こどもとIT

動画でわかるEDIX東京!1人1台環境で進化する学びを支える各種サービス

――第12回教育総合展「EDIX東京」展示会場レポート①

第12回教育総合展「EDIX東京」(主催:リード エグジビジョン ジャパン株式会社)が、2021年5月12日から14日までの3日間、東京ビッグサイト青海展示場で開催された。今年は開催2日前に緊急事態宣言が延長され、出展を見合わせた企業もあったが、イベント自体は感染防止対策を徹底し、予定通り実施された。

主催者側から来場者数はまだ発表されていないが(原稿執筆時点)、初日こそ例年より少ない印象だったが、2日めには学校関係者の姿も多数見受けられた
青山学院中等部 講師 安藤昇氏

今年のEDIX東京は、GIGAスクールで整備された端末をいかに活用していくか。1人1台端末とクラウド環境を前提とした展示が多かった。また以前よりICT活用が求められている、プログラミング教育やオンライン授業、教員の働き方改革に活かせるソリューションも展示されたほか、探究学習やキャリア教育、学校行事などにも新たなサービスが登場し、ICT活用の広がりを感じた。いずれも、GIGAスクール時代の教育を担う関係者が情報収集していくべき内容だろう。

本稿では、オンライン授業で使えるデバイスや充電保管庫、VRやドローンなど、多様なソリューションを紹介。YouTubeチャンネルを持つ現役教師、青山学院中等部の安藤昇氏の動画を交えてレポートする。

LocknCharge:オーストラリアの教育者が開発した、見た目もカワイイ充電保管庫

1人1台環境になって充電保管庫を使う時、多くの教育者を悩ませるのは、児童生徒が端末を出し入れするのにかかる時間だ。特に、端末を戻すときはACアダプターを付ける必要があり、クラス全員が一斉に充電保管庫に集まると片付けるだけで時間がかかってしまう。

LocknChargeの充電保管庫は、そうした悩みを解消すべく、バスケット単位で端末の取り出しができる。13インチまでのデバイスなら1つのバスケットに5台の端末が収納でき、グループの一人が端末の出し入れを担当すれば、今までのような時間もかからない。ブースで出くわした洗足学園小学校の赤尾綾子教頭は同製品を採用しており、「上から取り出せるのが便利。持ち運びしやすく、おしゃれで一目惚れしてしまった」と語ってくれた。

「Carrierチャージングカート」。収納台数は20台、30台、40台の種類がある
天板をスライドして、上からバスケットを出し入れ
両開き扉のタイプにバスケットを収納するタイプも

デジタルクリエイティブルーム:SONYが提案する空き教室の利用

SONYは、学校の空き教室を利用した「デジタルクリエイティブルーム」を提案。デジタルカメラ「ZV-1」やリモートカメラ「SRG-XP1」、ブラビアとマルチタッチオーバーレイキットを組み合わせてタッチパネル化した4K電子黒板などを空き教室に設置して、教員や児童生徒がいつでもデジタル教材を制作したり、オンライン配信できたりする”場”を提案した。コロナ禍においては、体育館などに児童生徒が一同に集まることがむずかしく、朝礼や生徒会活動が校内配信に変わっている学校も多い。デジタルクリエイティブルームのような場を校内に常設することも、これからの学校には必要だといえるだろう。

SONYのブースでは指導者用デジタル教科書のポータルも展示
リモートカメラ「SRG-XP1」とデジタルカメラ「ZV-1」
校務支援「がっこう連絡帳カレンダー」も手掛けるSONY

ドローン×VR修学旅行:最新のテクノロジーを取り入れた探究学習やSDGsの学習を提案

学習用ドローンとバーチャル修学旅行というワクワクするソリューションを展示したのは、ワールドスキャンプロジェクト。同社は、小学生でも簡単に操作できる手のひらサイズのドローン「SKYFIGHT-X」とセットでeラーニング教材を貸し出すとともに、バーチャル修学旅行のコンテンツを提供している。スマホをセットすることでVRが見られるゴーグルを貸し出し、エジプト古代遺跡やサイパンの戦争遺跡などをバーチャル空間で楽しむことができる。SDGsの学習や探究学習に活用している学校もあるようだ。

ワールドスキャンプロジェクトのブース
ドローンを飛ばせるスペースも
手のひらサイズのドローン「SKYFIGHT-X」
スマートフォンをセットすることでVRが見られるゴーグル。全員分の貸出可能

L-Booth:インクルーシブ教育や個別学習に、学校で自分ひとりのスペースを作れる!

教室の机と椅子を覆うようなカタチで、自分ひとりの空間を作る

エム・ティ・プランニングのブースでは、パーテーションとして使える「L-Booth」を展示。もともと同製品は、オフィス向けに作られた集中ブースであるが、教育現場では教室に入るのがむずかしい児童生徒や、学習で支援を必要とする児童生徒に対して、インクルーシブ教育や個別学習の観点で自分だけの居場所を提供できるだろう。

学校へ行きたい気持ちや学ぶ意欲はあっても、教室という空間に入るのが苦手という児童生徒は多い。その場合、保健室や図書室が代わりの居場所になっているケースが多いが、必ずしも子どもたちが学べる場であるとは限らない。L-Boothを活用して、学校の中に自分ひとりの空間を作ってあげることで、学校に行きやすくなる子どもたちもいるはずだ。

壁面が黒板になっているのも良い

フルノシステムズ:ブース内に特設スタジオを設置してオンラインセミナーを実施

無線LANなど学校のネットワーク環境をトータルで手掛けるフルノシステムズは、ブース内にRolandの機材を並べた特設スタジオを設置。来場できない教育関係者に向けて、「無線LANのトラブルシューティング」や「オンライン配信のコツ」をテーマにしたオンラインセミナーを実施した。

また学校の集会で"密"を回避するためのソリューションとして、フルノシステムズの動画伝送アクセスポイント「ACERA(アセラ) 1150w」を活用した 『一斉放送システム』を展示。さらに、Wi-Fi 6のアクセスポイントも参考出品した。

フルノシステムズのブース。オンラインセミナーを配信する特設スタジオも設置
埼玉県、戸田市、墨田区などICT活用に力を入れる自治体への導入実績も

電子黒板&モニター:情報を大きくクリアに映し出し、さまざまなカタチの授業に対応する

65インチの電子黒板「RM6502K」。板書をQRコードで共有でき保存も可能

電子黒板やモニター、プロジェクターなどのICT機器を手掛けるBenQは、スマートフォンのように操作可能な65インチの電子黒板「RP6502」と「RM6502K」を展示。画面の録画機能や端末のミラーリングのほか、タイマーやくじ引きの機能も搭載されている。またワイヤレスでミラーリングできる短焦点プロジェクター「EW800ST」や24インチアイケアモニター「GW2480T」など、情報を大きくクリアに映し出し、目にも優しいデバイスもあった。アイケアモニターについては、職員室の机に設置し、教員が自分のPCとつなげて校務を行なう事例もある。エクセルの細かいデータ処理など、小さな校務用のノートパソコンで見るよりも、アイケアモニターで大きく映し出す方が作業も捗るという。

65インチ電子黒板「RP6502」は、ホワイトボード、注釈やコラボレーションなどオンライン授業で使いやすい設計になっている
生徒の目の健康にも配慮した、24インチアイケアモニター「GW2480T」も展示
Android搭載、ワイヤレスでミラーリングできる短焦点プロジェクター「EW800ST」

教員研修の受講管理システム:ICTで研修の申込・受講履歴などを管理し、教員のオンライン研修を実現

教員研修のオンライン化に取り組んだ、宮城県総合教育センター 山下学氏が登壇

コロナ禍で教員の集合研修はむずかしいうえ、働き方改革も影響し、教員研修のオンライン化が求められている。駿台グループでeラーニングシステムなどを手掛けるSATTのブースでは、セミナーを開催、その中の一つとして教員研修のオンライン化に取り組んだ宮城県総合教育センターの山下学氏が登壇した。

同県では、教員の学校を離れる困難さ、研修センターまでの移動時間、研修内容の増加、事務手続きの煩雑さなど、教員研修に関してさまざまな課題を抱えていたが、SATTのクラウド型eラーニングシステム「学び~と」を活用して、教員研修をオンライン化した。その結果、時間や場所に縛られない受講が可能になったほか、対面で行なう研修の価値が増したという。コンテンツは教育センターが自作している。

宮城県の教員研修にも利用されたeラーニングシステム「学び~と」
オンライン研修へ移行した効果

「できる」シリーズ:学校オリジナルのICT解説書『できる聖徳学園ICT丸わかりガイド』

弊社、インプレスもEDIXに出展。『できるGoogle for Education コンプリートガイド 導入・運用・実践編』や『できるTeams for Education すぐに始めるオンライン授業 』など、教育分野で読まれている「できる」シリーズを展示した。そして今回、教育関係者の方々から反響をいただいたのが、聖徳学園ができるシリーズ編集部と制作した学校オリジナルのICT解説書『できる聖徳学園ICT丸わかりガイド』(非売品)。同校が使用するICTのサービスや使い方をまとめた一冊で、多くの方に手に取っていただいた。また同じく非売品の『できるGIGAスクールiPad』についても多数の反響が。ブースに来てくださった皆様、ありがとうございました。

インプレスもブースを出展。教育分野で読まれている「できる」シリーズや教育関係の書籍を展示
お問合せを多くいただいた『できる聖徳学園ICT丸わかりガイド』
神谷加代

こどもとIT副編集長。「教育×IT」をテーマに教育分野におけるIT活用やプログラミング教育、EdTech関連の話題を多数取材。著書に『子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由 「21世紀型スキル」で社会を生き抜く』(共著、インプレス)、『マインクラフトで身につく5つの力』(共著、学研プラス)など。