とかが多いようで、どーも“テレビ電話”というモンのイメージと違う。

 もうちょっと現実的なのはないんでしょーか、などと考えていたら、コレってけっこう現実的かもしんない、という製品が発表された。ご存じ、DDIポケットの京セラ製端末、ビジュアルホンことVP-210であった。

 この端末に、これまであったテレビ電話よりかなり強い“現実味”を感じた俺は、発売されたら絶対に買うんだもんねそうさ買うさ買って布教活動に努めてテレビ電話の時代を築いたりしてみたいんだもんね〜、と思っていたのだが、こないだも書いたよーに、DDIポケット端末はお一人様一台限りでございましていやがるらいことと、俺使用中(所有中!?)のロカティオのPHSユニットを解約するとロカティオの価値が限りなく下降していく等々の事情により、発売されても買うに買えないのであった。


■いや、でも、ホントに実用的かも

VP-210
cdmaOne端末、C201Hと並べたところ。サイズは54×29×140mm(幅×奥行×高)、重量165g。いまどきのPHSとしては大きいと言えるが、画像電送も行なっていることを考えるとすごく小さいと言っていいかも

 もう関係ねーよ!! 電話なんかもうダメだ!! けッ!! もう知らねえよどーでもいーよギャー!! と自棄になったが、冷静に考えてみると、やっぱりビジュアルホンは実用的っぽい感じがする。

 PHSは料金が比較的安く、その機構上通信速度もまあまあある。それに加え、前述のISDNのテレビ電話とかインターネットのテレビ会議などと違い、携帯できるというのが魅力だ。外でテレビ電話云々ということよりもむしろ、好きな場所で好きな時に非常にパーソナルな感覚でテレビ電話を使うことができる点が、なーんかこう、現実味がある気がする。パーソナルハンディホンシステムのコンセプトには、テレビ電話がよくマッチするような気がするのだ。

 と考えていたら、やさしい京セラさんがそのビジュアルホンをペアで貸してくれたのである。もちろん、速攻で試してみた。

 なお、ビジュアルホンの詳細については、DDIポケットの紹介ページ京セラの紹介ページを見ていただきたい。

 でまず、意外だったのが、本体が思ったよりデカくないこと。本体上部のカメラ部分と液晶部分がちょっと分厚い感じだが、それでも常識的な“ケータイのサイズ”だと感じた。まあ、PHSとしてはかなりデカい感じもするが、「テレビ電話です」と言われれば「ほほうずいぶん小さいモンですな」と答えがちなサイズである。

 使い方は非常に簡単で、テレビ電話として使う場合は、本体左側の“VP”ボタンを押してから電話をかければいい。もちろん、電話をかける相手もビジュアルホンを使っていなければいけない。なお、VPボタンを押さないで通話すれば一般のPHSと同様、声専用の端末として使える。

 電話が通じ、テレビ電話として機能し始めると、秒間2フレームの(相手からの)カラー映像を映しつつ、通話ができる。液晶は反射型液晶なのだが、像自体はかなりクッキリ・鮮やかに映る。ただ、カメラの受像部は約11万画素のCMOSセンサーで、被写体をさほど鮮明に撮ることはできない。昼間の屋外で、高いコントラストで被写体が映し出されるような場所ならわりとキレイな像が得られるが、さほど明るくない室内(低コントラスト)だったりすると、なーんかちょっと暗い感じの像になる。

 映像がどの程度動くかは、秒間2フレームということで、まあ、ハッキリ言ってかなりガクガクしている。でも、使っていて「これくらいでもイイんじゃない」と思ってしまった。この程度の動画でも、相手の表情や動作はしっかり伝わってくる。いや、1秒に2回も相手の違った表情が見られるということは、従来の音声だけの電話に比べたらもの凄い情報量だなぁと感じるほど表現力豊かだ。

 ちなみに、ビジュアルホンのカメラ部は、本体内蔵になっているので、普通の電話機のように本体を頬に当てて通話すると、やたらコメカミの接写ばかりが相手に伝送されて意味がない。なので、通常はハンズフリーホン機能を使うか付属のイヤホンマイクを使って、ビジュアルホン本体前面と向き合った姿勢で通話する。また、本体裏面には、端末を自立させるスタンドが収納されており、これを開けば、机上に立てた状態で使える。


■おもしろいかもしんない

ビジュアル付きの通話はけっこうおもしろい。本人の後ろの背景も映ったりするわけで、マシン環境がわかっちゃったり、いまタバコに火をつけたとかも見えちゃう。画面右下には、小さく自分が映る

 が、映像を相互に送りつつ会話ができるというコトを体験すると、「あーコレはいろんなおもしろそーなコトに使えるなー」という夢が膨らんでくる。いや、そう言うよりも「臨場感溢れるコミュニケーションが取れておもしろい」と言った方が正しいかもしれない。相手がどんな場所・状態で話しているか、表情はどんなか、何してんのか。いろんなコトがわかって純粋に楽しいのである。

 例えば普通に電話していると相手の声の他に聞こえてくる音には、特におもしろみ(というか臨場感)はない。ガサガサ、カタカタ、ガチャガチャン、ドサドサドサッ、チャッボボッスパーとか、相手が雑音が多いところにいるんだなー程度のことしか思わない。でもこの雑音に映像が付くと、紙資料を見ている、机から何か出している、何か落っことしている、何か崩れた、タバコを吸い始めた等々、いろんな状況がわかる。これがただただ純粋に愉快である。

 そりゃそうだよなーテレビ電話だしなー、でも、コレ、いろんな使い道あるよな……などと考えていたら、既にコレを利用したお見合いシステムみたいなのがあったり、新手のテレクラがあったり、なーんかいろいろ利用されているようだ。

 個人的な使い方としては、まあ単に友達同士家族同士などで、前述のようにより豊かな情報が送受信できて“純粋に楽しい”テレビ電話として使うのもいいし、遠距離恋愛で表情付きのラブコールをするのもいい。遊びにおいてコレを使うと、純粋に遊びにおける盛り上がり度がチョイ高まるだろう。まあ、送れる動画は秒間2フレームで、解像度はさほど高くないため、詳細を見せるための動画伝送という向きにはちょっと無理がある。でも、表情や雰囲気は十分伝わるので、ビジネスよりもパーソナルな部分でおもしろく利用できる感じである。

■ 妙な間があるんですけど

本体内蔵のスピーカーだと多少音がこもる感じで、標準添付のハンズフリーフォンを使ったほうがよく聞こえる。音については、“マ”が生じるほか、時々エコーが入るのもちょっと気になる。ぜひエッジ対応版も出してほしいところ

 世界初の携帯型カラーテレビ電話としては、かなり納得の行くハードウェアで、使ってみて実際楽しかった。個人的にはこれがH"(エッジ)端末で、64Kbpsのデータ通信にも対応していれば、とりあえず2台買いたいと思った。が、ひとつ、強く気になる点が。

 それは、テレビ電話モードで通話していると、音声がほんの少し遅れて伝わること。こちらで「くわッ!!」と叫んでも、相手に伝わるまでに……どのくらいだろう……1秒くらいだろうか、とにかく声が遅れて「……くわッ!!」と伝わるのである。これは、映像と声がマッチしないとかゆーコトではなくて、一昔前の国際電話みたいに、音声が伝わる時にわりと気になるタイムラグがあるということだ。

 なので、慣れないと、会話中に妙な“マ”ができたり、相手のシャベリと自分のシャベリがかぶったりする。特に、双方とも積極的に喋りまくる人だと、間ができたり会話がかぶさったりして話がしにくい。俺(積極喋り派)は編集部のクドーさん(積極喋り派)という編集者と通話実験をしたのだが、こんな感じであった。

スタパ「ビジュアルホンってけっこうオモシロいっスね〜」
クドー「……ですねですね〜案外映像もコレで十分だし、」
スタパ「……そうですね、」
クドー「色もキレイで」
スタパ「映像もわりと見やす」
クドー「すし、あっ……」
スタパ「すよね、うっ……」
クドー「……えー、もしもし」
スタパ「…………はい、もしもし」

 このように、なんかギクシャクした会話になりがちなのである。まあ、慣れれば多少上手に(?)会話できるようになるが、やはり、1秒近いこの“マ”は、フツーの電話やPHSのようなスムーズな会話になりにくい原因である。

 クドーさんと真剣かつマジかつ“マ”を気にしつつ議論した結果、お互いゆっくり話す人物の場合、この1秒ほどの“マ”から誤解が生じる可能性があると判明した。例えば遠距離恋愛におけるビジュアルホンだ。

女「もしもし、あたし。何してた?」
男「……(←ビジュアルホン特有の“マ”)ああ、テレビ見てたよ」
女「……(←マ)テレビかー、そう言えばさー(云々)」
(-----中略-----)
女「ねえ、あたしのこと愛してる?」
男「……(←問題の“マ”)もちろんだよ」
女「……(←マ)ナニ、今のマは? 何で一瞬考えるの!?」
男「……(←問題を深刻にする“マ”)ナニって何だよ、考えてねーよべつにさー」
女「……(←雰囲気を悪化させる“マ”)あそう、わかったわよ」
男「……(←きまずさを発生させる“マ”)なんだよまったく」
女「……(←亀裂を発生させる“マ”)もう切るからね」

 最後に男が何かを言おうとする前にガチャッと通話が切れてしまうのも、この微妙な“マ”の成せる技と言えよう。このように、この1秒ほどの"マ"は、元々存在しなかった微妙なコトバの意味を発生させ、相手に伝送してしまうのであった。

 それから、不倫防止のために夫婦でビジュアルホンを使った場合はさらに恐ろしい気がする。

奥様「もしもし、アナタ、私ですけど」
旦那「……なんだ、オマエか。用事か?」
奥様「……あらアナタいま一瞬マがあったわね」
旦那「……ナニ言ってる。マって何だよ!?」
奥様「……ほらまた!! そこに誰かいるのね!!」
旦那「……いないよほらビジュアルホンだもん」
奥様「……いーえ、またマがありました!! ビジュアルホンのカメラ部の反対側に誰かいるに違いないわきっとオンナね今からそっちに行くからね覚悟してらっしゃいもう今日という今日は(以下略)」

 ということになり、ビジュアルホンで映像付きのアリバイを見せた旦那なのに、ビジュアルホン特有のこの1秒程度の"マ"によって地獄を見ることになるのだ。

 とまあ冗談は置いといて、この“マ”はどうにかならないものだろうか。使った感じとしては、秒間2フレームだったら秒間1フレームでも3秒で2フレームでもさほど変わらない感じだ。だから、例えば、フレーム数を落として、音声が伝わる時のタイムラグをもっと減らすなんてコトはできないのだろうか、と思った。

 それから、もうちょっと音質が良くなればいいなぁとも思った。ビジュアルホンはPHS端末だが、一般の音声通話専用のPHSよりは音が悪い感じだ。

 まあ、些細なコトではあるが、この2点、特に“マ”が解消されれば、かなり最強に強まったビジュアルコミュニケーションツールと言えよう。なので、現在のところは、強まったビジュアルコミュニケーションツールという感じであった。


◎関連URL
■ビジュアルホン「VP-210」プレスリリース
http://www.kyocera.co.jp/news/1999/9905/0004-j.asp
■ビジュアルホン製品情報
http://www.ddipocket.co.jp/syohin/vp-210.html

(スタパ齋藤)
1999/11/15


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